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かつてペンフレンドだった「文野 亜弥」からの手紙をきっかけに、島根県を舞台とする謎に満ちた物語を紡いだミステリーアドベンチャー『√Letter ルートレター』。
主人公からの手紙を最後にやり取りが途絶えたと思われていましたが、15年の時を経て、亜弥から届いた未開封の手紙を発見。そこには、「私は人を殺してしまいました。罪を償わなければなりません。これでお別れです。さようなら」といった衝撃の告白が。しかもその手紙は消印もなく、いつ届いたのかも分かりません。
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その手紙をきっかけに、島根へと旅立つ主人公。これまでの手紙に記されていた亜弥のクラスメイトを訊ね、告白の真意に迫ろうとしますが、なぜか彼らは口を揃えて「文野 亜弥という名前のクラスメイトはいない」と断言。しかも文野 亜弥という女性は、25年前に亡くなっていたことも判明し、事態は予想もしない方向へと転がっていきます。
この、謎が謎を呼ぶミステリーADV『√Letter ルートレター』は、謎めいた物語や舞台となった島根の細かな描写などで当時注目を集めましたが、更なる展開でユーザーを驚かせます。それは、実写化を施した、『√Letter ルートレター Last Answer』の登場でした。
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亜弥や各クラスメイトはもちろん、宿屋の女将や街の住人など、総勢90人の実写キャストが登場し、物語を彩る形に。更に、この「ドラマモード」とは別に、従来のビジュアルで楽しめる「オリジナルモード」も収録。虚構と現実が織りなす表現で、『Last Answer』を盛り上げます。
今回は、この『Last Answer』のプレイを通じて、『√Letter ルートレター』からパワーアップを果たした要素、特に“実写化”について掘り下げたレポートをお届けします。なお、新要素のひとつである「解明編」については、物語の直接的なネタバレになってしまうため、本記事では割愛させていただきました。こちらの点が気になる方は、実際にプレイして確かめてみましょう。
◆『√Letter ルートレター』の実写化は、前のめりなチャレンジ─ゲームの実写化を振り返る
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『√Letter ルートレター』のキャラクターデザインを手がけたのは、ゲーム関連でも多数の代表作を持つ箕星太朗氏。その繊細なタッチで描かれたキャラクターはいずれも魅力的で、見る者の目を奪うほど。本作のキャラクターたちが登場する2nd Trailerでも、どこか物憂げで、だからこそ惹かれるキャラクターたちがその姿を顕わとしています。
そんな『√Letter ルートレター』の実写化を実現した『√Letter ルートレター Last Answer』では、1st Trailerなどの映像にも実際の俳優・女優陣が登場。この2つの映像を見比べるだけでも、異なる手法がもたらす表現の幅や違いなどを実感できることでしょう。特に、『√Letter ルートレター』に慣れ親しんでいた方ほど、『Last Answer』の映像は衝撃的かもしれません。
ですが、ゲームの表現として“実写”を選択するケースは、数こそ多くありませんが、ゲーム史を振り返るといくつもあります。例えば、過激な格闘表現と実写を組み合わせた『モータルコンバット』シリーズで、実写ゲームの存在を知った方も多いのでは。
ADV関連でも実写を導入した作品は多く、侵入者を撃退する『ナイトトラップ』、渋谷の街を舞台に、主人公たちの関係や状況が絡み合う『サウンドノベル 街 -machi-』(PS版は『街 ~運命の交差点~』)、映像記録から事件の真相に迫る『HER STORY』など、枚挙に暇がないほどです。
ですが、実写ゲームは単体作品が多く、『√Letter ルートレター Last Answer』のような“シリーズの発展系”として登場することは稀です。数少ない一例として、『ストリートファイター』シリーズにて、『ストリートファイター ザ・ムービー』や『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』が登場していますが、こちらは実写映画「ストリートファイター」の関連作品といった側面もあり、やや事情が異なります。
『Last Answer』に近い例としては、育成シミュレーションゲームの黎明期に登場した『卒業 ~Graduation~』が実写化した『卒業R ~Graduation Real~』や、横スクロール型シューティングゲーム『超兄貴』シリーズに名を連ねる『超兄貴 ~究極無敵銀河最強男~』などがありますが、実写ゲーム全般と比べるとその数はかなり限られます。しかも近年では、実写ゲーム自体が少なめです。
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そんな時代に、敢えて実写化という道を選んだ『Last Answer』。これまでのゲーム実写作品と比べても、本作がどれだけ挑戦的なタイトルなのかが窺えます。
◆『√Letter ルートレター』実写化がもたらした恩恵は、“現実感”と“圧”
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ゲームを実写で表現する手法は、プレイステーションやセガサターンの時代に大きく台頭しました。ハードの性能が上がったことが大きな要因ですが、近年では更なる性能の向上によって実写のようなCG描写が実現したためか、実写を用いたゲーム作品はあまり見られなくなりました。
しかし、「リアルな描写」と「現実」は、あくまで似て非なるもの。もちろん、CGだからこそ現実を超える作画が可能なので、どちらが上という話ではありません。いずれも違う表現だからこそ、それぞれが異なる魅力を内包しているのです。
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そして、実写表現が『Last Answer』にどのような影響を与えたのかと言えば、ひとつは「臨場感」だと筆者は感じました。『√Letter ルートレター』は現代を舞台としながらも、15年前の真実を目指す物語でもあります。また、物語の中心にいる亜弥は、クラスメイトから存在を否定されており、非常に謎めいていました。
非常に魅力的ながらも、どこか曖昧な少女である亜弥を、箕星氏の筆致は見事に再現しており、儚さも伴ったキャラクターとして『√Letter ルートレター』の中で息づいています。実在も確かではないからこそ、その幻想的な在り方とイラストレーションとして描かれる“亜弥”の存在感がマッチしました。
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では、実写化を果たした『Last Answer』では、イラストと存在感の関係はどのように変化したのでしょうか。もちろん亜弥も、実在する人物である「山本あこ」さんが演じています。彼女の本作での描かれ方は、実写である点を除いては『√Letter ルートレター』と変わらず、謎めいたまま。そのミステリアスな雰囲気は、本作でも損なわれていないように感じました。
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しかし、実写化が大きく影響したのは、むしろ亜弥以外の面々だったように感じます。実在も不確かな彼女を追いかける物語において、その“曖昧さ”をより強調するには、亜弥をより曖昧にするよりも、対比となる存在をより色濃くした方がいいケースもあります。今回に関して言えば、“他の登場人物が実写化した”ことで対比がより明確となりました。
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登場人物、そして舞台背景までも実写化しており、いずれも実際に存在する人々や街並みです。それは誰にとっても分かりやすく、そして説明不要の“現実感”と言えます。亜弥の存在を否定する際、同じようにイラストで描かれたキャラに言われるよりも、実写の登場人物に言われる方が、現実的なパワーとしては強いように思います。幻想は美しく、リアルはたくましい、といった話にも近いのでしょう。
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ただし、「リアルな描写」と「現実」が似て非なるものと同じく、“現実感”とリアリティーも決して一致はせず、説得力と“現実感”が噛み合わない場面もあります。イラスト的なCGで描く世界と、実写を用いた世界では、いわゆる“物語の嘘”を許容しやすいラインが異なるのかもしれません。
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また、愚かさや滑稽な面もあるのが人間ですが、“リアリティのある滑稽さ”を表現するのは、実写でもイラストでも至難の技。そういった点を抱擁できるか否かが、『Last Answer』を楽しめる分水嶺のひとつと言えそうです。
そして、実写化による大きな影響と言えば、“圧”についても触れたいと思います。こちらはごくストレートな話で、「現実の人間は強い」という事実を、本作で改めて思い知らされました。
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名前のない住人も含め、登場人物が全員実写化している『Last Answer』。ADV全般では、登場人物の視線は主人公に向けられており、引いては画面越しにプレイヤーを直視しています。CGの時はそこまで意識しなかったのですが、それが実写となると、その“圧”は桁違い。お店にきた客や通行人ですら、目力を感じます。
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物語の展開上、過去を隠そうとする亜弥のクラスメイトとは対立する形になり、厳しい視線を向けられることもしばしば。オリジナルモードでも敵対的な表情は向けられますが、実在する人間からの拒絶は、かなりの圧力です。この点を、臨場感が増したと捉えるかどうかも、『Last Answer』との相性が試される部分でしょう。挑戦的な作品だけに、向き不向きが分かれやすいとも言えそうです。
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もちろん、実写描写はドラマモードに限った話なので、オリジナルモードに切り替えればなんら問題はありません。実写の点を差し引いたとしても、遊びやすく改善されたシステムや、追加されたシナリオなどがあるので、『√Letter ルートレター』よりも『Last Answer』の方がお勧めです。
◆最も注意すべき人物は“マックス”! 登場人物の過去を容赦なく暴き、感情移入派のプレイヤーにも大打撃!?
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こちらは『Last Answer』の新要素ではなく、『√Letter ルートレター』にも共通した点となりますが、これから本シリーズを遊ぶ方に向けて、ひとつだけしっかりと伝えておきたいポイントがあります。
本作の主人公は、亜弥と文通をしていた“マックス”。この名前はいわばペンネームで、本名な自由記入で設定できますが、ペンネームは不変です。そして、この“マックス”とプレイヤーの距離感を誤らないよう注意してくださいと、強く記しておきます。
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15年前の過去を探り、その真相に近づくためには、亜弥のクラスメイトの証言がとても重要です。しかし彼らの口は重いので、一見を案じなければなりません。が、その手段について、マックスはまるで容赦がなく、過去の汚点(例:自分に責がある試合の大敗)やコンプレックス(例:過去、太っていた)なども容赦なく持ち出して、クラスメイトたちを精神的に揺さぶります。
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その手口はまるで、やり手かつやり過ぎなベテラン刑事のよう。その意味では非常に物語的とも言えますが、主人公はあくまで一般市民。また、「急がないと誰かの命が危ない」といった緊急性ゆえの強引さではなく、自身が抱いた謎を解き明かしたいがための行動なので、情状酌量の余地もあまり感じません。
物語の主人公は、そのタイプも実に様々。「24 -TWENTY FOUR-」のジャック・バウアーは、時間が限られているため強引な手段に出ることも多々ありますし、「リーガル・ハイ」の古美門研介は正義とは全くかけ離れた弁護士で、依頼人に対してすら辛辣な言葉をぶつけることも。両名とも品行方正とは言い難いものの、同時に魅力ある主人公として存在しています。
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こうした例を踏まえると、マックスの過激な言動・行動も「主人公」という枠をはみ出すものではありません。しかし一方で、本作はTVドラマや小説などではなく、プレイヤーの操作が介在するゲーム。プレイヤーとゲームの主人公は(例外もありますが)、非常に近しい関係にあり、他のメディアに比べて遥かに感情移入しやすい媒体です。
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映画や漫画ならば許容しやすい主人公も、ゲームだと受け入れにくい・・・といったケースも少なくありません。本作のマックスは、必要な情報を引き出すためならば、カツラをつけていると指摘して動揺を誘い、相手自身にそれを剥ぎ取らせるように誘導することもあります。精神を限界まで追い込む手腕は見事ですが、人間的な面で引っかかるところがあるのも否めません。
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そのため、『√Letter ルートレター』シリーズを遊ぶ上で、主人公への感情移入は避けることをお勧めします。特に、主人公と自分を重ねるタイプのプレイヤーは、ある程度心の距離を保ったプレイを心がけましょう。目的のために手段を選ばない、その意志の強さはまさしく主人公なので、こういったタイプが好きな方ならばむしろお勧め。パワフルな主人公をどう受け止めるかで、本シリーズの評価も大きく変わるかもしれません。
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実写化を経て、過去と現実がより浮き彫りになった『Last Answer』。登場人物の迫力も増したため、各キャラの印象も深く残りやすくなりました。その“圧”や、精神的にタフ過ぎる主人公とうまく付き合えれば、『Last Answer』は様々な物語を提供してくれます。
中には、予想外の驚きに繋がるものや、縁の導きで辿り着く結末などもあるので、興味が湧いた方は最後までじっくり遊んでみてください。そして、エンディングに辿り着いた後は、『Last Answer』だからこそ味わえる“その後”を描いた「解明編」もご堪能あれ。
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また、1月23日(水)の19:00~20:00(予定)に、特別番組「角川ゲームスお年玉抽選会」が、角川ゲームス公式Twitter(@Kadokawa_Games)にて配信されます。お年玉大抽選会やルートレター川柳コンテストの発表などが行われるので、そちらもお見逃しなく。
■詳細URL:https://otoshidama.kadogames-server.com/
??角川ゲームスお年玉抽選会にも沢山のご応募をありがとうございました…1月23日に角川ゲームス公式Twitterで配信予定の「お年玉抽選発表会」にて当選者を発表しますのでお楽しみに。。。????????
— 角川ゲームス【公式】 (@Kadokawa_Games) 2019年1月14日
1??配信 角川ゲームス公式Twitter
2??時間 19時?20時予定 pic.twitter.com/6bJWiQLLd0
おはようございます??#角川ゲームスお年玉抽選会 にご応募頂いたルートレター川柳を拝見し…和んだりニンマリさせて頂きました…いよいよ23日(水)に優秀作品を発表させて頂きます。。。???????? #ルートレターLA pic.twitter.com/cTDv9TzCOH
— 安田善巳/ゴッドウォーズ (@yasudaD5) 2019年1月17日
※(注)「角川ゲームスお年玉大抽選会2019」&「ルートレター川柳コンテスト」の応募は終了しております。