このイベントは、5ジャンルの東西最強を決めるゲーム大会「Red Bull 5G」のスピンオフイベントで、大学生・専門学校生・高専生を対象に、3日間で対象ゲームのスキルアップを目指すブースキャンプだ。
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参加者は抽選で決定されるが、当選すれば無料で参加でき、ゲーム機・ソフトはもちろんのこと、宿泊場所・交通費・食事も支給。しかもレッドブルが飲み放題であり、トッププレイヤーによる指導を受けることもできるのだ。なお、場所は千葉県の「生命の森リゾート」。なんと宿泊施設はカナダ産ログハウスだ。
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2年ぶり2回目となる「Gaming U 2015」ではセガゲームスの『ぷよぷよテトリス』が採用され、『ぷよぷよ』のトッププレイヤーであるとkamestry氏とselva氏、そして『テストリス』のトッププレイヤーであるHBM氏とサマフ氏が講師として招かれた。
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3日間のスケジュールとしては、まず初日に講師陣による座学で「普段どのような思考でプレイしているのか」「どのような部分を心かげているのか」といったプレイに必要な知識を学ぶ。2日目は実機を使ったトレーニングだ。参加者は2人ひと組となり、講師陣と共に一日みっちりとゲームをプレイする。そして3日目は「Gaming U 2015」のチャンピオンを決めるトーナメントが行われた。
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2日目の様子
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特製ボードを使い、ぷよの動かし方を解説
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休憩時間にもプレイ
そもそも、なぜここまで大掛かりなイベントが無料で参加できるのか。発端は「楽しいことをやろう」という発想から始まったようだ。たしかにこれは最高の環境であり、夢のような体験が……本当にそれだけでこんなことが可能なのだろうか。「Red Bull 5G」のプロジェクトアドバイザーである松井悠氏に話を伺うと、2つのテーマが見えてきた。
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一つは「ゲームシーンに翼を授ける」ということ。これは「Red Bull 5G」にも繋がる部分だが、「ゲームをやっていてよかった」「ゲームって楽しい」「ゲームってかっこいい」といった“ゲームの面白さ”をサポートするというのがRed Bullの方針らしい。そしてもう一つは「コミュニティーの活性化」だ。それを実現するためには、大会を開催するだけではなく、作品単位のコミュニティーが重要だと考えられており、今回は「Red Bull 5G 2015」の種目である『ぷよぷよテトリス』が選ばれた。
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面白いのは『ぷよぷよテトリス』の作風で、同作の大会は以前から開催されているが、『ぷよぷよ』のコミュニティーと『テトリス』のコミュニティーが交流することはそれ程なかったという。そのため「Red Bull 5G」でも、『ぷよぷよ』プレイヤーと『テトリス』プレイヤーの二人ひと組で戦うルールが採用されてきたが、なんと今年は「スワップ」という一度の試合で『ぷよぷよ』と『テトリス』の両方を1人でプレイするルールが採用されたのだ。
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となると、『ぷよぷよ』プレイヤーは『テトリス』のスキルが、『テトリス』プレイヤーは『ぷよぷよ』のスキルが必要になるため、必然的に両コミュニティーの交流が行われるのだ。「Gaming U 2015」はそれを後押しする意味合いもあり、『ぷよぷよ』プレイヤーと『テトリス』プレイヤーが互いに刺激し合えるような環境が作り出された。さらに、参加者のレベルもばらばらで、まったくの初心者から多数の大会に出場する上級者まで幅広いく、各ゲームの新規・初心者・中級者・上級者が同じ場所にそろう為、コミュニティーの活性化は間違いなく行われただろう。
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ゲームプレイの部分でも非常に魅力的な「Gaming U」だが、遊び心満載な部分も伝えておこう。特に筆者含めて驚いたのが、2日目のバーベキュー後のイベントだ。
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肉をたらふく食べた参加者たちであったが、スタッフからある場所へ移動するよう指示があった。具体的に「どこにいき」「なにをするのか」は事前に伝えられていなかったが……
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その場所にはキャンプファイヤーが!しかもレッドブルと花火、そして野外スクリーンとゲームも用意されている。誰も予測しなかった最高な空間に、誰もが笑みをこぼした。なんといきな計らいだろうか。
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筆者も参加者に混じって楽しませてもらったが、「ゲームやっててよかったです」という参加者の声が今でも印象深く残っている。仕事で来ている身だったが、いい夏の思い出になった。
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だが、この「Gaming U」はこれだけでは終わらない。そう、最終日のトーナメントだ。前回の「Gaming U」でもそうだが、Red Bullは彼らを選手として扱う。ゆえに、トーナメントも演出も非常に拘られており、本格的な演出とステージを初めて目の当たりにした選手たちは緊張したことだろう。
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ステージを見守る選手たち
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実況席も用意
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なおこのトーナメントでは、これまで共に『ぷよぷよ』と『テトリス』を学んできた15名が激突し、上位2名が12月に大阪で開催される「Red Bull 5G FINALS 2015」のエキシビションマッチへの出場権を手に入れる。結果はさたかめ選手が優勝となり、しゃるるん選手が準優勝だ。
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昨今、日本でもe-Sportsやプロゲーマーが注目されつつある。それを後押しするように、世界的に競技人口の多いタイトルが日本向けにローカライズされ、賞金制の大会も多く開催されるようになってきたが、“競技タイトルとして選んだ作品のコミュニティーを活性化させる”という部分までカバーしているイベントや団体はそうはない。
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そういう意味でRed Bullは非常に面白い試みを実施しており、その熱量や雰囲気は本稿で伝えたとおりだ。まだまだe-Sportsが定着したとは言いがたい日本だが、今後の国内におけるゲーミングシーンとRed Bullの活動に期待したい。
「Red Bull 5G FINALS 2015」の開催は12月20日だ。