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──ゲーム性に関する部分は、かなり“思い出して”いただけたようなので、続いてはグラフィック面などについてお聞かせください。
横田氏:こちらから出した企画を元に、グラフィックは全て日本一さんに作っていただきました。キャラクターの表情・動きはもちろん、マップのチップなども。その出来上がりに、僕ら全員すごく満足しました。
入間川氏:主要キャラクターに関して、イメージをすり合わせるためのやりとりなども行ったんですが、その中で生まれた設定画も限定版に収録されているんですよ。
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横田氏:そうだそうだ、思い出した!(笑)
入間川氏:ドット絵は、これまで僕たちが作ってきたゲームのテイストを汲んでもらって仕上げていただいた感じです。
──日本一さんは、『クラシックダンジョン』シリーズなど、ドット絵を活かしたゲームを今もリリースされていますから、ドット絵表現に関しては一日の長がありますよね。
山下氏:ドット絵表現は、『クラダン』もそうですし、他のタイトルでもちょくちょく出させていただいているので、他社さんには負けないと自負しているところのひとつですね。列車のドット絵とかも凄いんですよ。「デザイナーの人も絶対好きだろ、これ」みたいな完成度で。……それも限定版に収録されているので、ぜひ(笑)。
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──またそんな、購買欲をそそる台詞を(笑)。あとグラフィックと言えば、色々なテイストも入っている感じですよね。マップも『MOTHER』や『ポケモン』を彷彿とさせますし。
横田氏:何かに似せてくれというお願いはしていませんが(笑)、「テイストとして、こっち寄りで」という提案はさせていただきましたね。あと、シナリオなどから世界観を汲み取っていただいて、まさに「ちょうどいい」という感じのグラフィックが出来上がりました。
──では、SYUPRO-DXさんと日本一さんが出会ったからこそ、生まれたグラフィックだったんですね。
横田氏:ホントにそうです。僕ら全員、グラフィックを作るの上手くなくて(笑)。まさにタッグを組んだからこその『世界一長い5分間』になりました。
山下氏:『クラダン』などで積み上げてきたドット絵への強みが、ここでまた新たな実を結んでよかったと思っています。
──これまでSYUPRO-DXさんは、主にスマホアプリが中心でしたが、今回日本一さんとタッグを組んでPS Vitaに進出されましたよね。今後もこういった展開があると面白いと思うんですが、その辺りいかがでしょうか。
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浜中氏:その辺り、いかがですか?(笑)
山下氏:やりたいですね個人的には。
──もし出来るとしたら、『世界一長い5分間』の続編とか作ってみたいですか?
横田氏:おおー! 作ってみたいですね。続編みたいなものって、これまで作ってないんですよね。
浜中氏:確かに。
──“忘れたことを思い出していく”という『世界一長い5分間』の基本システムは、更なる可能性を秘めてるように感じるんですよね。
横田氏:確かに、色々な可能性はある構造だと思います。もし機会があるなら、続編やりたいですね。
──あとやはり、さきほど伺った別の企画も気になりますしね。あちらも見てみたいです(笑)。それでは次に、曲へのこだわりや見どころについて教えていただけますか?
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入間川氏:本作の曲は、ドット絵からイメージされるような解像度ではないんです。レトロテイストな見た目ですが、(ドット絵時代の電子音ではなく)解像度高めの音を使っており、その上で世界観と合わせるように心がけた、という点は強調したいところです。
あのグラフィックなので、ピコピコした音が鳴ってるイメージを持つ方もいますが、想像力を膨らませてもらえるような音作りを心がけました。
──音楽面も、過去作を経て進化してきた点なんですね。
入間川氏:スマホアプリ『あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね』までは、電子音主体で生楽器を多少足す、くらいでした。そこから生音の割合を少しずつ増やしていき、『彼女は最後にそう言った』で生音をかなり受け入れていただいたので、『世界一長い5分間』で思い切って入れてみました。
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──これまでの歩みがあったからこそ、本作の楽曲に繋がったと。
山下氏:ちなみに、それらの楽曲はどこかで聴けるんでしょうか?
浜中氏:! それはですね……!
横田氏:アプリ時代のBGMの推移がわかる39曲と、本作に収録される41曲、合わせて80曲を収録する大ボリュームのサウンドトラックが、初回限定版に付いてくるんですよ!
──おおおー!
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横田氏:これも、たった今思い出しました(笑)。
──どんどん思い出が蘇ってきますね(笑)。
横田氏:民族楽器なども使っているので、「旅をしている感覚」がより増していると思います。
入間川氏:過去の色々な偉業に影響されているので、プレイしている人の思い出を刺激できたら嬉しいですね。
──思い出を振り返るゲームで、自らの思い出も呼び起こす。そこも、本作ならではの特徴となりそうですね。
横田氏:そんなゲームとして受け入れてもらえたら、実に嬉しいです。
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──さてここまで、『世界一長い5分間』の本質に迫りながら、様々な記憶が蘇ってきたことと思います。なので、改めてお聞きします。本作の魅力とは、ズバリなんでしょうか?
横田氏:いろいろあって悩みますが、一言でいうなら「思い出のあたたかさ」ですね。
──思い出していただけましたか! そこが、本作の核なんですねっ!?
横田氏:はい、間違いありません。はっきりと思い出しました。
──ありがとうございます! あたたかさを感じることで、人生の困難に立ち向かえるわけなんですね。その魅力を秘める『世界一長い5分間』が、より多くの方の手に届くことを願っています。では最期になりますが、本作のプレイを心待ちにしている方々に向けてメッセージをお願いします。
横田氏:全員の方がいいですか?
──そうですね、よろしければ是非。では山下さんからお願いします。
山下氏:『世界一長い5分間』は、魔王戦から始まり、しかも主人公が思い出を失っています。この尖った設定から幕を開ける本作は、シナリオもシステムも「思い出を取り戻すこと」を軸にしているので、プレイヤーの皆様もそれぞれのゲーム体験を思い出しながら遊んでもらえると嬉しいですね。そして、『世界一長い5分間』をプレイしたひとときも、その「思い出」に加えてもらえたら最高です。10年後、20年後にまた思い出して欲しいですね。
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──思い出に始まり、思い出で締めくくる。いいですね。では次に……。
浜中氏:僕のコメントは、山下さんが言ってくれたことに入ってます。全部代弁してもらいました(笑)。
入間川氏:うん、確かに。
横田氏:その通りですね。
──えっ? じゃあ、山下さんのコメントが総括ということで……よろしいのでしょうか?
横田氏:はい、まったく問題ありません!
──分かりました! その清々しさ、嫌いじゃありません(笑)。本日はありがとうございました!
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『世界一長い5分間』は発売中で、価格は通常版が3,980円(税抜)、ダウンロード版が2,857円(税抜) 、初回限定版が5,980円(税抜)です。