主人公はそれぞれが全く異なるタイプのキャラクターで、純粋な青少年キャラ、メガネキャラ、イケメンチャラ男、クール、堅物、ヤンキーなど選り取り見取り。それらのキャラクターはデザインとセリフ、そして声優陣の演技によって見事に描き分けられていますが、中でも突筆すべきなのは彼らのモーションでしょう。佇まいや、歩いたり走ったりする姿、話に対するリアクションを見ているだけで、そのキャラクターのパーソナリティが伝わってくる作りになっています。
今回はそのモーションにフォーカスして、本作の魅力をお伝えします。全キャラを紹介することはできませんが、『十三機兵防衛圏』に興味を持っていただければと思います。
呼吸のテンポや瞬きまで、丁寧に描かれたキャラクターたちの佇まい
本作のキャラクターは姿勢や立ち姿もちろん、静止時の呼吸や瞬きの仕方まで細かく描き分けられており、それぞれの息遣いまでもが感じられるようになっています。
【夕暮れの街並みに佇む網口愁】
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立って呼吸をしているだけで髪がなびいてしまう網口愁。その様子からちょっとチャラいイケメン男子の雰囲気が感じられます。
【少女と向き合う比治山隆俊】
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白い軍服に身を包んだ比治山隆俊(画像中央)。服装から察することができますが、実は学徒兵なのです。真っ直ぐに伸びた姿勢は、若くても一兵卒としての力強さが伝わります。
【駅のホームに立つ緒方稔二】
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厳つい表情の緒方稔二(画像中央)。リーゼント、というかポンパドールですが、この髪型にはいろいろ漫画の影響もあってファンも多いでしょう。全身で呼吸をする姿は荒々しく自分の感情を隠さない、いかにもな不良少年の様相です。
各キャラクターの性格やバックグラウンド、心情が反映されるようにモーションを作り込んでいるようです。呼吸や諸動作にも説得力があり、そのキャラクターの語られていない心情まで透けて見えるようだと実際にプレイして感じました。
歩き方、走り方。そのキャラクターの運動神経から、感情の動きまでが伝わる。
実際に操作を始めてみると、その歩き方や走り方までも、13人分それぞれ丁寧な描き分けがなされていることがわかります。
特に注目したのは体操服姿が特徴的な南奈津乃。最初に操作するときは制服姿ですが、走らせてみただけで、この子はスポーツマンなんだとすぐに分かるように描かれています。他のキャラクターの走り方とどこがどう違うのか、なんとも言葉で表現できないのですが、走るフォームといい、手や足の動きといい、プレイヤーの感覚に訴えかける動きになっています。おそらくですが、人の動きをとことん研究して、アニメーションに盛り込んでいるのではないでしょうか。
歩き、走りのモーションには前述の立ち姿と同様にキャラクターの感情面も現れています。自信のなさや、自分を大きく見せようとする気持ちなど、キャラクターの心理を描くのにも一役買っています。
また、ロングヘアーの女の子たちは、移動の際に髪が揺れます。その描かれ方も、髪の毛一本一本がバラバラと動くなど、自然な表現になっています。
【校内を駆ける南奈津乃】
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南奈津乃の走る姿。一目で走るのが得意だとわかる綺麗なフォーム。直感に訴えかけてくるモーションに、作り込みの高さが感じられます。
【堂々と歩く鷹宮由貴】
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スケバンの鷹宮由貴。胸を張って自分を大きく見せるように堂々と歩き、走る際には気持ちの乗った前のめり。力強い自分を見せようとする彼女の意識が感じられるような表現になっています。
【下校中の薬師寺恵と如月兎美】
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薬師寺恵と如月兎美の歩く姿。それぞれ髪型が異なれば、髪の動き方も異なります。
恥じらう少女の仕草は必見。固有モーションの作り込みレベルも高い
イベントシーンにもキャラクター独自の動きが作り込まれており、プレイの没入感を高めてくれます。中にはちょっぴりサービスシーンもあり、その仕草やキャラクターの表情に思わず見入ってしまいます。
キャラクターの感情の動きを、セリフで説明するのではなくモーションで表現しているため、より説得力が増し、キャラクターへの共感もしやすくなっています。
【鞍部十郎と森村先生】
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保険の先生と急接近し思わず視線を落とす鞍部十郎(画像左)。自然な動きでキャラクターの感情が伝わってきます。十郎の気持ちとシンクロした人も多いのではないでしょうか。
【敬礼する三浦慶太郎】
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帽子をとって敬礼する三浦慶太郎(画像右から2番目)。キビキビしているが、なめらかな動きで帽子をとって胸元まで持ってくるので、見ていて気持ちの良い動きになっています。彼の実直な性格が伝わるモーションです。
【南奈津乃のサービスシーン】
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先述の南奈津乃のサービスシーン。体操服を脱ぎかけたところで、物音に気づきとっさに裾を伸ばして隠す動き。彼女の恥じらう様子に不覚にもキュンとしてしまいます。服を脱ぐ所作も一見の価値があります。是非、ご自身でプレイしてみてください。
【転ぶ冬坂五百里】
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パンチラを得意とするメインヒロイン体質の冬坂五百里(画像左)。パンツを隠す動きの作り込みは、制作スタッフの並々ならぬこだわりが感じられます。赤面する表情の出来も相まって現段階で本作の白眉と呼べる場面でしょう。ちなみに本プロローグでは二回拝むことができます。
サブキャラクターや背景までも手抜かり無いクオリティ
13人の主人公以外のサブキャラクターの表現にも手抜かりがありません。さらには背景の一部になっているキャラクターも繊細に描きこまれており、それぞれのバックグラウンドまで想像できてしまいます。プレイする際には是非隅々まで注目して頂きたいです。
【保険室の森村先生】
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説明不要のセクシー担当、森村先生。あらゆる部分が素晴らしい動きを見せてくれます。本プロローグ内では白衣以外にも様々な衣装や出で立ちで登場するので、ぜひ実際にプレイしてその目に焼き付けてほしいところです。
【慌てた様子の沢渡美和子】
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一部の層から人気を集めそうな沢渡美和子(画像右端)。髪をいじったり、腕をブンブン振ったりと独自のモーションも多く用意されており、その多様性は13人プレイヤーキャラクターに匹敵、もしくはそれ以上でしょう。制作陣の愛着が感じられます。
【番長の輪島武美】
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近隣の高校の番長である輪島武美(画像左から2番目)。脇役だが、主人公たちの数名と関連があり、今後の展開が気になるキャラクター。ゆったりとした呼吸に拳を鳴らすモーションなど、強さと貫禄が表現されています。しかし意外にも・・・?
【窓際の少女】
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十郎のクラスメイトで窓際に座っている少女。完全に背景だが、背景の一部とは思えないほど丁寧に書き込まれており、モーションもしっかりある。眼の前の友人と話しているようだが、どこか儚げな表情にそそられます。
【髪を結んだ少女】
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アホ毛っぽく髪を結んだ少女。教室の前の席でぼんやり手元を見ています。見ていてなんとなく危なっかしい感じもあり、つい世話を焼いてしまいそうなタイプ。背景のはずなのに素性を想像できてしまいます。
キャラクターたちへの愛が込められた本作に期待大
本作は丁寧に作り込まれた造形とモーションで、キャラクターを眺めていたり動かしていたりするだけでも、多くの発見と楽しみを見つけることができる作品になっています。
本プロローグをプレイすることで、制作スタッフの並々ならぬ努力と、絶対に良いものを完成させるという自信が感じられます。しかし何よりも、制作陣が本作品に登場するすべてのキャラクターに愛情を注いでいるということが伝わってきました。
ここまで紹介してきた登場人物の表情や所作からは、プレイする人たちに彼らのことを好きになってほしいという、製作陣の親心を感じます。
そんなスタッフの思いが、本プロローグのNEWGAMEを起動したときの最初のメッセージの中にある、「是非13人の顔と名前を憶えて頂けたら幸いです。」という言葉の中に込められているように思います。
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シナリオ面、ゲームシステム面でも非常に関心が高まっている『十三機兵防衛圏』。作り手達の愛が伝わってくる本作のプロローグは、本編への期待を否応なしに高めてくれます。2019年の秋は、『十三機兵防衛圏』無しには語れなくなりそうです。
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