RPGに一石を投じたのは『moon』だけじゃない! 世界的なヒット作から“世界を救うのはやめた”作品まで登場した、1997年のRPG事情に迫る【特集】

敵と戦わず、愛でレベルアップするユニークなゲーム性で注目を集めた『moon』が、22年の時を経て、ニンテンドースイッチで復活。そこで、『moon』と同じ年に発売されたRPGをピックアップし、当時のRPG事情を振り返ってみたいと思います。

その他 特集
RPGに一石を投じたのは『moon』だけじゃない! 世界的なヒット作から“世界を救うのはやめた”作品まで登場した、1997年のRPG事情に迫る【特集】
RPGに一石を投じたのは『moon』だけじゃない! 世界的なヒット作から“世界を救うのはやめた”作品まで登場した、1997年のRPG事情に迫る【特集】 全 21 枚 拡大写真

◆『ネオリュード』:1997年5月9日 発売



“RPGのお約束”に挑んだ1997年のRPGとして、『moon』や『マリーのアトリエ』と並んで外せないのが、この『ネオリュード』です。本作も舞台はファンタジーで、3人の主人公はいずれも冒険者。そして冒険者らしく、謎に満ちたダンジョンを突き進みます。

そんな本作が、“RPGのお約束”に対してアプローチしたのが、レベルアップの手段です。RPGなのに戦わない『moon』は、ラブをゲットすることでレベルアップしましたが、『ネオリュード』は敵とのバトルがあります。しかし、バトルで得られる経験値は微々たるもの。敵との戦いだけで高レベルを目指すのは、少々厳しいものがあります。


では、『ネオリュード』がどのような手段でレベル上げを行うのかと言えば、それはずばり「探索」。ダンジョンに置かれた調度品や宝箱、ギミックなどをチェックすることで経験値を入手し、それがレベルアップへと繋がります。

冒険といえばつい「モンスターとの戦い」を想像しますし、RPGにおけるダンジョン探索の多くは、マップを踏破して置かれている宝箱からアイテムを獲得。そして最奥にいるボスを倒してクリア、というものが大半でした。

しかし本作における冒険は、ダンジョンの探索が主体。冒険者の生業として、実に本来的であると言えます。ダンジョンには敵も登場しますが、雑魚との戦闘は回避が可能。ゲームクリアにはボスとの戦いが欠かせないものの、そのためのレベルアップはダンジョン探索だけで賄えます。


また「探索」は、チェックすればいいだけではありません。3人の主人公はそれぞれ得手・不得手があり、その長所を生かせるキャラクターでチェックすると、獲得経験値がより大きくなります。この選択やギミックの見極めが、『ネオリュード』の核とも言える部分。自分の判断がキャラクターをより強くするという、非常にユニークなゲーム性が光る一作でした。

モンスターではなくダンジョンそのものと向き合い、思考とひらめきがレベルアップに通じる『ネオリュード』。雑魚敵との戦いを必須としないゲームデザインは、これまでのRPGとは一線を画しており、RPGの裾野を更に広げた作品のひとつと言えます。


このプレイ体験が好評を博し、後に『ネオリュード2』『ネオリュード ~刻まれた紋章~』といったシリーズ化も実現。3人の主人公をプレイヤーが導くリーディングRPGは3部作を展開し、RPG史にその歩みを刻みました。現在、ゲームアーカイブスで配信されているので、興味が湧いた方は直接プレイしてみてはいかがでしょうか。




お約束に挑んだアンチRPG『moon』が発売された1997年は、RPGを代表する大作のひとつ『FFVII』が発売された一方で、世界を救わない『マリーのアトリエ』や、「探索」で冒険を表現した『ネオリュード』など、RPGの新たな可能性を模索した作品も複数登場した年でした。

このほかにも、『サガ』シリーズの新展開『サガ フロンティア』(1997年7月11日)、竜をテーマとしたRPGシリーズの3作目『ブレスオブファイアIII』(1997年9月11日)、チョコボが主役のローグライクなRPG『チョコボの不思議なダンジョン』(1997年12月23日)なども、同じ年に発売されています。当時、どのようなRPGがゲーム業界を賑わせていたのか。そんなことを考えながら『moon』を遊んでみると、新たな発見が生まれるかもしれません。この秋の夜長を、未体験のRPGと共に過ごしてみてはいかがでしょうか。

【関連記事】
ゲームはどうして面白いの? それは現実で味わえないの?─感覚的な“当たり前”を改めて振り返ってみた【コラム】
「プレステ クラシック」は名作揃いだけど、俺が遊びたいのは“この20本”─筆者独断&厳選の「俺クラシック」はこれだ!【特集】
【特集】ミニスーファミの収録ソフト、バーチャルコンソールでも遊べるの? 全部揃えたらいくら?
【特集】年末なので大掃除! ゲーマーの押入を漁ったら何が出てくる?─歴代ハードや思い出のソフトたち、レアソフトも掘り出し
「『メガドライブミニ』の中で、あなたが一番嬉しかったタイトルは?」結果発表─読者の注目を集めたのは“幻のソフト”と“新規初移植”の2本!【アンケート】
【読者アンケート】「一番好きな『ドラクエ』ナンバリングタイトルは?」結果発表─1位はプラットフォームが変わったあの作品!
  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3

《臥待 弦》

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

特集

関連ニュース