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舞台は『ロマシング サガ3』より約300年後。8人の救世主がアビスの四魔貴族を退かせ、平安を取り戻したはずの世界に突如現れたのは、異世界の過去の瞬間が囚われた塔「GRAVE グレイヴ」でした。塔を攻略した者は、召喚された異界の戦士たち(サガシリーズ歴代の登場キャラクター)の力を得ることができます。主人公・ポルカはさらわれた妹のリズを助けるため、塔から異界の戦士たちを仲間に加え、妹を探す戦いの旅に出るというストーリーです。
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バトルも「陣形」「閃き」「技」「術」「連携」「BP」「LP」といったシリーズならでは戦略性の高さに、「オーバードライブ」などの新たなシステムが融合することで、より進化しました。スマホならではの「オートバトル」「全力オート」といったお手軽プレイも可能です。バトル自体が回復よりは攻撃に重きを置いており、ボス戦であっても短期決戦のようなスピーディーさです。
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本作の最大の魅力は、『ロマンシング サガ』に留まらず、『サガ フロンティア』や『アンリミテッド:サガ』などのサガシリーズ歴代登場キャラクターが集結したこと。作品ごとに思い入れのあるキャラクターを選んだドリームパーティーを編成できます。ファンがなじみ深いドット絵のグラフックなのも嬉しいところで、シリーズを通してキャラクターデザインを担当した小林智美氏のイラストはもちろん、新イラストレーターによって季節ごとに異なる新たな装いで描かれたイラストもグラフィックに落とし込まれています。
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本稿ではオールスターが集結した本作の魅力を、代表的な歴代シリーズ作品を振り返りながらお伝えします。
■ロマンシング サ・ガ
発売日:1992年1月28日
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マルディアスという世界が舞台。太古の時代、デス、シェラハ、サルーインの3人の邪神が神々の王エロールに戦いを挑んだものの、デスとシェラハは最後に降参し、サルーインは神々の王が作った10個の宝石によって封印されてしまった。それから1000年後、封印されたサルーインの復活が刻一刻と近づく中、境遇も目的も違う8人の主人公の冒険が幕を開ける。
『ロマサガシリーズ』は何と言っても、自由度の高さが当時では画期的でした。8人の主人公の誰を選んで初めても良いですし、フリーシナリオなのでどのように進めても最終的にはクリアできる仕組みになっています。また、他の主人公も含めてキャラクターの中から誰を仲間にするかも自由に選ぶことができます。
初期パラメーターや成長速度が違う8人の主人公は、単純なレベルアップではなく、使う武器や術などによって腕力、体力、素早さなどが上昇する仕組みです。このスタイルは、以後も引き継がれました。
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モンスターに城が襲われて家族を失ったアルベルト、財宝を求めてミリアム・ガラハドと共に世界を旅するグレイ、遊牧民「タラール族」の族長・ニザムの孫娘アイシャなど、世界観の奥行きが深く、点と点が結ばれて自分が歩んだ道が物語になる達成感はシリーズのファンには病みつきでしょう。
小林氏の品格漂うキャラクターデザイン、音楽の美しさもシリーズ大ヒットを支えたのは間違いありません。後に、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』(2005年4月21日)としてリメイクされており、同じ小林氏によってキャラクターデザインも一新されたため、2パターンあります。
■ロマンシング サ・ガ2
発売日:1993年12月10日
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「主人公は皇帝で、世界を脅かす七英雄を倒す」という、男の子なら燃えずにいられない要素が詰まった本作。「かつてモンスターの脅威から世界を救った7人の英雄は、いつか再び現れて世界を救う」と人々の間で語り継がれる世界で、数多くのモンスターが人々を脅かす乱世になって七英雄は戻って来ますが、彼らは世界を救うどころか各々が裏で悪事を働いて世の中を混乱に陥れていました。
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そんな折り、小国「バレンヌ帝国」では全盛期の領土を取り戻すために名君と名高い皇帝レオンが周囲のモンスター駆逐に力を入れていました。しかし、ある日、国を襲った七英雄の一人・クジンシーに長男ヴィクトールの命が奪われてしまいます。
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その直後、正体不明の魔道士が帝国を訪れ、七英雄を警戒するよう忠告するとともに、自らが認めた跡継ぎに能力を受け継がせる「伝承法」を伝えます。レオンは負けると分かっていながらもクジンシーの館に赴き、クジンシー必殺の「ソウルスティール」を受けて命を落とします。
しかし、その能力は次男・ジェラールに引き継がれ、彼は「ソウルスティール」の見切りを身に付けたことで見事にクジンシーを打ち倒すのでした。こうして、バレンヌ帝国は伝承法によって代々の皇帝に能力を引き継がせながら、領土拡大と世界の平穏を脅かす七英雄打倒を目的とした長い戦いを繰り広げていくのです。
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どこか頼りなかったジェラールがレオンの意志を受け継いで別人のように逞しくなった姿、領土が増えて大学を建てたり、親衛隊を設立したり、帝国が発展していく過程など、見所がたくさんです。主人公が代替わりするのもあって、シリーズで最も自由度が高いと言えるかもしれません。
■ロマンシング サ・ガ3
発売日:1995年11月11日
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シリーズ最高傑作との呼び声が高く、『ロマサガRS』と時間軸が繋がっているのが本作です。300年に一度起こり、その年に生まれた全ての生命が絶命する「死食」。しかし、600年前に唯一生き残った赤子は「魔王」となり、「アビス」と呼ばれる地に住む四魔貴族を従えて世の中を支配しました。魔王が居なくなった後も四魔貴族が世界を支配しましたが、300年前に再び死食が起こり、生き残った赤子が成長して仲間とともに世界を蹂躙していた四魔貴族をアビスに追い出しました。「聖王」として偉業を称えられます。
そして15年前に、3度目の死食が起こります。今回生き残った子は魔王になるのか、聖王になるのか…この時代に生まれた境遇の違う主人公8人が、ロアーヌ侯国で起きた反乱に巻き込まれるところから幕が上がります。
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素早さの重要度が非常に高いため、8人の主人公の中で最速であるカタリナの人気が高く、それがあってか、『ロマサガRS』でも様々なスタイル(イラスト・能力違い)のカタリナが用意されています。推されている感じですね。
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