今回は予告どおり、ファット・カンパニーとガレージキットディーラー「りゅんりゅん亭」の原型師・遠那かんしさんによって生み出された若きブランド「パルフォム」から、2015年12月末に発売された「パルフォム 艦これ 夕立改二」のレビューをお届けしていきます。

以前から何度か紹介していますが、ここで改めて「パルフォム」という製品の良さ、そして改善してほしい欠点について率直な感想を記していきましょう。

パルフォムの特徴といえば、近年のデフォルメフィギュアとしては珍しい「頭身」。目算でだいたい4.5頭身くらいかなというスラっとしたスタイルとなっており、フィギュアというよりも「ドール」に近い印象を持つ人も多いようです。
表情パーツは全部で3種類。キリッとした「デフォルト顔(ゲームイラストっぽい)」、元気いっぱいな「ニッコリ顔」、ふふっと微笑む「すまし顔」が用意されています。ニッコリ顔は正面から、「デフォルト顔」「すまし顔」は左右に目を向けているので、さまざまなアングルから「夕立ちゃん」の目線をいただけるのはいいですね。写真を撮る楽しみが増えるってものです。

人差し指をつきだした手、ギュッと握ったグー手、連装砲を装備した右手、魚雷を構えた左手など、交換用ハンドパーツも豊富に用意されています。もちろん、アニメ版を思い出させる海上を走るときの航跡をイメージしたパーツから砲撃のフラッシュパーツなど、エフェクトパーツも用意されており、かなりボリューミーなセット内容となっています。
ちなみに夕立改二の特徴でもあるマフラー、そして淡いピンク色の髪の先、セーラー服などは柔らかめの素材で作られており、腕が干渉してもやりすごせるようになっています。
そして、艦娘といえば艤装。両足に装着する魚雷発射管と背部に背負う艤装もしっかりと作りこまれており、知人の艦船系のガチモデラーも「これは良く出来ている」と太鼓判を押していました。私はそのへん詳しくないのでよくわかりませんが、素人目にも「 おぉ」と感じる細やかさで、煙突のあたりは金属っぽい質感をメタリックな塗装で表現しています。

なお、筆者が購入したものは、艤装を装着する背部凹部と艤装の接続凸部のサイズが合わず、無理やりやろうとすると壊れそうなのでやめました。現在、時間を見つけてはヤスリで凸部のサイズを微調整しています。

ファットカンパニーといえば、グッドスマイルカンパニーのアクションフィギュア「ねんどろいど」のほか、「ミニッチュ 艦これ」「ミディッチュ アイドルマスター」といった人気シリーズを作っているメーカーであり、特にスケールフィギュアについては2次元から3次元にキャラクター自身を引っ張りだしたかのような「再現度の高さ」で、フィギュアファンの中でも高く評価されているメーカーです。
そこに今回は頭身が高めのデフォルメフィギュアを作らせたら右に出るものはいない天才(筆者談)であるフィギュア原型師・遠那かんし(りゅんりゅん亭)さんという強力なパートナーを得て実現したのが「パルフォム」なわけで、そりゃもう「なるべくして最高」としか言えない仕上がりになっています。開封した瞬間に猛烈なペロペロしたい感に襲われ、危うくヨダレまみれにしてしまいそうでしたし。

ゲーム業界的に置き換えればギレルモ・デル・トロ×小島秀夫×ノーマン・リーダスによって生み出された怪作ホラーゲーム「P.T.」といったところですかね。ゲームメディアで仕事してるくせにそれほど詳しくありません。ごめんなさい。
どのアングルから見てもカワイイ、オプションパーツも豊富、丁寧な仕上がり……ケチの付け所がなさそうに思える「パルフォム 艦これ 夕立改二」ですが、ひとつだけ致命的な欠点があります。
それは関節の可動域が狭いこと。特に肩部から腕、手にかけての可動域はそれなりに確保されているのですが、妙な引っ掛かりや取り回しの悪さを感じていますここに不満を感じているユーザーも多いのではないでしょうか。
マフラーや髪の毛に干渉することを考慮してもポージングにかなりの制限がかかるので、さまざまなポーズを取らせて楽しみたい人にとってはストレスになるでしょうね。

あとは股関節。最大まで前後にふとももを動かしても、この程度です。
さすがに「180度」まで開けとは言いません。ですが、せっかくスカートを柔らかい素材で作っているのですから、もう少し開脚できると嬉しいなという感じでした。
ただ、胸部に用意された関節によって、胸を張る(反る)ような姿勢が取れるのは素晴らしいと思います。これはもう今後も「パルフォム」の特徴のひとつとして、今後も続けていってほしいです。

ファットカンパニーは「パルフォム」の今後の展開として、2016年2月に「パルフォム ラビリス」を発売する予定。こちらは第1弾として登場した「アイギス」と同様にメカ系キャラクターということもあってか、肩部の可動域はそれなりに広そうです。
そして第4弾として開発中の「パルフォム 艦これ 時雨改二」。今回の「夕立改二」と似たコスチュームとなっていることもあって、そこで少しでも関節の自由度が改善されていることに期待しています。