なぜSF人狼『グノーシア』の「しげみち」は初日に投票されるのか?人を疑うことの罪深さを受け止め続ける、包容力抜群な愛されキャラにエールを

『グノーシア』初日、「しげみち」に投票したくなるこの衝動は何なのか。

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なぜSF人狼『グノーシア』の「しげみち」は初日に投票されるのか?人を疑うことの罪深さを受け止め続ける、包容力抜群な愛されキャラにエールを
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※『グノーシア』シナリオに関するネタバレはありません。

仲間のふりをして正体を隠し、夜な夜な人間たちを文字通り“消滅”させていく不気味な存在…グノーシア。2019年にPS Vitaにて、そして今年2020年4月29日にニンテンドースイッチでも発売された『グノーシア』は、SF世界を舞台にしたアドベンチャーゲームです。

本作はいわゆる「人狼」系のルールが採用されており、一つのエピソードが終わるたびに世界がループする設定のため、何度でも繰り返しプレイを楽しめるのが大きな特徴。プレイヤーの行動は全て、「疑う」「かばう」「賛成する」といったコマンドで表現されているため、「人狼はちょっと難しそう…」という方でも問題なく遊べます。

さっきまで味方だったキャラクターが次のエピソードでは敵に回ることも多々ありますし、もちろんその逆もありえます。1プレイは約15分ほどで終わるため非常にテンポが良く、一度ハマると止め時が分からなくなるほど、高い中毒性を持つのが『グノーシア』なのです。

本作の詳細については以下の記事か、先日インサイドちゃんMark2(つーちゃん)が動画をアップしてくれたので、こちらをご覧ください。

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さて、そんな『グノーシア』では毎晩、メンバー全員の投票によって、もっとも怪しい=人類の敵であるグノーシアだと思われるキャラクターをコールドスリープさせていきます。

何日も経過して議論が進み、メンバーの数も残り少なくなってくるほど「あいつが怪しい」「あいつは嘘を付いている」といった心理戦が展開されるわけですが、ぶっちゃけ初日はほとんど情報がありません。なので仕方なく、当てずっぽうで投票先を決めることがほとんどです。

対象となるメンバーは皆、個性的な曲者ばかり。その言動からは真意を掴みにくく、敵にも見えますし、味方にも見えます。当てずっぽうとはいえ、いったい誰に投票すれば…。


…あれ、こいつ怪しくね?
そんな時、つい投票先に選んでしまうのが「しげみち」。彼こそ、『グノーシア』におけるスーパーアイドルであり、「とりあえず、しげみち!」、「迷ったら、しげみち!」とプレイヤーに思わせてしまう、存在感抜群のキャラクターなのです。なぜ人は、初日にしげみちへ投票してしまうのでしょうか。その理由を考えました。

人を見た目で判断してはいけないけれど…



小さい頃、「人を見た目で判断してはいけませんよ」と教わった方は多いはずです。筆者もそのことは重々承知しており、常にその心持ちは忘れないようにするべきだと考えています。

一方、「人は見た目が9割」(著:竹内 一郎氏)という書籍がベストセラーになるなど、「見た目や第一印象は非常に重要である」という考えも、世間には浸透しています。

就職活動をしたことがある方なら、「面接は第一印象が大事」なんてアドバイスを受けた方がほとんどでしょう。面接官の立場からすると、僅かな時間で人柄の深い部分まで判断するなんて、とてもできません。貴重な情報源である、見た目や第一印象が判断の基準になるのも無理もない話です。


これが実生活であれば、「人を見た目で悪者である」と判断するのは非常に危険ですし、けっして奨められる考えではないでしょう。しかし、想像してみてください。あなたは今、仲間を疑わなければ確実に全滅するという、極限状態にいます。グノーシアは人間そっくりに擬態するため、外見では決して判断できません。でも誰か一人に投票しなければならない…。

そんな状況で、しげみちは登場します。彼はいわば、“ギャグ漫画で道に落ちているバナナ”であり、「押すなよー?絶対に押すなよー?」と言いながら構える芸人のような、“お約束”ともいうべき存在です。

バナナは踏めば滑ります。芸人は結局、押されます。それと同様、どっからどう見ても宇宙人なしげみちからは「疑うなよー?」というメッセージを感じますし、怪しいという気持ちが向かってしまうのはある意味仕方ないはずです。


なんだか、イジメを正当化するイジメっ子のような考え方で自分自身にゾッとしますが、しげみちを始めとする『グノーシア』で描かれるキャラクターは、そんな残酷な世界で、死に物狂いのサバイバルを送っています。

誰かを疑うというのは、怖いものです。とはいえ決断を先送りにして様子だけ見ていると、「あいつは目立たないようにしている!怪しい!」と周囲に思われてしまうのが本作。自分自身が生き残るためには、誰かを疑うしか道は無い…。

そんな時、前述した“お約束”なポジションに立つしげみちが、プレイヤーにとってどれだけありがたいことか。誰かを疑って投票することへの罪悪感を薄めてくれるのは、彼だけです。この記事を書いていて筆者は、彼の優しさに自分が甘えていたのだと気付かされました。

ごめんね…ごめんね、しげみち…。

他の面々を敵に回すとしんどい


なぜ、初日にしげみちへ投票してしまうのか。別の理由として、他の対象メンバーは皆、諸々の事情で敵に回したくないというゲーム的な背景があります。ここは筆者の個人的な思想が中心となりますが、『グノーシア』をプレイした人の中で、共感してくれる方が少しでもいることを願って続けます。


セツは主人公と共に、この困難なループから協力して脱出を図る大切なパートナーです。敵(グノーシア)に回ってしまうこともありますが、叶うのであれば共に生き残りたいという思いが強く、初日の投票から外しています。セツがグノーシアのはずがない。






SQ、ジナ、ステラ、コメット、ククルシカはみんな可愛いから、セーフ。こんな可愛い子や素敵なお姉さんたちが、グノーシアのはずがない。


少々ベクトルが異なりますが、オトメも可愛いのでセーフ。こんな可愛いシロイルカが、グノーシアのはずがない。


ラキオは論理的思考に優れており、状況証拠から敵を見抜く力に優れています。味方だった時のことを考えると、出来るだけ生き残ってほしいので投票しません。というかヘイトを集めやすい子なので、すぐ周囲から浮いて投票されます。


ジョナスは言っていることがポエムすぎて、あまり睨まれたくありません。関わりたくないので、初日の投票からは外します。


ネコ好きに悪い人はいません。もちろん、シピだってそうです。ネコ好きがグノーシアのはずがない。


レムナンはいつも俯き加減で幸薄いので、せめて初日の投票からは外しています。良いことあるといいね…。


沙明は見るからにチャラ男ですが、いなくなるとそれはそれで寂しいので残します。余談ですが筆者は主人公の設定を“男”にしたせいで、しばらく名前を「シャーミン」と読めませんでした(男相手には名乗らない)。


19歳の少女とは思えぬ迫力を持つ夕里子様を、敵に回すなんてとんでもない。ほぼ全ての能力がトップクラスである彼女に疑われたら、それは半分死刑宣告を受けたも同然。生き残るためには、強者に擦り寄ることが肝要です。夕里子様がグノーシア?二度とそのようなことを申すな、罰が当たるぞ。


以上が、同じ宇宙船に乗り合わせたメンバーです。彼・彼女を疑って敵対するのであれば、しげみちに投票したほうがなんとなく安心な気がしませんか?ごめんね…ごめんね、しげみち…。

しげみちなら、謝れば許してくれるんじゃないかな…


さて、好き勝手言っていますが、しげみち自身はとっても気さく性格ですし、一言で言えばメチャクチャ良い奴です。メンバーの中で友達になって一番楽しいのは、しげみちかもしれません。


だからこそ、しげみちなら初日に「おまえがグノーシアじゃね?」と疑っても、後で謝ったら許してくれるんじゃないかな…と、非常に都合の良い想像が働いてしまうのは筆者だけでしょうか。


そりゃあ、しげみちも人間(?)ですから、怒ることもあるでしょう。でも全てのグノーシアが消滅して船内の安全が確保された後、真摯に謝罪を繰り返したら、彼は受け入れてくれる気がするのです。バカな私を許して、しげみち…。

しげみちだって、嘘を付く




さて、そんなしげみちですが、良い人すぎるのが災いしてか、致命的に嘘が下手です。そのため、初日前半の僅かなやりとりで嘘を付いていることがみんなにバレて、速攻で投票されることもしばしば。


『グノーシア』の様式美とも言える光景ですが、これもまた、しげみちがプレイヤーから愛される一因になっているのかと思います。


なお与えられる役割はランダムなので、展開によっては、しげみちと一緒にグノーシアを務めることもあります。こうなると普段とは一変、死に物狂いで彼を守る必要が出てきます。グノーシアとして(周囲にバレバレな嘘を吐きつつも)、楽しそうに活動するしげみちが可愛くて仕方ない。

なんだかんだ筆者はしげみちが大好きであり、彼と出会えただけでも『グノーシア』をプレイして良かったと噛みしめながら、延々とループを繰り返しています。

そして人を疑うことの恐ろしさを、しげみちから教わった気がします。『グノーシア』がフィクションで良かった。本当に、良かった。そして今日も、何か明確な理由がない限り、彼の“お約束”な包容力に身を任せて、「んー、分かんないから、しげみちで!」と投票することでしょう。



『グノーシア』はニンテンドースイッチ/PS Vitaで配信中です。

《ねんね太郎》

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