人間賛歌
同シリーズが今なお名作として語られるのは、グラフィックや音楽の美しさ、マス目を活かしたバトルシステムの面白さ、遺跡ダンジョンやハンターギルドなどのやりこみ要素など、ゲームとしての完成度の高さゆえなのは間違いない。
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しかし、個人的には「勇者が魔王を倒してハッピーエンド」という分かりやすいストーリー展開でなかったことが大きいと思っている。確かに「大崩壊」という結末に向かっていく流れゆえに、暗く重く受け止めなければいけないエピソードも多かった。それでも、アークたちの生き様が希望に感じられたからこそ、決して絶望で終わらなかったのだ。人間の暗い部分を描きつつも、それを乗り越える善性に賭けているのは人間賛歌にほかならない。「その時は報われなかったように見えたとしても、正しく生きなければいけない」だと強く思えた。
『I・II』から『R』へと紡がれる
アークザラッド『I・II』のオリジナルスタッフが再集結し、「大崩壊」から10年後を描いた正当続編である『R』が2018年8月23日、スマートフォン向けRPGとして配信開始した。
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『R』では、勇者アークと聖女ククルの犠牲によって闇の支配者を封印したものの、世界の大陸の半分が海に沈み、人類はその半数を失った世界が舞台。復興に向かって進む世界で、アルディア帝国がかつてのロマリアのように世界統一に向かって動き出す。それを止めるために新主人公のハルトとヒロインのミズハを中心に、かつて世界を救ったアークに思いを託された英雄たちが巻き込まれていくというストーリーだ。
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今度は、エルクがハルトを見守って支える側になっている。こうやって、人は正しい生き方や思いを繋いでいくのだと改めて感じる。何度過ちを犯して後悔しても、再び過ちを犯す人間の際限ない欲望は自分の中にもある。正しく生きるのはそれだけで苦難かも知れない。しかし、世界がより良い方向に進むため、自分も次代に託せるような生き方をしたいと思っている。それを教えてくれた「アークザラッド」に感謝している。
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『アークザラッド R』は好評配信中。基本プレイ無料のアイテム課金制です。
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