──それではここからは、『UPPERS』のゲーム内容に関して伺います。発売が目前へと迫りましたが、まだ本作をあまり知らない方に向けて、『UPPERS』の魅力をズバリ教えてください。
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高木氏:誰でも遊べる爽壊アクションゲームです。面白いアクションゲームはこれまでにもたくさんあると思いますが、僕らの売りのひとつにもしている「バイオレンス」と「セクシャル」が今回も無論盛り込まれています。
──『一騎当千』や『閃乱カグラ』などでもお馴染みの二本柱ですね。
高木氏:今回のセクシャルは、「ラッキースケベ」や「パンチラスロット」などがありますが、こういったセクシャル面とアクション性が本作では融合しています。これが新しい感覚や興奮を生み出しており、『UPPERS』の大きな魅力のひとつです。
──男としての感情が揺さぶられる切り口ですね(笑)。少し具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。
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高木氏:例えばプロレスのような格闘技イベントでは、魅せるプレイをしたらお客さんがワーッと盛り上がるじゃないですか。そうすると選手のテンションも更に上がって、闘いがどんどん派手になっていくと。そんな流れを、ゲームプレイを通して楽しめるようになっています。
ゲームファンにとって身近なところで言えば、ゲームセンターにおけるギャラリーとの関係性にも似てますね。周りにたくさん人がいて盛り上がっていたら、魅せるプレイをしたくなるじゃないですか。……そのせいで負けてしまうこともありますが(笑)。
──ありますあります(笑)。
高木氏:そういう、自分の“気分”がプレイの中に反映されていくというゲームになっています。もちろん、魅力的なキャラクターやコレクション要素、個性的なストーリーなども、欠かせない点ですけどね。
それと新規の一作目なので、過去作を勉強する必要もありません(笑)。スッと楽しめるのもポイントかもですね。あとは……頭を空っぽにして遊べるゲームなので、疲れて帰ってきた時のストレス発散にもいいですよ。「あいつムカつくなー」と、嫌な上司とかをイメージしながらプレイするのも一興かもしれません(笑)。
──次の日にすっきりして家を出られそうです(笑)。ちなみに本作の核となるアクション面に関してですが、この部分に関するポイントは何でしょうか?
高木氏:「重さ」や「痛み」ですね。今回は男性キャラがメインなので、その分思いっきりやってもいいんじゃないかなと(笑)。これまで(の過去作)ではやりにくかった表現をやりたかった、というのもひとつのポイントでした。
その反面、遊びやすさや楽しさも無論大事なので、「重さ」を残しつつも動きの制限を極力減らすといった調整も行いました。
──その一端が、体験版1から体験版2への進化ですね。(※行動キャンセルの大幅な開放など)
高木氏:コンシューマー機の醍醐味である「ボタンを押した時の気持ちよさ」は、今回も大事にしました。
──先ほど伺った爽快感に繋がる部分ですね。ちなみに、体験版2から製品版までに進化した部分はありますか?
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高木氏:細かいアクションの調整なども入れていますが、大きなところだと「パンチラスロットル」の演出ですね。いい役が出来るときは画面いっぱいに出るんですが、あの演出が「恥ずかしい」と思う方も結構いたんです。「あんな画面が出てきたら、電車の中でプレイできねーよ!」みたいな(笑)。
──あ……確かに、そこはかなり困りそうですね(笑)。
高木氏:そういった声があったので、オプションでON/OFFできるようにしました。ちなみにOFFの時は、画面の左端で小さく回ります。
──通常の役と同じ扱いなんですね。中高生くらいの時って、本心としては見たいけどその姿を友達に見せたくない、って感じありますよね(笑)。
高木氏:「お前、ONにしてんのかよー?」みたいな(笑)。
──ユーザーによっては重要な進化と言えそうですね(笑)。続いて本作の物語に関してですが、どのような方向性のストーリーになっているんですか?
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高木氏:アホみたいにケンカしているだけだとイカンので(笑)、「強くありたい」「モテたい」というところからスタートし、色んな人と関わっていくことで考えなどが変化していきます。
──成長が描かれていくんですね。
高木氏:技などもそうですし、精神的にも成長します。分かりやすく、かつ熱いストーリーになっていると思います。
──バトルと共に展開も盛り上がっていく、と。
高木氏:『UPPERS』に限らずなんですが、僕の好きなゲームのエッセンスもちょいちょい入っているので、それを見つけてみるのも楽しいかもしれません。本作の舞台になっている島の名前が「ラストリゾートアイランド」なんですが、これもSNKの『ラストリゾート』の響きが気に入ってまして。とにかくネオジオのゲーム、大好きなんですよ(笑)。
──見つけた時に、ニヤッとしてしまいそうです(笑)。あと重要な、「モテ要素」に関しても教えてください。
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高木氏:今回、女の子たち(クイーン)をバトルに一緒に連れていくことで、親密度を上げていくことが可能です。信頼度が上がるとパーソナルデータが明らかになったり、バトル中の恩恵がより大きくなります。「ご褒美ムービー」みたいなものも見られたり(笑)。
また小ネタとしては、クイーンに向かって「挑発」を行うと、ちょっと照れたりみたいなリアクションがあったりします。
──『閃乱カグラ』で言うところの「更衣室」に当たる場所があるのも嬉しいです。あそこでクイーンの姿をじっくり拝めますし。
高木氏:実は、僕が用意した企画書の中には、あの場所のことは一切書いてないんです。
──えっ、どういうことですか?
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高木氏:僕は何も言ってないのに、開発スタッフが「これ、要りますよね?」と、ある日いきなり見せてきて。勝手に作っていたんですよ(笑)。
──特に指示もなかったのに、必要だろうと思って先回りしてくれたんですか、スタッフさんが!(笑)
高木氏:そうなったらもう、「最高じゃねーか」としか言えませんよね(笑)。本当にありがとう、みたいな気持ちでした。
──高木さんのこれまでの積み重ねを、開発スタッフが汲んだんですね。
高木氏:『閃乱カグラ』も『ヴァルキリードライヴ』も『UPPERS』も、開発スタッフはそれぞれ別なんですよ。でも皆さんが、(高木さんの過去作よりも)「更に面白いものを作らねば」と切磋琢磨してくれてるんですよね。
──その結果、よりよいものがユーザーさんの手元に届く……これは、嬉しいスパイラルですね。
高木氏:それはもう本当に、絶対いいことですよね。
──ちなみに、高木さん個人が推したいキャラクターやクイーンとかいますか?
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高木氏:そうですね、主人公格の乱麻やミチルも好きなんですけど、白石凪といういじめられっ子を推したいですね。あのキャラも好きな漫画の影響を受けてまして(笑)。いじめられてた子が徐々に強くなったり、強くなる過程で歪みを抱えていったりとか、熱いですよね。
あとクイーンだと、中田松子が個人的に絶賛大ブームです。訛り女子、いいですよ!(笑)
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──方言キャラっていいですよね。一ゲームにひとりくらいいて欲しいです(笑)。
高木氏:なかなか難しい面もあるんですよね。声優さんとキャラのイメージの兼ね合いとか。『閃乱カグラ』でも岡山弁のキャラがいるんですが、あれは僕が岡山弁を監修できるので実現しました。
──方言喋る女の子って、優しそうだったり、気持ちがよりこもってるように聞こえたりしますよね。
高木氏:僕が育った岡山・広島あたりだと、ちょっとキツい言い方になるんですよね。だからその分、余所の柔らかめの方言に惹かれたりしますね(笑)。
──分かります分かります(笑)。ところでクリアまでにかかる時間などは、目安としてどのくらいでしょうか?
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高木氏:やりようによりますけど、ストーリークリアまでは大体10~12時間くらいになりますね。そこからコンプなどを目指していけば、20時間、30時間と遊べる内容を用意しています。
ちなみに調整の段階で、繰り返しによるやり込み要素などは非常に易しくして、ストレスなく楽しめるようなバランスにしました。その結果、10~12時間でぎゅっと凝縮して遊べるものになっています。ひたすらやり直させるような要素は、極力なくしました。
──作業的なものは、やっぱり辛いですからね。
高木氏:テンション下がっちゃいますしね。
──ゲームプレイそのものもアゲアゲ、と(笑)。ちなみにクリアして解放される要素などはありますか?
高木氏:ちょっとありますね(笑)。プレイしてのお楽しみということで。