ステージはエレキコミックの今立進さんのMCで始まり、プロデューサーの荒木竜馬氏、キャラクターデザインを担当した板鼻利幸氏、作曲家の谷岡久美氏、フィオナ姫を演じた声優のLynnさんが登壇。荒木氏が「発売日が2020年1月23日に決定しました!」と言うと、今立さんから「でも、昨年のゲームショウでは2019年内に発売すると言っていましたよね?」と鋭いツッコミが。荒木氏は「お待たせして申し訳ありません。追加要素を入れたり、新たにやりたいことができてしまったりと、欲が出てしまいました。その理由(となる新要素の数々)を、本日お話させていただければと思います」と答えました。

今回登壇したスタッフの中で、板鼻氏と谷岡氏は2003年発売のゲームキューブ版も手がけています。それについて谷岡氏は「(板鼻氏とは)『チョコボの不思議なダンジョン2(1998年発売/初代PlayStation用ソフト)』の頃からの縁だよね? その少し前にハワイで初めてお会いして」と語り、板鼻氏は「スクウェア(現 スクウェア・エニックス)のスタジオがハワイにあったものですから」と補足しつつ「その時ちょうど誕生日をむかえられていたのに、誰にも言い出せずお一人でホテルで過ごされていたんですよね(笑)」と当時のエピソードを語り、谷岡氏を悶絶させました。
「音楽とデザイン、それぞれのプロダクトから影響を受けることはあるのか?」という質問には、板鼻氏は「基本的には同時進行しますのでお互いに"のぞき見"しながらやっていく……という程度なのですが、僕と谷岡さんは好みの世界(観)が近いので、いつも安心してお任せしています」と語りました。デザインに関する当時の思い出話を求められると、「(主人公たちが持ち運ぶ)クリスタルケージのデザインがとにかく難しかった。ツボにしてしまうと中身が見えないし、ただのガラス瓶では特徴に欠けてしまう。地球儀や天球儀をモチーフにして、ようやくデザインが固まりました」と語りました。


当日はスクウェア・エニックスブースでも展示されていました
思い出話がひと段落すると、荒木氏があらためてリマスター版の魅力や特徴を解説します。本作はPlayStation 4、スイッチ、スマートフォン(iOS/Android)で2020年1月23日に同時リリースとなり、さらにオンラインマルチプレイに対応。その他にも、以下のような多くの新要素/追加要素が紹介されました。
◆キャラクターボイスの追加
プレイヤーがメイキングするキャラは4種族すべてに男4パターン、女4パターンのボイスが用意されているほか、ストーリーを彩るキャラクターたちにもボイスがついてます。今回登壇したLynnさんは、アルフィタリア城の王女であり、クラヴァットとリルティのハーフでもあるフィオナ姫を演じます。
荒木Lynnさんが『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!』でクロマを演じているのを見て、「この人ならフィオナ姫(役)も似合うはず」と思ったのでオファーさせていただきました。
Lynn『エブリバディ!』のとき、荒木さんに「いつかご一緒させていただければ」とご挨拶したのですが、その時からそう思ってくださっていたことを今初めて知りました(笑)。


◆高難易度ダンジョン&ボスの追加
新緑が萌えるダンジョンが見渡すかぎり紅葉していたり、水の豊かなマップが一面の雪景色になっていたりと、バリエーション違いのマップが豊富に用意されているそうです。難易度は、マルチプレイが推奨されるやりこみ甲斐のあるものになっており、それにともない、新たな武器防具、それらを作るレシピも追加されます。

◆キャラクターバリエーションの追加
4種族に男女1パターンずつ、計8種のバリエーションが追加されており、デザインはすべて板鼻氏のアートチームによるものです。
板鼻本作のキャラは、ヒロイック然としているよりも、朴訥とした雰囲気である方がそれらしいので、そこから逸脱しない形でデザインしました。各種族とも、男女どちらかのデザインは本作の派生作にちなんだデザインになっています。たとえば、リルティの男キャラの新バリエーションは、Wiiの『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー』の敵キャラ・ジュグランをモチーフにした兜を身に着けています。


◆新規楽曲
オープニングテーマ「カゼノネ」とエンディングテーマ「星月夜」の歌唱、およびダンジョン突入時のナレーションを担当したYaeさんのボーカルとナレーションはすべて新規収録されています。さらに、谷岡氏がリミックスを手がけた曲や、書き下ろしの新曲が追加されています。
谷岡新規のマップがあるのなら、やっぱりそれに合った曲を用意したいですよね。17年前の(自分が書いた曲が使われている)本作に、今の私が書いた曲を入れても「あれ、この曲は前からあったやつだよね?」と思ってもらえるくらい、違和感がないものを目指しました。リミックスはGC版の頃から一緒にやっている岩崎さん(ミュージックディレクターの岩崎英則氏)が、いい感じに仕上げてくれました!

◆クロスマルチプレイの実装
本作の一番の特徴が、プラットフォームの垣根を越えたクロスマルチプレイに対応していることです。
荒木サーバーを介してプラットフォーム間でセーブデータを移行できますので、スマートフォンを機種変更したときはもちろん、PS4とスマートフォン間でデータを移行して外出時も出先で遊んだりできます。オンラインマルチプレイもいいものですが、ぜひお友達を誘って一緒に遊んでください!

◆プラットフォームに適したUIの採用
スマートフォン版は専用のUIが用意されており、コマンドリストの編集がドラッグ&ドロップで行える、画面右のモーグリボタンをタップすると、モーグリの「モグ」がクリスタルケージを持ち運んでくれるなど、快適さが追求されています。


写真右:ソロプレイ時は画面右にあるモグボタンを押すと、モグがクリスタルケージを持ってついてきてくれます
新機能・追加要素の紹介が一通り終わると、スイッチとPS4でのオンラインマルチが実機プレイで行われました。荒木氏とLynnさんがPS4 Pro、板鼻氏と谷岡氏がスイッチで序盤のステージ「リバーベル街道」をプレイします。機材トラブルで荒木氏のみがうまくマッチングできず、マルチプレイはLynnさんら3名でのスタートとなります。

荒木氏は途中まで解説に徹していましたが、やがてキャラクターが合流に成功! オンラインマルチは4人そろうのを待つことなく開始でき、途中からでも他のプレイヤーが合流できるという本作の仕様を図らずも実演する形となりました。荒木氏のエスコートで一行はボスに到達。息を合わせてファイアをマジックパイルしたり、お互いに回復や蘇生をしあって倒し、無事にミルラのしずくを手に入れることができました。

そして最後はお待ちかね、歌手のYaeさんによるスペシャルライブコーナー。Yaeさんは歌う前に、「私は千葉在住で、実は今、台風の被害で家がずっと停電しています。そんな時に大切さをしみじみと感じるのが、応援してくださる声や、仲間の存在です。このゲームも同じように、仲間がいることが大切だとあらためて感じました」と語り、16年前と変わらない美声でオープニングテーマの主題歌の「カゼノネ」を歌唱。続くエンディングテーマの「星月夜」は谷岡氏が伴奏し、作曲者とボーカルの共演が実現しました。

ミニライブが終わり登壇者が再び勢ぞろいすると、板鼻氏は「先ほどYaeさんにもおっしゃっていただけましたが、本作は苦しくて刹那的な世界でも、身近な人を守り、守られることで生きていくという強さを描いたお話です。オンラインマルチで見知らぬ旅人(他のプレイヤー)と出会った時も、同じように協力しあって遊んでもらえたらと思います」と語り、荒木氏は「今日はこの場に立てて、みなさんの思いがひしひしと伝わってきました。本作はGC版の当時のよいところを残しつつ、遊びやすくし、かつ新要素も加えたゲームです。GC版からのファンの方も、初めて触れる方も楽しめる内容になっていると思いますので、ぜひもう少々お待ちいただければと思います」と挨拶し、ステージは幕を閉じました。

最大4人のマルチプレイに対応したスイッチ/PS4/スマートフォン用アクションRPG『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』は2020年1月23日発売予定です。価格は、スイッチ版とPS4版が4800円+税、スマートフォン版が2800円(税込)となっています。
また、インサイドでは、プロデューサーの荒木氏と、トーク中に谷岡氏の口からも名前が挙げられたスクウェア・エニックスのミュージックディレクター、岩崎氏へのインタビュー記事も公開中です。よろしければごちらもご覧ください。