同人誌制作&頒布がテーマで、プレイヤーはそれぞれ同人誌を作り、即売会を経て、即売会の王者たる「壁サークル(人気のあまり長蛇の列を作るため壁際に配置される大手サークル)」を目指します。
■『王たちの同人誌』
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・プレイ人数: 3~5人
・プレイ時間:5~15分
・対象年齢:13歳以上
・デザイナー:今野隼史
・販売:辺境紳士社交場
・価格:1800円(税抜)
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まず最初に同人誌を作る「原稿フェイズ」から始まります。各プレイヤーは「同人カード」をめくり、手札に加え、「カバー」、「ジャンル」、「要素」、「名前」を示すカードを揃えていき、誰か1人が4種類揃えたら、「〆切」となって、手番を一周回してから、「即売会」フェイズへと移行します。
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同人カードはそれぞれに、上を向いていると得点がプラスされる「光」側とマイナスされる「闇」側があり、カードを引く代わりに、カードの上下を反転させたり、(同系のカードが余れば)相手に「闇」が上を向いた状態でカードを与えることもできます。中にはマイナスにならない「闇」もあります。
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また、その同人カードには、それぞれ同人活動をテーマにした名前がつけられ、同人豆知識も書いてあり、闇側にはなかなか残酷なことも書いてあったりするのが面白いです。
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ちなみに、その同人カードで強力なのは「18禁」。運良く引当れば8点も稼げるだけでなく、後述のイベントカード以外ではひっくり返されないというすぐれもの。やはり同人誌は18禁が人気ということ……!?
そして、同人誌を頒布する「即売会フェイズ」では、山札から「イベントカード」をめくり、それによって巻き起こる出来事を乗り越えながら手札のポイントを高めていきます。更に強力な効果のある「切り札」カードを使うこともできます。
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イベントカードは、「感想をもらう」といった嬉しい出来事で得点がプラスされるものから、「原稿ミスが発覚」といった悪夢のような事態が起こりマイナスされるもの もあります。強力な「18禁」をひっくり返してマイナス8点にする「黒塗り修正」を発生させる「不健全規制」なんてカードも。
「感想をもらう」のカードでは、実際に他プレイヤーに自分がカードで作り上げた同人誌の感想を言ってもらうったり、別のカードでは全員でじゃんけんを行うなどといったインタラクションがあるのもちょっと変わってますね。
それから一定の周回するとゲーム終了。この段階で最も多くの得点を獲得したプレイヤーが勝者となり、「壁カード」が与えられ、晴れて同人の王「壁サークル」となります。ちなみに壁カードは次回のゲームで使うカードであり、いきなり8点手に入れた状態で始めることができます。これが人気の差か……!
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と言った感じで、シビアな駆け引きを行うゲームというよりは、ランダムに生まれる同人誌へのツッコミとサークルに降りかかる災難を笑いながら、インタラクション要素と同人業界あるあるネタを楽しむコミュニケーションゲームと言ったタイトル。
1ゲームが非常に短い時間で終わり、「壁カード」の存在もあるので、何回か繰り返し遊ぶといいかもしれませんね(今回説明した遊び方は簡略化してあるので、正確な遊び方は公式ページのオンライン・マニュアルをご覧ください)。
『王たちの同人誌』は、アナログゲームショップの「Role&Roll station」、「イエローサブマリン」他、同人ショップ各店舗で店頭販売&通販中(取扱店一覧はこちら)。
今作は先月末増産されたばかりなので、この記事を執筆中現在ではまだ入手可能ですが、いつなくなるかはわからないので気になる人は早めに入手することをオススメします。
ちなみに、今作のモチーフである「コミックマーケット」は東京ビッグサイトにて8月14日(金)~16日(日)に開催予定。参加をする人もしない人も夏コミ前のこの機会に遊んでみてはいかがでしょうか!
【筆者プロフィール】
■傭兵ペンギン
フリーライターとして働く傍ら、時々アナログゲームの翻訳をしております。アナログゲームと筋肉映画が大好物。最近はホビージャパンのテーブルゲームチャンネルでTRPG『ウォーハンマーRPG』のプレイ風景を生配信する番組に出演中。アーカイブ動画もありますので、是非チェックしてみてね!
Twitter:@Sir_Motor