世界中で愛されている『ポケモン』ですが、意外なことに中国語版は発売されたことがありません。そのため、中華圏のファンたちは英語版や日本語版をプレイしており、中国語名称も公式なものではなく、ゲーム雑誌やファンたちの中から自然と生まれて出てきたものが使用されていました。
そんな中、11月18日に全世界同時に発売される『ポケットモンスター サン・ムーン』は、シリーズ初となる中国語版が含まれています。 しかし、それに先駆け任天堂から発表されたタイトルは「精霊寶可夢」であり、香港で親しまれてきた「寵物小精霊」でもなく、台湾名称である「奇寶貝」でもありません。
公式タイトルに不満を持つファンたちは多く、彼らは主にFacebookなどを通じ反対運動を展開してきましたが、改名騒動はこれだけでは終わりませんでした。
5月中旬に公開された『ポケットモンスター 赤・緑』の中国語名称リストに記載されているピカチュウの名前が、これまで香港で使われてきた「比[上下*]超」ではなく、台湾などの北京語圏で使用されている「皮[上下*]丘」だったのです。
香港では現在も広東語が公用語の一つであり(英語と普通話も公用語)、もっとも多く使われている言語です。 そのため、ピカチュウの名前にも広東語発音に近い「比[上下*]超」が使用されており、長年ファンたちに親しまれてきました。
同じ中国語でも北京語(普通話)と広東語では発音はもちろん一部文法も異なります。もし「皮[上下*]丘」になってしまうと、全世界で同じ発音で呼ばれている「ピカチュウ」の名前が、香港だけは全く違うものになってしまうのです。
これには、タイトル変更に対しては傍観していたファンたちまでもが立ち上がり、日本領事館付近でのデモも敢行されました。近年香港では広東語や繁体字を守ろうとする動きがあり、今回の問題も場合によっては政治問題化する恐れがあるのではと危惧する人も少なくないようです。
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