「知識だけでは得られないものがある」―ディライトワークス肉会Vol.5レポ

10月6日、iOS/Androidアプリ『Fate/Grand Order』(以下、FGO)をはじめとしたアプリの企画・開発・運営を行うディライトワークスが「肉会(MEAT MEETUP) Vol.5 ゲームディレクター限定キャリア相談会」を開催しました。

モバイル・スマートフォン iPhone
「知識だけでは得られないものがある」―ディライトワークス肉会Vol.5レポ
「知識だけでは得られないものがある」―ディライトワークス肉会Vol.5レポ 全 17 枚 拡大写真

10月6日、iOS/Androidアプリ『Fate/Grand Order』(以下、FGO)をはじめとしたアプリの企画・開発・運営を行うディライトワークスが「肉会(MEAT MEETUP) Vol.5 ゲームディレクター限定キャリア相談会」を開催しました。


ディレクター限定ということで、今回はディレクターについての濃厚なトークが繰り広げられました。登壇したのはFate/Grand Order第2部開発ディレクターの叶良樹氏、北米版ディレクターと新規プロジェクトなどのディレクターを担当している浅沼拓志氏、そして司会として登壇した「FGO PROJECT」クリエイティブプロデューサーの塩川洋介氏。叶氏といえば今では生放送にも登場するFate/Grand Orderの顔ですが、ゲームの裏側の話を聞ける場は少なく、浅沼氏が担当する北米版についてはさらに少ないです。そんな貴重な機会となった、トークセッションの様子をお届けします。


まず語られたのは「FGO PROJECTにおけるディレクターの役割」について。叶氏は「カラフルな黒子」と、一言で分かりみの深いワードを回答。叶氏は2017年にディライトワークスに入社し、4月1日に登場したアプリ『Fate/GrandOrder Gutentag Omen』を担当されたとのことでした。そしてあれよあれよという間に『FGO』の第2部のディレクターを担当し、今に至るそうです。

回答の「カラフルな黒子」は、気配を消していても絶対目立ってしまうという理由から。普段はユーザーから見えない所でゲームの開発をしている叶氏ですが、ステージやニコ生では顔を出して、『FGO』がどれだけ良いものか宣伝しています。だからこそ会場で歩いていると、「叶さんですか?」と聞かれることも……多くのユーザーがいるからこそ、色々場で見られていることを実感しているそうです。


続く浅沼氏は「FGO伝導師」。『FGO』はTYPE-MOONの作り上げる世界観が魅力の作品であり、どうその面白さを伝えていくのか。それを考えるのがディレクターの役割だと回答していました。特に海外展開をする際は、本版で開催したイベントやサーヴァントをなるべく変更せず、そのまま伝えることに一番気を付けているそうです。ただ、どうしても国や文化の違いで受け取り方が違う部分も出てしまい、大変な事も多いのだとか。

例えば、本編はシナリオが日本語である以上、日本語じゃないとその持ち味が分かり辛くなってしまうというネックな部分があります。特にエドワード・ティーチの使うオタク用語は、理解している北米のファンもいるのですが、翻訳のニュアンスが違うとキャラクターの魅力やシナリオの面白さが伝わり切らなくなってしまいます。そのため言葉を調査し、現地のプレイヤーに「この翻訳は分かってるね」と言ってもらえるように心がけて作っているそうです。


続いては「ディライトワークスでディレクターとして働く魅力」。叶氏は「ただただ、純粋に面白く」と回答、これはディライトワークスの「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう」という開発理念をより強調したものでした。ディレクターはゲーム創りに集中し、面白さを追求して開発できるような環境なので、後で「こうやりたかった」と後悔する事はないそうです。そうした環境で働いていると、同じ会社内でも他のプロジェクトの状況を知った時に、「自由に作ってるなー!」と驚くこともあるのだとか。


浅沼氏は「世界を知れる」と回答。北米版『FGO』が以前アプリのセールス1位になった時、それがどのような立場なのか、数字やプロセス、ユーザーを知ることができ、さらに『FGO』のディレクターたちと情報を共有できる。それによって世界の規模感を知ることができます。これは知識で身に付けられるものではなく、そこに立ってみないと分からないものだと語りました。また、日本でのシナリオやサーヴァントをほぼそのまま海外で展開しても世界から反響があることから、ゲームの面白さは国によって違うものではなく「不変」であることが分かったと語っていました。それはまさに、過去日本で誕生したゲームが今でも海外で愛されていることが証明しているのだと思います。


最後は「どんな人がディレクターに向いているか?」というテーマに。ここでスライドに「裏切り者」というワードが出てきて驚きましたが、それは「“予想”を裏切る人」という意味でした。「普通はこういう風に作る」と思っていると、「それって本当に面白いの?」と、予定調和で制作を進行すると、ディライトワークスでは「それって本当に面白いの?」と議論になるそうです。「普通」に囚われず、そしてもっと面白い物に向かって制作に取り組める、そんなことがやりたい人。さらに色々な物事に目を向けることができて、行動に移せる人がディライトワークスではディレクターに向いているそうです。「外から見ると苦しそうにしか見えないけど」と苦笑していましたが、笑って話せるということが、皆さんの仕事への楽しさややりがいを象徴しているように見えました。




最後には次のイベントの告知、そして『FGO』をこれからもユーザーに楽しんでもらうために、未来の『FGO』のディレクター候補と出会う場として、「三代目 Fate/Grand Order ディレクター候補 採用オーディション」の告知がされました。ちなみに「三代目」とありますが、『FGO』の第3部などとは関係なく、叶氏は今後も『FGO』のディレクターとして活躍するそうで、今回のオーディションはあくまで未来のディレクター候補との出会いの場とのこと。告知と発表を終え、イベントは〆となりました。


次回の「肉会(MEAT MEETUP)」はゲームプランナーキャリア相談会、11月2日に開催予定です。


ちなみに、Vol.5のテーマは“マンガ肉”でした



《タカロク》

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

特集

関連ニュース