【hideのゲーム音楽伝道記】第23回:『ドクターマリオ』― 中毒性バツグンのアクションパズルを彩る音楽

インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第23回目となる今回は、『ドクターマリオ』をご紹介します。

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【hideのゲーム音楽伝道記】第23回:『ドクターマリオ』― 中毒性バツグンのアクションパズルを彩る音楽
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第23回目となる今回は、『ドクターマリオ』をご紹介します。



『ドクターマリオ』は、1990年7月27日に任天堂からファミリーコンピュータおよびゲームボーイで同時発売された落ち物アクションパズルゲームです。その後もニンテンドーゲームキューブ、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドー3DS、Wii Uなど、多数の機種で移植やリメイク作品が発売されています。

本作はタイトル通り、お医者さんに扮したマリオが登場し、カプセルを使ってビンに詰まったウィルスたちを退治していくというゲームです。プレイヤーはカプセルをうまく操作して、同じ色を4つ揃えてウイルスを消していくことになります。シンプルなルールながらも、一度始めるとなかなかやめられない、奥深い楽しさを持つ作品です。

◆2大名曲「FEVER」と「CHILL」


さて、そんな『ドクターマリオ』に欠かせない大きな魅力なのが音楽です。本作の作曲を担当したのは田中宏和氏。『メトロイド』、『バルーンファイト』、『MOTHER』(鈴木慶一氏との共作)などのゲーム音楽や、「めざせポケモンマスター」など、アニメ版『ポケットモンスター』の多数の主題歌を手掛けたことで著名な方ですね。

本作では、ゲーム中に流れる音楽を「FEVER」と「CHILL」という2つの楽曲から選ぶことができます。「FEVER」は“発熱”や“高熱”という意味があり、軽快かつ楽しげなサウンドでゲームを盛り上げてくれます。一方の「CHILL」は“悪寒”という意味があり、スローテンポで展開される妖しげな雰囲気を帯びたメロディがたまりません。この2曲は雰囲気が大きく異なりますが、どちらもメロディアスで耳に残り、かつ『ドクターマリオ』の世界観に非常にマッチした名曲です。

どちらの楽曲も魅力的ですが、どちらかといえば個人的には「CHILL」が好きですね。ゆっくり落ちついたテンポで奏でられる不思議なメロディと、妖しくうねるような音色が、「ビンの中にはびこるウイルスたち」、そして「カプセルを使い、焦らずに少しずつウイルスを退治していく」というこのゲームの雰囲気に見事にマッチしているように思います。

『ドクターマリオ』はゲームそのものの面白さはもちろんのこと、音楽の完成度がすさまじく高いです。田中氏が紡いだ音楽の力で、ゲームの中毒性をより高めてくれているように思いますね。



先日Twitterで、『ドクターマリオ』で好きな楽曲のアンケートを取ってみたのですが(ご回答いただいた皆さんありがとうございました!)、「FEVER」と「CHILL」で票がほぼ半々に分かれました。「FEVER」のほうが人気があるのかなと思っていたのですが、意外と「CHILL」派の方も多かったので嬉しかったです。この2曲はCDやレコードにたとえると、「FEVER」がA面、「CHILL」がB面といった趣がありますね。表と裏の関係というか。実際に「CHILL」は、任天堂の“B面音楽”を特集したサントラ、『ニンテンドーサウンドセレクション VOL.3 ルイージ(B-SIDE MUSIC)』に収録されたこともありますし(笑)。

◆『ドクターマリオ』の世界を彩る楽曲たち




2003年にニンテンドーゲームキューブで発売された『NINTENDO パズルコレクション』収録の『ドクターマリオ』では、先ほどご紹介した2曲のほか、さらに「CUBE」と「QUEQUE」という2曲が追加されました。「CUBE」はスローテンポでまったり系な楽曲、「QUEQUE」はアップテンポな楽曲です。「FEVER」「CHILL」と比べると知名度は低いかもしれませんが、この2曲も聴きごたえがありますよ。個人的には「QUEQUE」がおすすめです! 楽しげなドタバタ感があって、大いにプレイを盛り上げてくれますよ。僕はパズルコレクション版の『ドクターマリオ』をプレイする際、音楽を毎回「QUEQUE」にするくらいお気に入りでした(笑)。機会があればぜひお聴きになってみてください。

あと、『ドクターマリオ』の中で僕がもう1つおすすめしたい楽曲は、ゲーム中の最高難度となる「レベル20」をクリアした後に見られるエンディングの音楽ですね。美しく神秘的で、かつ切なさを帯びたメロディが不思議なくらい胸に沁み入ってくるのです。隠れた名曲だと僕は思っています。レベル20はビンの中をウイルスが埋め尽くしておりクリアが難しいので、ゲーム中で聴くのはなかなか大変かもしれませんが、ご興味をお持ちの方はお聴きになってみてくださいね。

◆他のゲームにも音楽が登場!


『ドクターマリオ』の音楽はその完成度ゆえか、他のゲームにアレンジされて登場することもしばしばあります。有名なところでは『大乱闘スマッシュブラザーズDX』に、操作キャラとしてドクターマリオが参戦するとともに、「FEVER」が酒井省吾氏によるアップテンポなアレンジで登場しています。また、「CHILL」のほうも、『大乱闘スマッシュブラザーズX』では岩崎正明氏のアレンジ、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』では、作曲者の田中宏和氏(「Hirokazu Tanaka. ex」名義)によるセルフアレンジを聴くことができます。面白いアレンジになっていますので、機会があれば耳にしてみてくださいね。

ちなみに、『スマブラ』にドクターマリオが参戦した理由は、『スマブラ』制作者の桜井政博氏が、『ドクターマリオ』の音楽を『スマブラ』に出したかったからなのだそうです。キャラクターよりも音楽が先だったんですね(笑)。

あとは、『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』収録の「細菌撲滅」でも『ドクターマリオ』の音楽が使用されています。「細菌撲滅」は、脳のトレーニングで疲れた頭をリラックスさせるためのゲームなのですが、音楽は「FEVER」がゆっくり落ちついたスローテンポにアレンジされたバージョンになっています。個人的にこのアレンジがとっても大好きでした。とても安らげて、頭をすっきりリラックスさせてくれるんです。サントラが欲しいなと思ったくらいお気に入りでした(笑)。 ※残念ながら、現在のところサントラ化はされていません。

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僕は『ドクターマリオ』を今でも時々遊ぶのですが、何度プレイしても楽しいんですよね。いつでもすぐ遊べるように、3DSにダウンロード版を常備しています(笑)。考えて指を動かすパズルゲームはちょっとした頭の体操にもいいと思いますね。あと僕が『ドクターマリオ』をプレイする理由には「音楽が聴きたいから」というのもあります。あの音楽にノリながらウイルスを消していくと、すっきりできるんです。これからも楽しくプレイしていくと思います。

余談ですが、ふだんゲームを遊ばない僕の母親は、なぜか『ドクターマリオ』だけは好んでプレイしていました。どうしてかは分かりませんが、お母さんがよく遊ぶみたいですね、このゲームは(笑)。



現行のハードで遊べる『ドクターマリオ』作品としては、3DS・WiiUのバーチャルコンソール(3DSではゲームボーイ版が、WiiUではファミコン版が配信)や、WiiU版の『Dr.LUIGI&細菌撲滅』、3DS版の『Dr.MARIO ギャクテン!特効薬&細菌撲滅』などがあります。あなたも音楽にノリながらウイルス退治して、すっきりしてみてはいかがでしょうか。

なお、『ドクターマリオ』の音楽が収録されているサントラとしては、『ファミコン 20TH アニバーサリー オリジナル・サウンド・トラックス VOL.3』、『ファミコン サウンドヒストリーシリーズ「マリオ ザ ミュージック」』、『任天堂 ファミコン ミュージック』などがあります。

個人的には『マリオ ザ ミュージック』がおすすめです!『ドクターマリオ』のほか、『マリオブラザーズ』、『スーパーマリオブラザーズ』、『スーパーマリオブラザーズ2』、『スーパーマリオブラザーズ3』、『スーパーマリオUSA』、『ヨッシーのクッキー』の7タイトルの音楽が収録されて定価2160円(税込)というお得な1枚になっています。ご興味をお持ちの方はチェックしてみてくださいね。

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さてさて早いもので、今年ももう終わりですね。日頃この連載をご覧いただいている皆さま、いつもありがとうございます。本連載では、来年も新旧問わず魅力的なゲーム音楽を色々ご紹介していきますので、2016年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。寒い日が続きますが、風邪などを召されぬよう、暖かくしてお過ごしくださいね。それでは、よいお年をお迎えください!

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。2016年もいろんな話題作が目白押しなので楽しみです。

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》

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