【特集】『UPPERS』高木Pの新居へ突撃!1つの区切りを迎えた漢が語る心境の変化と新作の魅力、そして目指す“テッペン”とは

これまで様々なタイトルを手がけ、“爆乳プロデューサー”の二つ名でも知られている高木謙一郎氏。ドット系RPGに新たな刺激をもたらした『勇者30』や、美少女爽快アクション『閃乱カグラ』シリーズ、『VALKYRIE DRIVE ?BHIKKHUNI-』などの代表作があります。

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【特集】『UPPERS』高木Pの新居へ突撃!1つの区切りを迎えた漢が語る心境の変化と新作の魅力、そして目指す“テッペン”とは
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◆『UPPERS』を企画した心情に迫る


──それでは、ここからは『UPPERS』に関して詳しくお聞かせください。まずは、どのような経緯で本作の企画が動き出したのでしょうか。


高木氏:中学生くらいのころから、いわゆる美少女モノと、男を中心としたアウトローモノを好んでいました。なので(アウトロー方面でも)「何かやりたいな」という思いがずっとあったんです。

──その想いが、大きなポイントだったわけですね。

高木氏:ドット絵のRPGを作りたい、という想いもずっと抱えていたんですが、そちらは後に『勇者30』で果たすことができました。また美少女モノに関しても、『一騎当千』や『閃乱カグラ』シリーズなどを手がける形になりまして。そうした歩みを経て30代を振り返り、「何をやり残しただろう」と考えた時に、ヤンキーテイストなどのアウトローモノだなと思い当たったんです。

──なるほど。これまで好評を博してきたタイトルと、出発点は同じだったと。

高木氏:その想いに気付いたら、もう誰に何を言われてもやりたい、という気持ちになってしまって(笑)。やらないと次のステップに行けない、という感じでしたね。やることやって、スッキリして次に行くべきだなと(笑)。

──本作にも相応しい、男らしい台詞ですね(笑)

高木氏:とにかくやり切りたい、という熱意を重視して取り組みました。

──熱意が『UPPERS』の原動力だったんですか。しかし想いがあれども、新規IPの立ち上げというのは大変だったのではないでしょうか?


高木氏:確かに現実的には、「それは面白いのか」「売れるのか」といった話にはなりますよね(笑)。本作に限らず全てのタイトルに関して社内で論議が行われるんですが、今回も「いいね」と推してくれる方もいれば、「うーん」と悩まれる人もいましたね。

ただ、新しいことをやっていかないと、ダメになってしまうと思うんですよ。何事もチャレンジしていくというのは社風でもあるので、1人の作り手として実践していくべきところでもありました。

──ではそういった挑戦は、本作ももちろんですが、今後も続けていくと。

高木氏:そうですね、死ぬまで(笑)。

──おおー!(笑) では今後の話は改めて伺うとして、引き続き『UPPERS』に関してお願いします。ちょっとお答えしにくいかもしれませんが、予約数の集まりが悪かったため発売が延期されましたよね。当時の率直な気持ちをお聞かせください。

高木氏:僕をはじめ開発に関わったスタッフたちは、いいものを作ったと思っています。そのため、1人でも多くの人に遊んで欲しいという気持ちがありました。この気持ちそのものは、本作に限らずいつもありますが。

ただ、頑張ったからどうだというのは、買う側にとっては関係ない話だとも思います。そこは当然分かっている上で、それでも興味を持ってくれる方を1人でも多く増やしたいという気持ちが大きかったですね。もちろん、既に予約して下さった人たちには待たせてしまうことになるので、申し訳ないと思ったのですが。

ビジネス的には当然リスクを負うんですが、長期的に考えてた上で、可能性の芽を最大限作りたいという想いでした。自分らの給料だけ考えるなら、そこですっと出してしまった方が楽な部分もあるんですけどね(笑)。

──経営的な意味で、延期せず出した方がいいという声もあったんですか?

高木氏:それはやっぱりありましたね。それも正しいと思います。プロである以上、そうあるべきだと。……でもやっぱり、エンタメをやっている会社として、ひとつひとつのタイトルを大切にしていきたいんです。年度年度の数字も大事ですけど、こういったやり方に関して、ウチの会社はすごく理解があるので。

普通の会社でやったらスゲー怒られて、しっちゃかめっちゃかになると思いますよ(笑)。

──発売の延期だけでなく、より手頃な価格に改定もしてますからね。この判断を下すのは、相当の覚悟があったのかなと感じました。

高木氏:何かが変わらなかったとしても、その時に思ったり、みんなで考えたことは、やっていこうという姿勢でした。後から「ああすればこうすれば」というのは、言いたくありませんからね。

──知ることができれば本作に興味を持ってくれる方々に、少しでも広めたいがための延期、そして手に取りやすい価格を目指した改定だったと。

高木氏:『勇者30』や『閃乱カグラ』のような、「30秒でクリアできる!」「飛び出すおっぱい!」といった刺激的なキャッチーは敢えて作らなかったんです。中間のいいところを突くような、変化球過ぎないところとでも言いますか。

──言われてみると、これまでの高木さんが手がけたタイトルと比べると、直球路線に近いかもしれませんね。

高木氏:その、ちょうどいいポイントにうまくハマれば、長く続くタイトルになるんじゃないかなと思いまして。だからこそ難しい、というのもあるんですけどね。

──伝えるという点で言えば、振り切った方が伝えやすいですよね。『UPPERS』の告知が難しかった一面も見えた気がします。そういった点も含め、苦戦するかもといった予感などはありましたか?


高木氏:苦戦するかも……と思いながらは作ってませんね。どんなに自分がイケてると思っていても、苦戦する時はするので(笑)。少なくとも僕らチームは、面白いものを作ってると思って開発しました。

……予約だ売上だというのも重要なんですけど、あんまりそっちばっかり見てもねぇ……(笑)。

──小声で何か聞こえたような!?(笑)

高木氏:まずはゲットして楽しめることが大事ですから。そして……後からきっと(売り上げが)ついて来るかもしれない、という妄想はありますね(笑)。そういう展開になることは正直ほとんどないんですけど(笑)。

──リアルなお言葉ですね!(笑)

高木氏:ちょっと違うかもしれませんが、コカ・コーラのようなものを作りたいんですよね。ずっと売れ続けていて、その中で少しずつ改良されていくような。

──クリエイターとして目指したい地点のひとつが、そこなんですね。

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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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