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キム・ヒョンテ氏は、韓国のイラストレーターでゲームデザイナーも務めています。『創世記戦3』、『マグナカルタ』のキャラクターデザインや、『ブレイドアンドソウル』のアートディレクションを手がけました。『デスティニーチャイルド』は自身が手がける初のスマートフォンアプリです。
──韓国ではすでにリリースされていますが、ユーザーの反応はいかがでしょうか?
キム氏:コアなユーザーにアピールできるかなと思っていましたが、初日から予想の10倍ぐらいのユーザーさんにプレイをしていただけました。お陰様でしばらくの間は売り上げランキング1位を維持できましたが、サービスとしては足りない点が多かったことが事実でした。日本版ではリリース直後から期待に応えられるようにしたいですね。
──日本でのリリースにあたって、ローカライズ以外で手を加えている部分はありますか?
キム氏:絵やメインストーリー以外はすべて作り直しています。中心軸は一緒ですが、日本人に親しみやすいように見せ方を変えている感じです
──スマホ版とちょっぴりセクシーなPC版のちがいについて教えてください。
キム氏:スマホ版は全年齢の対象に合わせてバランスをとる必要があります。一方、PC版は自由で大胆なイメージを見てもらえると思います。プレイするアカウントは共有できますので、外出先ではスマホ版、自宅ではPC版と、シーンに応じたプレイスタイルを選択することが可能です。
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──本作には何体ぐらいのキャラクターが登場しますか?
キム氏:モンスターを含めて300体ぐらいいます。私自身も150体ぐらいデザインをしており、400体近くは準備もしています。Live2Dで動くのですが、タッチモーション以外にもダメージを受けた時やストーリー上の演出で使うモーションもありますよ。
──ご自身がデザインしたキャラが、Live2Dで動いているのを初めてみたときの感想を教えてください。
キム氏:初めてLive2Dで自分のキャラクターを動かした際は、自分で設定を行いました。目をひとつ描くにしても白目、黒目、瞳、影、まつげ、眉毛、まぶたなどパーツが多く、キャラクター1体に対して平均200ピースもパーツがあり、とても大変な作業になりました。そのため、工数を考慮するとLive2Dは採用できないかもと思ったのですが、Live2Dに対応したキャラクターの動きを見てしまうと、止まっているキャラクターが生きている感じがしなくなりました。そこで、Live2Dの採用を決め、開発期間を6ヶ月から3年に変更しました(笑)。
──日本では『マグナカルタ』のイラストで一躍有名となりましたが、いまとはイラストや描き方にちがいはありますか?
キム氏:絵を描く人は、誰でも時間が経つにつれ画風が変わっていきますよね。その変化についてあまり好意的ではないユーザーさんがいらっしゃることも承知していますが、私は絵がどんどん進化していくべきだと思っています。絵を見てくださる方がアーティストの思いを共有するのが大変なイラストもありますが、私が描きたいのは気楽に見て楽しい絵ですね。
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──イラストへのこだわりはありますか?
キム氏:僕は人間の体を描くのが得意分野ではなく、事実どおりに描くというより自分の欲望を反映して描いています。だから、単にキレイに描かれたキャラクターではなく、気持ちや感情、物語があるのでそれがうまく伝わるようにしたいと思ってデザインしています。日本にはすばらしい絵師さんがたくさんいるので、僕も負けないようにがんばりたいです。
──お気に入りのキャラクターとして主人公を上げた理由は?
キム氏:彼は、誰にも嫌われたくないし、誰とでも良好な関係を保ちたいという欲がとても強いんです。その気持ち故に、周りの人にこき使われている姿が、僕と似ているからですね(笑)。
──メインストーリーのボリュームはどれぐらいになりますか?
キム氏:把握しきれていないのですが、だいぶ前に小説7冊分は超えています。背景イラストも数100枚以上ありますよ。イベントで紹介した温泉のようなコンテンツについては……ご期待ください(笑)。
──夜の世界には何があるのですか?
キム氏:サブコンテンツが集まっているエリアです。ショップや悪魔たちの戦いを中継する放送局があったり、バトルイベントがあったりですね。悪魔は、現実世界で影に隠れ人間と契約してチャイルドを生み出しているのですが、そうした悪魔を利用する裏の世界の人間が存在しています。
──韓国版では『ストリートファイター』とのコラボなども行われていますが、日本版でもこのようなコラボは行われますか?
キム氏:できるだけ積極的に進めていきたいですし、準備もたくさんしています。単純にビジネス的なコラボレーションではなく、お互いのユーザーさんが喜んでもらえるようなコラボレーションにできたらいいですね。
──先日、日本向けツイッターアカウントが開設されましたが、どういった狙いがありますか?
キム氏:日本ではイラストレーターとファンが交流しているのがうらやましいなと思い、僕も交流できたらと考えてアカウントを作りました。
──ユーザーと触れ合えるようなイベントは今後も行う予定ですか?
キム氏:できればたくさんやりたいですね。日本にもたくさん来たいと思っています。ただ、一概に声を拾うのではなく、ゲームが持っている守るべき重要な価値があり、きちんとそれを保ちつつユーザーが求めるものを継続的に提供していきたいです。
──本作の音楽、そして担当されたESTi氏について教えてください。
キム氏:ESTiとは中学生時代からの知り合いで、もう20年以上の関係です。そのため、こうして欲しいと言葉で言わなくても、作品を見てこれが合うだろうと考えて積極的に作曲してくれました。一緒に仕事をしたのは今回が初めてでしたが、お互いのことを知り尽くしているので、一心同体のような感じでうまくいきましたね。音楽はボーカル曲を含めて70曲以上収録されているので、楽しみにしていてください。
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──日本版リリースを心待ちにしている読者にメッセージをお願いします。
キム氏:自分のゲームを、自分の手で、直接みなさんに紹介するチャンスをいただき、感極まる気持ちです。みなさんが末永く付き合ってくださるようなゲームにしたいと思いますので、よりがんばれるよう応援や期待の声をいただけるとうれしいです。
──ありがとうございました。
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