『アリスギア』×『DOAXVV』異色コラボの裏にある共通点―本気のコラボ内容と“やわらかさ”への熱い想いを訊く

『アリスギア』×『DOAXVV』コラボの裏側に迫る。“やわらか職人”とは一体……。メガネもあるよ!

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『アリスギア』×『DOAXVV』異色コラボの裏にある共通点―本気のコラボ内容と“やわらかさ”への熱い想いを訊く
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『DOAXVV』ディレクター・作田泰紀氏(左)
『アリスギア』運営ディレクター・加賀純氏(中央)
『アリスギア』開発ディレクター・柏木准一氏(右)

スマートフォン向け武装カスタマイズアクション『アリス・ギア・アイギス(以下、アリスギア)』。その堅実なゲーム内容のみならず、色々な意味(メガネとか)で話題となるこの『アリスギア』が、この春、『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation(以下、DOAXVV)』と相互コラボすることが決定しました!

というお知らせを見て、「!?」と思った隊長さん・オーナーさんも多いでしょう。私もその一人でした。いやまぁ、『アリスギア』のコラボは毎回驚きの連続ですが、それにしたって接点は「DMM GAMESで配信している」くらいしか思いつきません。確かに、両タイトルともかわいい女の子がメインですが、テイストが違いすぎます。しかも『アリスギア』初となる、相互コラボであり、『DOAXVV』にも『アリスギア』のギアが(あくまで水着として)登場するという本気具合。これはなにかすごいことが始まりそう……。

ということで今回は、『アリスギア』の開発を担当する「ピラミッド」の開発ディレクター・柏木准一氏、同運営ディレクター・加賀純氏、そしてコーエーテクモゲームスより『DOAXVV』ディレクター・作田泰紀氏、同プランナーリーダー・井内毅氏にお越しいただき、インタビューを実施しました。

コラボのきっかけから本気度高めのコラボ内容、そして両者の以外な共通点からコラボメガネの有無まで、様々なことを伺ってきました。例によって長めのインタビューなので、心してお楽しみください。

コラボのきっかけ


――異色のコラボとなりましたが、まず、実施のきっかけから伺ってもよろしいでしょうか。

柏木井内さんと私に共通の知人がいまして、その知人を通してお話する機会があった時に「コラボしたらおもしろいのでは?」という話が出ました。その後、正式にご挨拶しに行くタイミングがありまして、それがちょうど“乳しぼりイベント”(酪農物語 ~チチをたずねて暴走半島~)の最中で……。

井内そうでした。今からちょうど一年前くらいですね。すごいイベントをやってるなと当時思いました(笑)。

柏木それで、双方おもしろいことをやってるなと(笑)。それじゃあ、いつか一緒になにかやりましょう!となったのがきっかけですね。


――意外と時間をかけて温められてきたコラボだったんですね。

柏木ちょうど『アリスギア』のクライアント版が出るということもあり、では2020年の春先に、ということで決まりました。各種調整含め、準備にはかなり時間をかけています。ゲーム同士のコラボって時間がかかるんだなと感じましたね。

作田井内が「一年前」と言っているのを聞いて、改めて準備期間の長さを感じましたね。プロデューサーの早矢仕(※)ともよく話すのですが、『DOAXVV』とコラボしていただけるゲームって中々なくてですね……(笑)。井内から話があってご挨拶させていただいた後『アリスギア』をプレイしたのですが、先程柏木さんがおっしゃったように“乳しぼりイベント”のタイミングだったので「これはイケるぞ!」と(笑)。

(※編集注:『DOAXVV』プロデューサー・早矢仕洋介氏)

井内自分は話が挙がる少し前から個人的に『アリスギア』を遊んでいて、同じく「これなら(コラボ)イケるかも」と思ってたんですけど、まさか実現するとは(笑)。

作田何かこう、確信めいたものを感じましたね。

――しかし、発表されたときは驚きました……!斜め遙か上を行くといいますか……。

柏木びっくりするようなコラボでないと、あまりやる意味はないのかなと思うんですよね。

作田それは、我々も同じですね。

――特に『アリスギア』は、今までコラボを振り返っても「!?」となるものばかりですしね。

柏木でも、実は“相互コラボ”って今回が初めてなんですよ。

加賀今までは他社様の作品をお借りして『アリスギア』内で出すという形でしたが、『アリスギア』が他のゲームに登場するのは初めてですね。なので、他社様のゲーム監修とかも実はあまりやったことがなくて……。プラモデルとかならよくやってたんですけど。

柏木『DOAXVV』の方は相互コラボも多く、うらやましいなと。

作田我々もやるなら相互で、と思ってました。『DOAXVV』はプラットフォームがPCのみななので、プレイしてもらう・知ってもらう機会が限られています。反面、『アリスギア』はスマホという手軽なデバイスで多くのユーザーさんを抱えていますので、そこを通して「変なことやってるゲームが他にもあるんだよ」と『DOAXVV』のことを知ってもらえたらなと思っています。

柏木我々としてもそこはやはり同じで、『DOAXVV』のユーザーさんに『アリスギア』を知ってもらうきっかけになればいいなと思っています。

――ちょうど『アリスギア』はDMMでのクライアント版も配信されましたし、より触れやすい環境になっていますね。ちなみに、コラボが決まるまで、お互いのゲームにどのようなイメージを持たれていましたか?

加賀私が『DOAX』シリーズを知ったのは初代Xboxの『デッド オア アライブ エクストリーム ビーチバレーボール』でした。ものすごい衝撃を受けましたね。当時、水着集めるために友人とカジノにこもっていたのをよく覚えています。私にとってはとても思い出深いシリーズなので、コラボの話が来た時は本当に嬉しかったです。

作田実は私が入社2年目に携わったタイトルです(笑)。このときに感じた、一人で女の子を見る・撮影する楽しさはもちろん、友達と一緒にさらけ出して遊ぶと、それはそれでおもしろかったことは開発者としての原体験になっていて、『DOAXVV』でも気をつけているポイントですね。


井内私は、コラボの話の前からプレイしていましたが、バレーボールのイベント(隊長代行アタッカー薫子!)とかを見ながら、とにかく「好きなことを詰め込んだ」ゲームなんだなと(笑)。

柏木そのバレーボールのイベントには、昔テクモから発売された『キャプテン翼』にインスパイアされたものを入れ込んでいたりしますね。また、『アリスギア』はシューティングゲームなので、元をたどれば、開発メンバーの多くは、テーカン(※)の『スターフォース』等の影響を受けているんです。エイプリルフールネタでそれっぽいものを実装したこともあります。昔からゲームを作っている人間にとっては、憧れのメーカーですし、今回のお話をいただいたときも嬉しかったです。

(※編集注:テクモの旧社名)

そして、『DOAXVV』に限らずですが、技術的にすごくしっかりしているなと思います。Webブラウザ版を展開されたり、「面白いこと・紳士的なこと」を意欲的にやられているのですが、それってやはり「しっかりした技術・ノウハウ」がベースにあるからこそなんですよね。我々も、そこにインスパイアを受けています。

ガチすぎるコラボ内容


――どちらのタイトルも変なことをたくさんやられていますが、ゲーム部分がしっかりしているからこそ、という共通点があるんですね。それではコラボのお話も伺っていければと思うのですが、今回『アリスギア』にはかすみとマリーがプレイアブルで登場します。この2人が選ばれた理由というのはあるのでしょうか。

柏木正直とても悩んだのですが、昔からのファンを考えるとこの2人かなと、こちらからお願いさせていただきました。

作田『DOAXVV』ではオリジナルの女の子等も追加していて、その女の子を好きなオーナーさんもたくさんいるのですが、かすみとマリーは『DOAX』シリーズ、ひいては『DOA』シリーズの顔役と言える2人なので。やはりそう来ますよね、という感じでした(笑)。

加賀社内ではいろいろな案が出ていて、女天狗をどうしても入れたい人たちとかいましたね(笑)。ただ、「かすみは絶対に入れる」というのは終始ブレませんでした。

柏木女天狗とかって、普通の人とはちょっと違う独特なキャラクターなので、すごく魅力的に映るんですよ。

作田確かに、かすみ・マリーときて次が女天狗だったらかなりインパクトありますよね。

加賀それで色々社内で揉んだ結果、『アリスギア』側に実装されるコラボ水着の部分で、女天狗含め入れられなかった女の子たちを優先的にチョイスしています。


――『DOAXVV』とはモデルのテイストがかなり違いますが、『アリスギア』調に落とし込むのはかなり大変だったのではないでしょうか。

加賀モデリング班は、女の子のチャームポイントをいくつかピックアップして、うまく『アリスギア』調に落とし込むことを意識していましたね。かすみであれば「おしとやかだけど、おしとやかすぎない」「意思が強い」という解釈を大事にしながら、特に目元をこだわって作っていたと聞いています。

作田『DOA5』でビジュアルを一新する際も、かすみをどうまとめるかにとても時間をかけていたので、かすみは中々難しかったのではと思いますね。でも、最初に見せてもらったときから既にかすみを感じられるモデルだったので、皆さんでかなり練られたのではないでしょうか。コラボキービジュアルも、島田さん(※)の描くかすみがどうなるのか、最初にお話をいただいた時からとても楽しみにしていました。

(※編集注:『アリス・ギア・アイギス』キャラクター監修/キャラクターデザイン・島田フミカネ氏)

柏木コラボキービジュアルの存在が結構大きくて、モデルと並行で制作を進めていたのですが、島田さんからいただいたビジュアルにモデルを近づけていく工程が入っていました。

――コラボキービジュアルを島田さんが描かれるというのは、最初から決まっていたんですか?

柏木かすみについては最初から決まっていましたね。マリーについては、実はコロプラ側から「水着のマリーは絶対欲しい」と強い要望がありまして(笑)。いつもコラボキービジュアルは1枚しかないんですけど、「せっかくならやりましょう」と追加されたものになります。

――熱烈なマリーファンがいたんですかね……。そんなマリーに関しては、モデリングの面でなにかエピソードはありますか?

加賀マリーに関しては、一条 綾香(いちじょう あやか)と全体の印象が似すぎないよう意識しています。特に眉毛には苦労して……何回もモデリング班がトライ&エラーを繰り返した結果、現在の形にまとまりました。また、『アリスギア』史上最長クラスの髪の毛なので、普段はおきないような干渉が出てしまったり……。とはいえ髪を短くすることもできないので、物理演算の調整には苦労していましたね。

――かすみもマリーも、今回はスカウトで手に入れることになるのでしょうか。

柏木★4に関してはスカウトで、★3はキャンペーンの一環でコラボ期間中にゲームにログインするだけで手に入ります。コスチュームは、かすみ、マリーともに3着ずつあり、水着はイベント進行によって獲得できます。

――☆4かすみはおなじみの「瑠璃光」コスチュームですが、相当作り込んでありますね。

作田他と比べてオーバークオリティなんじゃないかと心配になるくらいですね(笑)。

加賀「瑠璃光」の柄の部分は、テクスチャサイズには相当気を使っていましたね。でもここまでしないと再現できなかった、というのがデザインチームの結論でした。


――そして、今回はもちろんギアもあるんですよね。

柏木ギアは完全に一から作っています。デザインは海老川さん(※)が担当されていて、かなりかっこよく仕上がったなと。水鉄砲やジェットスキー、ウォーターボードなど、ギアの各所にはウォータースポーツのモチーフが入っています。カラーリングの部分は、コーエーテクモさん側と結構やりとりしていて、監修でいただいた意見を多く取り込ませていただいております。

ちなみに、専用武器はかすみがライフル、マリーがデュアルとなっていますが、近接攻撃は2人とも素手で行います。バトルシーンはかなり独特なものになっていますよ。

(※編集注:『アリス・ギア・アイギス』キャラクターデザイン・海老川兼武氏)




――素手……?

加賀まぁ、『アリスギア』の武器まわりは結構自由にやっていますので。今(2020年3月)ですと「陣太鼓」だったり……(笑)。『アリスギア』の世界観が破綻しないように設定班が技術的な面も考えてくれています。

――楽しみです。『DOAXVV』側としては、ギアの印象はどう映っているのでしょうか。

作田どうなるのかなとすごく楽しみにしていたのですが、かっこよさとかわいさをちゃんと出していただけてとても良かったなと。ゴテゴテにならず、スッキリしていて、特にかすみは「瑠璃光」のイメージもしっかり取り入れられているのでありがたいですね。

――どちらもメカを装備して戦ってるのがとてもインパクトがありますね。

加賀でも、インパクトでいうと『DOAXVV』に負けてしまいましたね(笑)。




――これは(笑)。『DOAXVV』にもギアが入るんですね。

加賀吾妻 楓(あがつま かえで)と兼志谷 シタラ(かねしや したら)のスーツおよびギアが入ります。

作田こちらはウォータースポーツ感ゼロですね(笑)。最初はスーツの状態から始まり、最大までスキル覚醒するとギアが装着できます。なお、頭のギアはアクセサリとして別アイテムとなります。ちなみに、『DOAXVV』ではこれも水着です。あくまで水着です。

『アリスギア』ではかすみやマリーをとてもかわいく作っていただいたので、じゃあ『DOAXVV』ではコラボを楽しみにしている方々のために、どういうのを出していこうか考えたのですが、やっぱりこれだよねと決まりました(笑)。

井内やるんだったら全力で正面から行くしか無いなと(笑)。

加賀最初見せていただいた時は社内でも驚きの声が多かったです。まだ楓のギアはサイズ的になんとなくわかるのですが、まさかシタラのギアも出てくるとは……。

柏木「どうするんだろう?」という感じで、全然イメージできませんでした。やるかも、くらいの話かと思っていたら本当に作られていてビックリしましたね(笑)。一応、こちらからもモデルの素材はお渡ししているのですが、質感などを見るに、ほぼ作り直してるのではないでしょうか?

作田作り直してますね。しかも、普通はデザインから3Dモデルにするのですが、今回はいただいたデザインとは別に、市販のプラモデルを作ってそれも見ながら3Dモデルにしています

井内自分の方でプラモデルを作りまして、これをデザイナーに渡しておけばどうにかなるんじゃないかと(笑)。そのデザイナーも『アリスギア』をプレイしていたので、話が早くて助かりました。

柏木確かに、島田さんや海老川さんのデザインをモデリング出来るのは、好きな人にとっては楽しい事かもしれませんね。でも、それ以外の開発メンバーがどういう受け止め方をしたのかは若干気になりますね(笑)

作田インパクトがあるのは間違いないのですが、さてどうまとめればいいのやら、という感じでしたね。本当は、「バーチャルハンガー」のみで使える予定だったのですが、社内の掲示板で「バレーさせました!」とか貼ってあるのを見たらめちゃくちゃ楽しそうで(笑)。最終的には当初考えていたよりも多くのシチュエーションで使用可能になっています。

井内細かいことは気にせずに、おもしろいと思うことをしようという結論になりましたね。ちなみに、エフェクトとかもちゃんと作られていて、バレー中にバーニア吹いたりしますよ



加賀バレー中の動画を見させていただいたのですが、「負けたかも……」と思ってしまいましたね。競うものではないんですけど(笑)。

作田さすがにNGかなとも思ったんですけど、お許しいただけてよかったです。

柏木モデルのバランスを見ると本当バレーを出来るように調整が入っているように見えたんですよ。これはもう楽しんで作っていただけてるんだなと思えたので、それなら我々からとやかく言うことはないなと。楽しんでゲーム作るって、なかなか難しいことなんですよ

――『DOAXVV』での人選(楓、シタラ)は、どちらから提案されたんですか?

作田我々から提案させていただいて、楓さんについては、かすみとイメージが近いので、わりとすんなり決まりましたね。シタラさんに関しては、CV繋がり(※)で絶対いれたいという話をしていいました。どこがというわけではないですが、なぎさは小さいのですが(笑)。

(※編集注:『DOAXVV』ではなぎさを、『アリスギア』ではシタラを担当している内田真礼さん。)

井内小さい娘に大きいギアが付いてるのもいいんじゃないか、というのもあって選びました。マリーにも着せられるので、色々な“ギャップ”を楽しんでほしいですね。

作田あとは、「成子坂ダンス」をどうしてもやりたくて、今回「ポーズカード」として『DOAXVV』で使えるようにしましたので、そちらもご期待いただければと。

柏木(『DOAXVV』側の)コラボシナリオの中にも結構入っていますよね。

作田そうですね、入っています。シナリオに関しても、失礼にならない程度に好き放題やらせてもらいましたので、楽しみにしていただければと。


――ということは、今回はどちらのゲームでもコラボシナリオが入っているんですね。

作田我々の方は『アリスギア』側ほどボリュームのあるものではないですが、入っていますね。

柏木いやでも、昨今のソーシャルゲームで紙芝居的なシナリオが多く見られる中、きちんと毎回モデルを動かして作っているのはすごいことだと思いますよ。モデルを使用してのシナリオ形式は360度撮れるので演出が楽なのでは?と思われがちなのですが、そちらの方が却って大変なんです。『アリスギア』でも毎回苦労しています。

井内ごまかしが効きませんからね。ちょっとズレただけでおかしくなってしまいます。

柏木ボイスやSEのタイミングもモデルに合わせる必要が出てきて、結構コストが掛かるんですよ。ぜひ、シナリオも楽しんでいただければと思います。

――シナリオも楽しみにしています。先程少しお話にも出ましたが『アリスギア』側では、『DOAXVV』に登場する女の子たちの水着が実装されるんですよね。

加賀全5種類(ほのか、みさき、女天狗、エレナ、あやね)の水着コスチュームが服袋で登場します。加えて、バージニア・グリンベレーと相河 愛花(あいかわ あいか)の水着コスチュームが配布されます。

柏木服袋セレクト式なので、被りはないです。生放送にバージニア役の大西沙織さん、愛花役の大空直美さんが出演されたことを記念してのプレゼントになります。本当は予定になかったんですけど、デザインチームに相談したら「がんばる」との回答でしたので、だいぶ無理をして作ってもらいました(汗)。


作田エレナの水着を選ばれたのはすごく意外でしたね。でも、愛を感じました(笑)。

柏木人選に関しては、先程あったようにプレイアブルキャラを決めるときに残念ながら選ばれなかった女の子、というのがありつつも、加えて「健康的なかわいさ」というのを重視して選んでいます。

いくつか選びながら制作もしていたのですが、『アリスギア』キャラに着せたら「これはちょっと、過激すぎるよね」という判断になり少し修正させていただいた物もありました。『DOAXVV』だと普通に水着に見えるのに、不思議だなと。

加賀露出度だけの問題、というわけでもなかったんですよね。我々がそういう印象を受けるということは、他の人が見たときもそうなってしまうかなと。

柏木我々も正常な判断能力を持っている”ということです。

――透け感のある水着も多いですね。やはりここは、半透明処理ではなく、他のコスチュームのように描いて表現しているんですか?

柏木「きれい」「かわいい」というのをすごく重視したデザインなので、それを表現したいのですが、やはり処理が重くなってしまうので、デザイナーが根性で描いています。

作田かすみの水着の透け感もしっかり表現くださっています。今回、『アリスギア』でかすみが着る水着は、『DOAXVV』で最初期に実装されたSSR水着で、かすみというキャラクターの良さを出すためにかなり時間をかけて作ったものなんです。元デザインに色々盛り込まれているので、制作は大変だったかと思います。

――女の子も水着も、かなりボリュームのあるコラボですね……!ちなみに『アリスギア』側にはまだネタがあると伺っています。

加賀ぴょんぴょんゲーム」ですね。

――「ぴょんぴょんゲーム」。

加賀『DOAX』シリーズではおなじみのミニゲームで、プールに浮かんだフロートの上をテンポよく飛び移っていくゲームです。完全再現、というわけではないのですが、今回は「ぴょんぴょんゲーム」を『アリスギア』で遊べるようにしました。

他のコラボのときも、大小あれど色々と新しい機能を盛り込むのですが、けっこう社内でも悩んだり試行錯誤することが多いのですが、今回は自然と「ぴょんぴょんゲーム」に決まりました。もちろん、作るのは大変でしたが。

作田最初のご提案の時からいただいてましたね(笑)。バレーボールと並んで一作目から入っているゲームなので、個人的にはしっくり来ましたね。

柏木「ぴょんぴょんゲーム」は水着(今回のコラボ水着以外も含む)を持っているキャラなら誰でも遊ぶことができ、カメラアングルも様々な方向に変えることができます。さらに、なんと『アリスギア』初となる「オート」機能が実装されています。オートの上手さも選べますし、オートにしてUIを非表示にすれば女の子を眺めることに集中できるんです。



――よく作りましたね……!いや、最高だと思います。

柏木デザイナーとプランナーが根性でどうにか調整してくれてますが、本当に足回りの制御が大変でした。プールも、元々あった素材を活用しながら、カメラアングルの切り替えに対応できるよう作り直しています。

――クリアするとなにかもらえたりするのでしょうか。

柏木特に無いですね。遊ぶと楽しい!あと、タイムアタックで良い記録が出ると嬉しい!

作田ちなみに、コラボイベントが終わってからも遊べるんですか?

柏木かすみとマリーだけになってしまいますが、イベントが終わった後も遊べます。ぜひ、良いタイムを獲って、SNS等にあげてもらえればと。

――これもまたキャラごとに色々な調整が入っていそうですね……。

柏木揉めてましたね(笑)。「みんな違う飛び方にするんだ!」とか。

加賀飛び方全部は流石に無理でしたが、いくつかのパターンが実装されてますね。

柏木あと今回BGMをお借りしているのですが、雰囲気がかなりトロピカルになりましたね。

加賀『アリスギア』でも何度か南国風イベントは実施していますが、群を抜いてトロピカルですね。

作田我々も今回は『アリスギア』のBGMをお借りしていますが、やはりBGMが変わるとプレイ感がかなり変わってきますよね。そういうところでも、コラボの楽しさを感じてもらえればと思います。

――そういえば『DOAXVV』でも、ミニゲーム的なものが入るとか……。

井内『アリスギア』のシェルを3Dモデルで制作し、武器で撃ち落とすミニシューティングゲームを実装しました。基本は眺めて楽しむものですが、お借りしたSEを入れて、各種エフェクトもちゃんと作り込んであります。

作田せっかくギアをいただいたので、それを活かせるものを作りたかったんです。

柏木エフェクトまわりは本当に好きな人が作ってるんだなとわかりますし、地味にシェルが3Dモデルになるのって今回が初めてなんですよ。我々としても楽しみですね。


各種武器類も再現されている

――思った以上にガチのコラボなんですね……!ちょっと個人的に気になることがあるのですが、今回のマリー&かすみは、メガネってかけられるのでしょうか。

加賀通常のメガネはかけられないのですが、今回、ふたりには専用メガネがあります

――!?

加賀ちゃんとワンポイントでマークが入っていたりと、今回も凝った作りになっています。

井内マリーのメガネは『DOAXVV』のデザインに合わせて作ってもらったんですけど、上がってきたデザインをみたら意匠が増えてて驚きました。ありがとうございます(笑)。



――正直、専用メガネがあるとは露ほども思っていませんでした。

加賀印象がガラッと変わって、なおかつ多くのお客様がかわいいと思ってくれやすいのは、やはりメガネかなと。

柏木もちろん、色々な案はありましたが、最終的にはメガネに落ち着いたという形で決まりましたね。

作田『DOAXVV』でもメガネはアクセサリーのひとつとしてありますし、すごく自然な形かなとも思いますね。

――かすみのメガネは一から作られたんですか?

加賀『アリスギア』にあるメガネがベースではありますが、アレンジを重ねた結果、ほぼ作りなおしになっていますね。せっかくのコラボなのに、普段と同じようなのを渡すのは違うよね、という話がデザイナー陣からもありまして。

――メガネはみんなもらえるんですか?

加賀各キャラの絆エピソードで入手できるので、★3を入手しファン数(か信頼度)を上げてもらえれば、メガネを手に入れられます。

本当は通常のメガネもかけられるようにしたかったのですが、かすみもマリーも、『アリスギア』の3Dモデルから少し逸脱しているところがありまして。そのままかけさせてもうまくいかないんですよね。そうなると、メガネ職人がひとつひとつ調整していかなくてはならず……。今回は専用メガネを一本ずつという形になりました。


――いや、本当に嬉しいです。ありがとうございます!

女の子たちはそこに“存在している”


――ここからはお互いのマインドについて訊いてみたいと思います。両タイトルとも「女の子をかわいく見せる」ということにすごく情熱を注いでいると思うのですが、普段どういうところを特に意識されていますか?

作田その娘ならではのかわいさ”を作れるか、というのを意識してますね。例えば、シナリオやムービーで、ビジュアルだけではなく「この娘はこういうところを、こういうシチュエーションで魅せたらかわいいよね」と、点ではなく線でつなぎ合わせたかわいさを表現することを心がけています。

この“線でつなぎ合わせたかわいさ”を手を変え品を変え表現できるのは、運営型タイトルの強みですし、ユーザーさんたちにも楽しんでもらえてるんじゃないかなと実感しています。


――『DOAXVV』はビジュアルが強いので、最初はそこから入るのですが、プレイしていくと色々見えてくるものがあって、女の子たちがすごく魅力的に見えてきます。

作田コンシューマーシリーズでは、ビジュアル推しの傾向が強めだったと個人的には思っていますが、運営型タイトルとして『DOAXVV』を始めるにあたって、まず最初に決めたことでした。

――『アリスギア』としてはいかがでしょうか。

柏木元々、“端末を通してコミュニケーションする”というのをコンセプトの一つに掲げていたので、“端末の向こう側に生きている人間がいる”というのを意識して作っています。なので、シナリオの中はもちろん、見た目や仕草、表情に極力自然なかわいさを感じられ、かつ共感できるような表現を丁寧に作っています。

メガネの話とかもそうなんですけど、技術的な制約の中で様々なことを模索しているのは、“女の子たちがそこに存在している”というのを表現したいからです。作っている側が、この娘たちを見守りたいという気持ちになっているんですよね。シナリオに関しても、その娘が体験してきたことをベースに、こういうことは言う・言わないというのを一つずつ考えながら作っています。それでいうと、『DOAXVV』も『アリスギア』も、近しいマインドで作られているのかなと思いますね。

作田確かに、そうですね。

柏木『DOAXVV』でも『アリスギア』でも、新しい娘が追加されるというのはままあることなのですが、今までとの「違い」を出すことも大事ですし、作品の輪にちゃんと入っていけるかというのも意識しないといけません。これは運営型タイトルの大変なところの一つですが、逆に新しい娘が入ったことで、元いた娘たちの違った側面も見えてくるので、おもしろいところでもあります。

作田次はこういうかわいさを見せられそう、こういうかわいさと出会えそう、と気付けた時ってすごくうれしくて、ユーザーさんにも楽しんでもらえると「やってよかったな」と思えますよね。


――ある意味、かわいさの表現というのは、ユーザーのためでもあり、そして女の子たちのためでもあると言えそうですね。表現で言うと、『DOAX』シリーズといえば「やわらかエンジン」がありますよね。これは『アリスギア』側にお聞きしたいのですが、「やわらかエンジン」についてどう思っていますか?

作田コメント難しそう……(笑)。

柏木まずひとつ、画期的なこととして“素敵な名前をつけた”というのがありますよね。

加賀エンジンのブランディングとして、すごくまれな成功例だと思います。

柏木それが何のための仕組みなのか、というのがこんなに素敵に伝わるエンジンって他にはないですよ。細かく説明されるより「やわらかエンジン」と言われたほうが、すごく良いものなんじゃないかと思えますよね。めちゃくちゃ高度な事をしていると思うんですよ。物理演算ってちょっとパラメーターが変わるだけでも想定外の動きをしたりするので。そんな高度な事をしているのにやさしく伝わりやすい名前っていうのはすごいですよね。

加賀『DOAX』シリーズのネーミングセンスは最高ですよ。「おつまみピンチョス(※)」とか。社内でも「おつまみピンチョス、絶対やりたいよね!」と話していたのですが、ちょっと無理でした(笑)。

(※編集注:『DOAXVV』に実装されている“おつまみ”できる水着)

井内色んな意味で無理ですよね(笑)。

作田「やわらかエンジン」という名前が世に出たのは、PS4版『DOA5』が初めてで、当時のディレクターが名付け親です。今回、私が『DOAXVV』のディレクターに就きましたが、やはりこのテイストって大事だと思ったので、できる限り表現できるよう努力しています。「このデザインや言葉は、やわらかくないからダメ」っていうリテイクとかあるんですよ(笑)。よくわからないとは思いますが、『DOAXVV』だとすごくしっくり来る感覚なんです。

井内水着の名前とかでも、やわらかさとか独特のリズム、質感を結構意識しているところはありますよね。もちろん、強い名前もありますが。

――ゲームのシステムとしてはもちろん、精神的な面でも「やわらかエンジン」が根幹にあるんですね。そんな「やわらかエンジン」の『DOAXVV』に負けず劣らず『アリスギア』もやわらかさの表現は美しいですよね。

柏木これもデザイナーが根性で作ってますね。ウェイトの入れ方でこんな表現になる、服の締め付け感が伝えられるっていうのは、システムを作りましょうというところから始まるわけではないんです。“女の子が存在していることを表現する”という要件に対して、現場レベルでスタッフたちが自ら設定して提案してくれるんですよね。スタッフたちの技術の結晶みたいな感じですね。

加賀開発メンバーの熱意はすごいですよ。揺れ方を『アリスギア』らしくアニメ調に寄せるか、「存在している」ことを重視してリアルに寄せるかでよく意見がぶつかっていますから。

柏木デフォルメのルール感が部位によって結構違うんですよ。「女の子のかわいさがだせるから、服は省略しない!」とか。

作田基準は我々も曖昧なところがありますね。「かわいいかどうか」で決めることが多いです。

――服によって揺れ方が違うっていうのは本当の話だったんですね……。

柏木本当ですよ。これもアニメ派閥とリアル派閥の衝突の結果、修正となったので、ゲーム内のお知らせにも記述しました。「なんなんだろうこのお知らせは」という感じでしたね。でも、変えたことはちゃんと報告しないとまずいですから。

作田『DOAXVV』でも、昔一回だけ「想定と違う揺れ方をする水着」のために臨時メンテを入れたことがありましたね。メンテ明けのお詫び文を書くのが大変でした。

柏木いやでも、正しい判断ですね。ちゃんと報告しないと、逆に報告されてしまいますから。

作田ちなみに『DOAXVV』でも揺れ方はこだわっていて、肌が露出しているかどうかをグリッドで判断して、布がないところはよりぷるぷるするように作られています。スペックの高いPCタイトルだからできることですね。作業量はとんでもないのですが……。

井内女の子全員の揺れ方を熟知している「やわらか職人」がいますよね。

作田リリースまでの工程の一つに「やわらかチェック」っていうのがあるんですよ(笑)。

井内色々な揺れ方や垂れ具合、つぶれ方を見せてくれるんです。「どうですか?」「もうちょっと硬いほうが……」みたいなやり取りがされています。


――色々な職人さんがいるんですね……。

柏木すごく共感できるんですけど、普通そんな人いません(笑)。相当特殊な人ですよ。

加賀そういえば、うちには「メガネ屋さん」がいましたね。

柏木デザイナーたちにとっては、画面に見えているものが己の仕事のすべてなんです。どちらのタイトルも、表現にはすごく力を入れていて、デザイナーたちの魂が透けて見えますね。そして、色々なことができてしまう故に、作業量が爆発的に増えるという。こだわると不思議な工程ができてしまうんです。

でも、ここに力を入れているからこそ、実在感が出てきますよね。正面向いて話しかけられると「自分に話しかけている」というのがすごく感じられますから。

作田会いに行きたくなる」というのはすごく大事ですよね。


――それはすごく感じます。自分も毎日文嘉さんに会いに行って、「今日もメガネがきれいだな」と眺めています。

井内自分もモニターにホーム画面映しながら作業してたりします(笑)。

――お話を聞いていると、両タイトルに共通点が見えてきて、今回のコラボも必然だったのかなと思えてきました。それでは最後に、お一言ずつ、今回のコラボに対してコメントをいただけますと。

柏木ふとしたきっかけで実現したコラボですが、思ったよりもボリューミーな内容になりました。両タイトルを見比べて、笑ってもらいたいですね。昔からゲームを作ってきた人が本気で作ってくれたというのが、見ているとすごく伝わってくるので、余す所なく楽しんでもらえればと思います。

作田本当にボリューミーです(笑)。マリーとかすみを本当にかわいく作っていただいてとても嬉しいですし、こちらもかなり好き放題やらせていただきました。『アリスギア』と『DOAXVV』が合わさった時、どのような化学反応が生まれるのか。今回は2つのタイトルでその結果が楽しめるようになっています。一方のゲームを遊んでいただけると、もう一方で後日報酬をもらえるようなキャンペーンもあります。『アリスギア』
はちょうどDMMでクライアント版の配信も始まっていますし、『DOAXVV』でもクライアント版に加えて、ブラウザ版の配信により、プレイ環境の間口が広がっていますので、これを機にぜひ、『アリスギア』と『DOAXVV』に触れてもらえればと思います。

加賀『アリスギア』史上初の“輸出イベント”ということで、我々もすごく楽しみにしています。もちろん『アリスギア』のかすみやマリーも本気で作っていますが、『DOAXVV』側も相当にクオリティは高いです。ぜひ、2つの画面を並べて楽しんでもらいたいですね。

井内マインド的に結構似た所があるタイトルですし、どちらも「楽しい」と思うことを楽しんで作っているタイトルです。両方遊んでいただいて、その感覚を感じていただきながら、今回のコラボを楽しんでもらえればと思います。私自身も、いちユーザーとして期待しています。

――ありがとうございました!コラボ、楽しみにしています。



ゲームジャンルは違えど“女の子のかわいさ”に関しては、マインド的に近しいものを持っている『アリスギア』と『DOAXVV』。だからこそ、今回のコラボは必然であり、お互いにぶっ飛んだクオリティのものを作り上げることができたのではないでしょうか。

どちらのタイトルも、“おもしろいこと”を追求していますが、それはまずゲーム部分がしっかりしていることを前提にあります。このコラボを機に、両方のタイトルに触れてもらえればと思います。そして、隊長さんには『DOAXVV』のやわらかさを、オーナーさんには『アリスギア』の作り込み(主にメガネとか)を、ぜひ味わってもらいたいものです。

『アリス・ギア・アイギス』×『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation』コラボイベントは、2020年3月30日より開始中です。

『アリス・ギア・アイギス』公式サイト
クライアント版公式サイト
『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation』公式サイト
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(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

すえなが

ソウルシリーズ大好き すえなが

1990年3月、神奈川県生まれ。パズル誌の編集を経て、イードへ。「Game*Spark」「インサイド」の編集業務に携わり、同社のアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」も経験。幼少期よりゲームに触れ、現在はCS機・スマホを中心にプレイ中。好きなジャンルはアクションやFPS・TPSなど。『デモンズソウル』を始めとしたフロム・ソフトウェアの「ソウルシリーズ」や、2020年にサービスを終了した『ららマジ』に特に思い入れがある他、毎年の『Call of Duty』に一喜一憂したり、『アクアノートの休日』『FOREVER BLUE』の新作を待ち望んでいたりする。

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