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2017年7月に公開されたPS plusフリープレイソフトの中でも、一際目立つ独特の雰囲気を醸し出しているのが、PS4/PS3/PS Vitaソフト『The Unfinished Swan(アンフィニッシュド スワン)』です。真っ白で何も見えない世界に、黒いインクを好きなだけばら撒くという独特の魅力を持つこのタイトル、さっそく筆者もプレイしてみました。
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本作の主人公となるのは、ごく普通の少女モンロー。モンローのお母さんは何かを始めても終わらせることが苦手な性格で、彼女が亡くなった時は300枚以上もの絵がすべて未完成の状態で残されてしまいました。その中から好きな絵を1枚だけ持って施設で暮らすことになったモンローはある夜、選んだ絵に描かれた白鳥が消えていることに気付きます。モンローは白鳥を探しに、目の前に現れた不思議な扉を開けるのでした……。
という、まるで絵本のような情緒感たっぷりのプロローグが流れた後、ディスプレイに真っ白な画面が映し出されます。
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※バグなどではありません。本当にこういう画面が出てきたのです。
この画面のまま、しばらく経っても何も起きません。筆者は「ちょっとロードが長いゲームなのかな」と首を傾げながら、ゲームがスタートするのを待ってました。
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※繰り返しとなりますが、掲載する画像を間違っているわけでもありません。
ところがいくら待っても、一向にゲームが始まらないのです。退屈に耐えかねた筆者は気晴らしにコントローラーのボタンを適当にガシャガシャと押します。すると…
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バシャッ!
画面からボールが飛び出し、当たった場所に黒いインクのようなものが撒き散らされました!しかし「何々をしろ」といった指示や、プレイヤーの体力を示すライフバーのようなものは何一つ表示されていません。筆者は訳が分からぬまま手当たり次第、インクが入ったボールを周囲に投げていきます。
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そうするとさらにインクが広がって、何もない真っ白な世界だと思っていたフィールドに、実は壁や通路が隠れていたことが分かります。そう、本作は一見何も存在しないかのように見える白い空間に黒いインクをばら撒いて、浮き上がってくる輪郭を頼りに道を探していくという、とてもユニークなゲームなのです。
筆者は何も知らずに本作を遊んだため気付くのに時間がかかってしまいましたが、冒頭の真っ白い画面から、すでにゲームはスタートしていたのでした。こうして振り返ると、「早くゲーム始まらないかなぁ」と口を開けて、ぼんやりと画面を眺めていた自分が恥ずかしくなってきます……。
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無我夢中でインクボールを投げていくと、ここにはベンチや樹木、池など様々なモノが存在していることに気付きます。何も無いのではなく、何も見えていないだけ。見えていないものを、存在しないと人が勝手に勘違いしているだけ。なにやら小難しい表現になってしまうのですが、このゲームを遊んでいるとそんな不思議な気持ちになってしまうのは筆者だけでしょうか。
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時折、フィールドには白鳥の足跡らしきものが現れます。おそらくこの足跡を辿っていくと、絵から逃げ出した白鳥に出会えるのでしょう。この足跡だけはプレイヤーがインクを投げても塗りつぶされることはないので、安心して追いかけることができます。
敵に襲われたり、複雑な謎解きを求められたりといったことはなく、主な操作も「移動」「ジャンプ」「ボールを投げる」だけと非常にシンプル。誰でも気軽に、この幻想的な世界での冒険が楽しめます。特に、撮影したスクリーンショットがどれもこれもアーティスティックで格好良く、筆者は絶好の撮影ポイントを求め、白鳥を探すことも忘れてウロウロ歩き回ってしまいました。
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1点、気になる点を述べるとすればFPSに酔いやすい方は、適度に休憩を挟みながらプレイすると良いかもしれません。激しいアクションはありませんが、インクを投げたらすぐ目の前が壁だった!なんてこともあり、これまでにないゲーム体験に頭の脳も驚いているのかも。
とはいえ、インクを撒き散らして道を見つけた時の気持ち良さというのは、本作でしか味わえない感覚となっているので、ぜひ1度は体験して頂きたいと思います。同じフィールドでも、インクの撒き方によって、浮かび上がる世界は多彩な表情を見せてくれます。本能の赴くままにインクを広げて、自分だけのモノトーンな世界を探してみてはどうでしょうか。
『The Unfinished Swan(アンフィニッシュド スワン)』はPS4、PS3、PS Vitaにて配信中。価格はPS4版とPS Vita版が1,296円(税込)、PS3版が1,234円です。PSplus会員であれば2017年8月1日(火)まで、フリープレイとして配信されています。
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