この時期に気になるのは、やはり春アニメ。今期も様々な作品がスタートしており、好みに合いそうなものをチェックするだけでも一苦労です。視聴できる時間には限りがあるので、一話を見る前に視聴リストから外してしまう場合もあります。
そして泣く泣く切った作品が、後から名作だったと知ることもしばしば。配信やDVDなどで見る機会はあるとはいえ、リアルタイムに視聴できない悔しさを味わった方も少なくないのでは。それだけに「これは!」と思える、自分に合う作品を見つけた時の喜びはひとしおです。
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「甲鉄城のカバネリ」が描く時代は、産業革命が起こり、近世から近代に移り変わろうとしている激動の時代。ですが、史実を元にした世界観ではなく、蒸気機関が発達しているスチームパンクワールド。このレトロフューチャーな題材だけでも、好きな人にはたまらない切り口です。
ですが、本作の説明として外せないのが、「カバネ」の存在です。鋼鉄の皮膚で覆われた心臓を撃ち抜かない限り滅びない不死の怪物「カバネ」。しかも「カバネ」に噛まれた者は、一度死んだ後に「カバネ」となり蘇って人を襲います。存在の変質やサイクルの在り方などは、いわゆる「ゾンビもの」をイメージすると分かりやすいかもしれません。
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爆発的に増殖する「カバネ」に対して決定的な対抗手段を持たない人々は、「駅」と呼ばれる砦を作り、高い壁で囲って閉じこもる選択を選びました。この「駅」は各地にあり、その間を行き来する装甲蒸気機関車(通称「駿城」)がライフラインであり、また交通手段ともなります。この装甲蒸気機関車のひとつが、タイトルにある「甲鉄城」です。
「駿城」の行き来で生産物を流通させ、「駅」に閉じこもった人々。「カバネ」の侵入をくい止めるため、過剰なまでに敏感になる武士たち。時には、カバネの疑いがあるだけで、検証もせず撃ち殺すこともあります。そんな彼らに向かって「臆病者」と叫び、「カバネ」に対する手段を独自に追求する少年「生駒」を中心に、本作の物語が展開していきます。
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その後も美樹本氏の活躍は続きますが、近年はイラストレーターや漫画家としての活動が多く、アニメのキャラクター原案として注目を浴びるのは久しぶり。そのため、驚きや喜びの声が上がると共に、「今風なものが描けるのか?」といった疑問も一部のアニメファンから飛び出します。
ですが、その不安は二重の意味で杞憂だったと筆者は断言します。まず、本作品の監督を務める荒木哲郎氏はインタビューの中で、美樹本氏に「今、描かれている美樹本さんの絵が僕は好きなんです」と話しており、今流行っているテイストのビジュアルを求めていないことが明らかとなっています。また美樹本氏の原案から生まれたキャラクターに関して「狙った通りのビジュアルが実現できた」とも述べており、「甲鉄城のカバネリ」が持つイメージと合致していることが分かります。
そして実際に「甲鉄城のカバネリ」が放映されると、美樹本氏原案のキャラクターたちはいずれも画面の中できらめくような魅力を放っていました。これは筆者個人の感覚ではありますが、同じような感想を抱いた方もネット上に数多く見受けられ、一定数以上の支持を得ていることは間違いありません。
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また、素晴らしいのはデザインだけでなく、繊細なことで知られている美樹本氏の魅力を合わせ持ちつつ、アニメとして躍動感のある動きを披露している点も見逃せません。正直、「このクオリティで毎週放映できるのか!?」と余計な心配をしたくなるほど。まるで劇場アニメのようなクオリティが、迫力溢れるアクションと滑らかな動きで表現されています。その完成度を垣間見ておきたい方は、公開されているPVで直接確認してみてください。
YouTube 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=aZGjYjCnkLw
YouTube 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=ae33SmICsn0
YouTube 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=NljBw9RtOx4
この先は第一話のネタバレも含まれているのでご注意ください。