説明会ではまず、EVOの代表であるジョーイ“ミスターウィザード”クエイラー氏とマーク”マークマン”フリオ氏が登壇。
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EVOの親会社Triple Perfect, Inc.のCEOミスターウィザード氏は、EVO Japan開催にあたり「EVOは格闘ゲームのお祭りみたいなものなので、皆さんにこの“お祭り”に楽しく参加してほしい」と述べていました。
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同社グローバルビジネスデベロップメントのマーク”マークマン”フリオ氏は、日本のプレイヤーがラスベガスまで来てくれているが、日本でもコミュニティの情熱、エナジーを作り上げたい、といった旨の意気込みを語っていました。
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次いで、Aetas株式会社代表取締役社長兼4Gamer編集長の岡田和久氏が登壇。EVOはプロ/アマチュア関係なくフラットな環境で戦う、これまで日本で開催されてきた大会とは毛色の異なるイベントである点、そして格闘ゲームというジャンルが日本が発祥であるものの、海外が一歩先に進んでいる点を説明。「EVOを招致することで、格闘ゲームシーンだけでなく、ゲーム業界全体を盛り上げられるフックとなれるように」と、その意気込みを語っていました。
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松竹ブロードキャスティング代表取締役社長 井田寛氏
その後はハーツユナイテッドグループのCOO松本壮志氏、松竹ブロードキャスティング株式会社 代表取締役社長の井田寛氏、松竹株式会社の常務取締役 岡崎哲也氏が登壇。各社とも日本の格闘ゲーム業界、ひいてはゲーム業界を盛り上げるために、関係者全員がフルスクラム状態で進めている点や、「EVO Japan」を日本のみならず世界中に認知してもらうために、放送/配信を中心にあらゆるメディアを駆使し発信していくと説明しました。
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続いて行われたのは、実行委員会からの概要発表。正式名称「Evolution Champion Series Japan」となる本大会の意義を「日本凱旋」「日本で迎え撃つ」と説明するハーツユナイテッドグループの小宮鉄平氏からは、金子紀幸氏を運営委員長に据えた点、ゲームイベント団体のTOPANGA代表豊田風佑氏及びGODSGARDEN代表の稲葉央明氏などが参画する点の説明が行われました。
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稲葉央明氏(左)と豊田風佑氏(右)
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次いで小宮氏より発表されたのが、EVO Japan第一回の開催時期。具体的な日時はEVO2017に採用されるタイトルの発表と同時期となりますが、現在のところ2018年1月の開催を予定しているとのこと。併せてプレ大会を開催し、EVOというイベントを知ってもらう機会を設けることも検討しています。またトーナメントタイトルについては、2017年のEVOにて発表することを明らかにしました。タイトルについては狭義の格闘ゲームだけでなく、対戦ゲーム全般を考慮に入れて検討する旨も伝えられました。
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「EVO Japan成功へのカギ」として今後の展望を語るために登壇したのは運営委員長に任命されたハメコ。氏こと金子紀幸氏。EVOの魅力が、人数制限のないオープントーナメントや豪華な賞金などであり、それらをEVO Japanへ反映させることを解説しながらも、大前提としてコミュニティのための大会である点を強調。EVOの会場でフランクにゲームを楽しむ様子の写真を差しながら、これこそがEVOを象徴する絵であることを伝えていました。
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また、点在するコミュニティの統合も視野に入れてるEVO Japan運営委員会。前述のとおりTOPANGA、GODSGARDENといった大きなコミュニティに協力を仰ぎましたが、ゲームセンター「ミカド」で築かれているコミュニティなど他多数の団体とも協力。「(コミュニティを)仲間外れにはしない」と、国内でのEVO Japanの盛り上がりを作るために様々なコミュニティを巻き込んで行われることとなります。
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ステージの最後には、RedBull所属/Twitchグローバルアンバサダーの梅原大吾選手、Evil Geniuses所属のジャスティン・ウォン選手が登壇し、金子氏とともにインタビュー形式で対談。「EVO Japanがどういった大会になれば喜んでもらえるのか」といった質問について梅原選手は、自分の好きなタイトルを持ち寄ってプレイできるのがEVOの良い点であることに加え「EVOがチャンスの場であり、勝つことでプロになる、注目を集めることができる。優勝せずとも活躍することで、その人のゲーム人生が大きく変わるイベントだと思っているので、日本で開催する際もそれらの部分を出せると良い」と回答。ウォン選手からは、アメリカに来られない日本在住のプレイヤーと巡り会える良い機会になってほしい旨を伝えていました。共に、EVO本来の持ち味をEVO Japanでも発揮できることこそが、多くの人を喜ばせる方法であると考えているのかもしれません。
説明会最後の質疑応答の部分ではいくつかの質問が飛び交いました。EVO Japanの目標来場者数について聞かれたところハーツユナイテッドグループの小宮氏は、EVO2016では15,000人ほどの出場者がいましたが、EVO Japanではまだ同じ規模の人数とは想定しておらず、まずは約半数の8,000人の来場者を目指すとのこと。
そしてやはり気になる賞金授与についても、質問が及びました。法律の違いにより、アメリカと同じスキームで日本で運営するのは難しい点は認識していると説明する小宮氏。賞金は出すが、それらの問題をクリアした上で本開催をしたいと説明し、具体的な説明は避けられたものの、本国EVOの魅力のひとつでもある要素は無視しない姿勢であることが伺えました。
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今回の説明会で特徴的だった点は「e-Sports」という言葉が出なかったこと。賞金やトーナメントなど、参加者が競い合い、頂点を目指すといったスタンスもあれど、他の競技性を持ったゲーム大会とは異なり、あくまで格闘ゲームを始めとした様々な対戦ゲームを参加者全員で「楽しめる」ようなイベントを目指していることが伝わりました。
1995年に始まり、20年以上の歴史を持つEVO。日本国内での開催は、アメリカ・ラスベガスでの開催とは条件も異なり、様々な困難が待ち受けているとも予想できますが、プレイヤーやファンにとって、より身近に格闘ゲームをエンジョイできる環境が出来上がってきていると言っても過言ではないでしょう。