
まずはパーツを切り離します。プラスチックと違い、メタルや合成樹脂系のパーツはランナーが無いことが多いのですが、型を使った製造法の都合で生じる余計な部分を切り離す必要があります。ひょろひょろと出ている棒状のものも不要ですので切っておきましょう。
また、ミニチュアの足元の裏についている長方形のものは、タグと呼ばれていて、ベース(台座)によっては、そこをスリットに差し込んで固定できるようにするものもありますが、そういったベースを使わない場合は、切ってしまって問題ありません。
ちなみに、そこには商品名やメーカー名の他にも、物によっては原型が作られた年や、原型師の名前が入ってたりすることもあるので注目してみると面白いですよ。
切り離しは、合成樹脂系は前回紹介したプラスチック用で問題ありませんが、メタルの場合は金属用のニッパーを使うことをオススメします。切り離す方法は前回と同じで問題ありません。
切り残した部分は、ヤスリもしくはデザインナイフで削り取りましょう。メタルでもデザインナイフで削り取ることが出来ます。メタルにヤスリを使う場合は、目が細かい金属用を使うとよいでしょう。
ちなみに、削ることで発生する金属や合成樹脂の粉を吸い込むと体に悪いので、なるべく防塵マスクをして作業をしましょう。また作業が終わったら掃除機をかけましょう。
プラスチックと同じく、メタルや合成樹脂系の素材でも、やらなくてもいいけどやったほうがかっこよく見えるのがバリ取り。細かいことを気にしない方は、やらなくてもOK。
素材は問わず、前回の記事で説明したのと同じ方法でヤスリで削るか、デザインナイフナイフの刃をバリに対して垂直に立て、バリを撫でるように削ります。
ミニチュアゲームに使われるミニチュアは、その製造過程で型から取り外しやすくするために離型剤が使われています。実はこの離型剤、ミニチュアの表面に残っていると着色の際に塗料や接着剤の邪魔をして剥がれやすくしたり、塗料が乗らないようにしてしまったりしてしまう厄介なもの。
最近は技術が進歩したからか、離型剤があまり派手に残っていない製品も多く、気にしなくても大丈夫だったりするのですが、とはいえ万が一上手に塗れなかったら嫌なので、パーツを組み立て前に洗浄することがあります。
洗浄するかどうかはという考え方はファンの中でも意見の別れるところであり、プラスチックですら洗浄するという人もいれば、レジンだろうがなんだろうが洗浄は一切しないという人もいます。
筆者個人としては、プラスチック、レジスティック、ファインキャストは洗浄せずともまったく問題なく、メタルもよほど古いものでなければ洗浄不要(でも洗っちゃう)、レジンとボーンズは念のため洗浄したほうが安心という印象を持っています。というわけで、洗浄するかしないかはあなた次第。
さて、この説明を読んで洗浄したくなってきた方のために、やり方を説明しておきましょう。中性洗剤を入れたお湯につけ置きし歯ブラシでこすって洗うというやり方が一般的ですが、歯ブラシでゴシゴシやるのはなかなか面倒。
というわけで、今回はより簡単なものをご紹介します(中性洗剤を使った方法はガレージキットのパーツの洗浄方法として模型関連の資料が沢山あり、ネットでも検索をかければ一発で出てきますので、気になる方はグーグル先生を頼ってみて!)。

まず、ジョンソン・エンド・ジョンソンの『スクラビングバブル 激泡キッチンクリーナー』を用意します。これはスーパーや薬局等で300円くらいで売っています。本来はこすらず汚れを落とせることが売りのキッチン用品ではありますが、実は離型剤もこすらず落とせる優れもの。
続いてミニチュアを準備。個人的にはパーツの切り離しやバリ取りは洗浄の前にやっておきたい派ですが、作業の順番は特に気にしなくてOK。今回はレジン、メタル、ボーンズのミニチュアを洗浄してみます。

ミニチュアのパーツを完全に入れることができる適当な容器を準備します。今回は100円ショップで買ったプラケースを使いました。この手のものはいくつかあると、製作途中のミニチュアのパーツの保管にも便利なので買っておいて損はないはず。

次に、缶を軽く振り、パーツにぶっかけます。その名の通り激しく泡立つはず。この時、45度以上に傾けると泡が出ないので注意。吹くのが難しい場合は軽く容器を傾けるのをオススメします。
また、吹きつける際は、必ず換気をし、目に入らないように気をつけ、直接肌に触れないよう手袋をして作業をしましょう。
パーツが完全に泡で覆われたら数分放置します。すると泡が消えるので、今度は泡が直接触れなかった部分にも薬剤を回すため、お湯につけます(沸騰させたものではなく、人が浴びれる温度で)。
それから、数時間置いておき、今度はお湯を抜きます。この際小さなパーツが流れていかないように、目の細かいザルなどを用意しておくと安心。お湯を抜いたら今度はパーツをそれぞれしっかり水ですすぎ、タオル等で水気を取り、完全に乾かくまで置いておきます。濡れたまま作業を続けるのは、工具が錆びたり接着に失敗したりいろいろ問題が発生するので避けましょう。

これにて洗浄完了! 目で見て明らかに油のような離型剤がギトギトついていたものでない限り、洗浄前後の差はわからないかもしれません。
また、メタルであれば洗わず、真鍮ブラシで表面をゴシゴシ磨くという手もあります。私も以前はこの方法を使っていましたが、手が疲れるので、激泡キッチンクリーナーに乗り換えました。

メタルや合成樹脂は、プラスチックに比べてやわらかい場合が多く、開封すると派手にパーツが曲がっている事がよくあります(不良品というわけではなく、これが普通)。これもまた必須ではないものの、見栄え良くするために、直しておいたほうがよいでしょう。
メタルの場合は、細いパーツであれば手で簡単に元の形に戻すことが出来ます。あんまり何度も曲げたり戻したりすると折れますが、やさしく扱えば大丈夫なはず。もし折れてしまった場合は、後述の接着方法を参考に折れた部分をつなげましょう。大きかったり太かったりするパーツは、歪んでいると手でなおすのがかなり難しいので、あきらめるか、出来た隙間を後述の方法でパテで埋める等するとよいでしょう。
合成樹脂系素材の場合は、ドライヤー等で温めることで手で曲げて本来の形に戻すことができる場合がほとんど。ドライヤーでは無理な場合は、沸騰したお湯につけて取り出すと手でも修正できるようになります。やけどに注意し、お湯に出し入れするときは箸などを使いましょう。また火にかけたままではパーツが溶けるので必ず火を消して作業をしましょう。本来の形になったら冷水につけるとその形で固定できます。
この辺で一体成型のミニチュア(パーツのないミニチュア)の組み立ては終わりです。しかしながら、複数のパーツを使うミニチュアもたくさんありますので、念のため接着の方法も説明しておきましょう。
接着に移る前に、前回紹介した仮組みを行うことをオススメします。後で改めて説明はしますが、メタルや合成樹脂の接着には瞬間接着剤を使う関係で、パーツを間違えるというミスは痛いので、プラスチックの時よりも仮組みは重要となるでしょう。
さて、いよいよパーツを接着して完成……といきたいところなのですが、念のためのワンステップをご紹介しておきましょう。御存知の通り、ミニチュアゲームはミニチュアを直接手で触れて遊ぶゲーム。そのため、パーツがポロッと取れてしまうことも多々あります。
そんなトラブルを避けるため、パーツ同士の間に支柱を作り取れにくくするという作業があります。こちらも必須ではなく、特に接着する面(接着面)が大きいパーツ同士の場合は必要ではないことが多いのですが、念には念を入れたい方のためにやり方を説明いたします。

まず用意するのは「ピンバイス」(写真上)。『ミニ四駆』世代は、肉抜き等で使ったおなじみのものですが、パーツの接着面に支柱を差し込むための穴を作るのに使います。模型店等で1000円前後で売っているもので問題なし。作業中に刃が折れることもあるので、刃を交換可能な物がオススメ。また、ミニチュアはそんなに大きなパーツを使わないので、直径0.5~1.0mmくらいの刃を使えるものであれば問題ありません。
次に用意するのが「真鍮線」(写真下)。その名の通り真鍮製の金属線で、これをミニチュアのパーツ同士を支える支柱とします。模型店はもちろんホームセンターや東急ハンズ等でも入手可能なもの。最初はそんなに使わないはずなので50cm分もあれば十分でしょう。

それでは早速、接着するそれぞれのパーツの接着面の先端もしくは中心に1.0mmの穴を開けます。深さはそれぞれ3~5mmもあれば十分です。パーツが丸くなっている場合はその天辺をヤスリ等で平らにしておくと穴が開けやすいはず。
真鍮線を適当な長さに切ります。普通のニッパーでも切れますが、歯をダメにするので、気になる人は専用のニッパーを用意するか、ワイヤーカッターを使うとよいでしょう。
そして、切った片方のパーツの穴に差し込み、試しにパーツをくっつけてみましょう。明らかにパーツが浮いてしまうようであれば、真鍮線を短くするか穴を深くしましょう。真鍮線が短すぎてパーツがぐらつく場合は、改めてさっきより長めな真鍮線を用意しましょう。
パーツが接着剤無しでちゃんと安定すればこの作業は終わり。これで接着の準備はできました。