仲間の遊びを実現させるルールメーカー・東海オンエア 虫眼鏡【令和遊戯研究室】

今回の「令和遊戯研究室」は、人気企画を生み出し続ける動画クリエイター・東海オンエアの虫眼鏡さんとの対談をお届けいたします。

その他 全般
仲間の遊びを実現させるルールメーカー・東海オンエア 虫眼鏡【令和遊戯研究室】
仲間の遊びを実現させるルールメーカー・東海オンエア 虫眼鏡【令和遊戯研究室】 全 5 枚 拡大写真
今回の「令和遊戯研究室」は、人気企画を生み出し続ける動画クリエイター・東海オンエアの虫眼鏡さんとの対談をお届けいたします。

令和の遊戯はテレビゲームやボードゲームだけにとどまりません。

YouTubeのコンテンツ上にも、ゲーム性のあるコンテンツはたくさんあふれていて、僕はそれらの仕事をするのも、見るのも大好きです。東海オンエアならではの企画のコツを聞いて、より令和の遊戯の可能性を感じることのできた対談でした。


カイジエンド(以下、カイ)今日、僕めちゃくちゃ緊張しています! こんな対談するという形になると思っていなかったので……!

虫眼鏡さん(以下、虫眼鏡)僕はカイさんと喋るだけなんで緊張しないです(笑)

カイ東海オンエアさんや虫眼鏡さんファンからしたら、こいつ誰なんだって思うかもしれませんが、実は何度かお仕事をご一緒させていただいたことがあって。Never Ending TVというYouTubeチャンネルの「おやすみ先生」に出ていただいたり、ピカいちチャンネルという小学館さんと一緒にやっているYouTubeチャンネルの「ピカいちサマースクール」に出ていただいたりしています。



虫眼鏡 もうマブですもんね。

カイそう言われるとちょっと恥ずかしいんですが……!(笑)

虫眼鏡 でもカイさんって、変な人ですよね(笑) 最初会ったとき、事務所の人からチョコレイトっていうすごい会社の人が来るよ! って言われていたんですごい緊張していたんですが、実際に会って仲良くなると、いい意味で厨二病引きずっている人なんだなってことが分かって。

カイ恐縮です(笑) じゃあ前置きはこんな感じで早速始めていきたいのですが、まずは、東海オンエアさんが、虫眼鏡さんが、どういう形で企画を生み出しているのかお伺いしたくて。

虫眼鏡 企画は月に1回、不作だったらそのスパンも短くなるんですけど、ノルマで一人5個まで持ち寄って考えています。僕ら6人組なので、基本的に一人5個ネタを持ってくれば一ヶ月間耐えられるんですよね。それで、そこから半数くらい戦死するのですが、生き残ったやつらが採用されるスタイルです。

カイその持ち寄ってくる企画って、メンバーごとのクセっていうのはあるのでしょうか。

虫眼鏡 僕とかりょうくんは、すぐ撮れるケチのつけようがない、いうなればいい意味でも悪い意味でも丸い企画を持ってくるんです。でも、しばゆーとかは、「何が言いたいんですか?」っていうネタを持ってくるんですよ(笑)。

カイ例えばどんな企画ですか?

虫眼鏡 最近だと、「コラーゲンをいっぱい食べたら人はトランポリンになるのか?」っていう企画ですね。普通に考えてならないんですけど、どうしてもってしばゆーが言うんで一応トランポリンとコラーゲンを買って。でも、そのコラーゲンが粉だったのがイメージしていたのと違ったみたいで「俺のイメージとちがうわ」って倉庫に閉まって終わり。まあ絶対にトランポリンにはならないんでいいんですけど……。

カイ(笑)。でも、一度は真剣に考えたんですよね?

虫眼鏡 そうですね。僕たちって、いい意味でも悪い意味でもあっちこっち向いているので、そういうネタっぽいアイデアも通りうるんですよね。一人の人がずっと企画を考えていたらなんとなくジャンルが定まってきちゃうかもしれませんが、6人が持ち寄ってそのネタたちがランダムに採用されて並ぶので、見る側もいつも新鮮な気持ちで楽しめるんじゃないかな? と思っています。色とりどりで、どれかにはハマるでしょ、っていう。

カイ東海オンエアさんの企画力は、その個性ゆえ、というのもあるんでしょうか。

虫眼鏡 そうなんですかね? でも、ネタも3種類ありまして、出した瞬間に「おっけー! これはできますね」というネタと、「なにそれ!?」ってなりつつも必死こいて出来る形にみんなで叩きまくって作り上げるネタと、意味が分からなすぎて「もう任せるわ」ってネタと。でも、意外と2つ目と3つ目で苦戦したものがはねたりするのでおもしろいですよね。

カイでも、そういうネタって、やっぱり詰め方がすごく大事になってくると思うんですが、詰め方とか、ルールとかってあったりするんでしょうか?

虫眼鏡 動画で伝わりやすいか、は考えますね。特に匂いや味は動画だと伝わりにくくなっちゃって。そんなときは「俺らは面白いんだろうね、でも見ている側はわかりにくだろうね」って待ったをかけるときはあります。あとは、どう僕たちが本気を出せるかも結構考えますね。僕たちがどう楽しめるか、それこそ、26、7歳の大人たちがどんなルールだったら楽しめるか、ひりつくかっていうルールを考える。僕たちが本気になれば、その映像は楽しんでもらえるんじゃないかなって。

カイプレイヤーとして楽しめるか、本気になれるかで企画を考えていらっしゃるんですね。

虫眼鏡 そうですね。前に、なんの薬にも毒にもならない旅行動画を提案したやつがいて。それを聞いたときに、僕たちは楽しいだろうね。でも、東海オンエアが旅行するかね? ってなって。


カイ東海オンエアが旅行するかね? ってすごくいい自問ですね。東海オンエアさんとして、なにか動画を作る際に決めていることってあるのでしょうか。

虫眼鏡 やっぱり、1,500本ぐらい動画を作ってきているので、なんとなく慣れっていうのは生まれてきていて、こなそうと思えば、上手くこなせちゃうんですよね。なので、やっぱり生きるか死ぬかじゃないですけど、ひりつきは必要だと思っています。逆に、企画自体がスリリングだったりするものであればなんの味付けもしなくても大丈夫ですし。手を加えるか、加えないか、料理するか、素材を活かすか、みたいなバランスはちゃんと考えています。

カイなるほど。企画に手を加えずに、素材のまま公開した動画というのは例えばどんなものがありますか?

虫眼鏡 最近だと「仁侠散歩」っていう動画ですね。これはしばゆーくんがもってきた企画なんですけど、仁侠になって散歩したいんですよねって言ってきて。そのあと、何も生まれなかったんです。素材がそのまま通過していきました(笑)。


カイ面白かったですよね。力強さがありました。

虫眼鏡 いい動画かどうかはさておき、面白がってくれた人はいたので、これはこれでありなのかなと思いました。他にも、「【どえらいお正月】巨大書き初めで2020年の抱負をダイナミックに書いてみよう!!!!!!」というのも、動画としては自信のある部類には入らないというか、もうちょっとやりようがあったかなと思うんですけど、僕らにしてはめずらしく「よし、書き初めにしよう!」ってなって。


カイ大きさのインパクトでやりきったほうがっていいっていう判断だったんですね。

虫眼鏡 そうですね。余計なことはしないでおこうっていう。あえてなにもしませんでした。

カイちなみに、虫眼鏡さん的にこういう企画の方が好きという好みはあったりするんでしょうか。以前は「台本書いたりする方が楽しい」って話もされていましたが。


虫眼鏡 僕は0を1にするよりも、1を1.2にするのが得意な人間だと思うので、他の人がこれやりたいんだよねと言ってきたものに対して、「こういうルール設定にしよっか」と設定してあげるところが一番求められていると思っています。なので、そういうルール設定がうまくいって噛み合った時が一番気持ちいいですね。

カイ1を1.2にするのが得意な虫眼鏡さんの、企画の作り方もお伺いしたいです。虫眼鏡さんのネタ帳って見せていただけたりしますか。

虫眼鏡 全然いいですよ。最近ネタ会議しちゃったばかりなんで、鉱石にならなかったクズみたいなのばっかりたまっちゃっているんですけど……。基本的に、企画を思いついたらメモする、撮影にたどり着いたら消す、という感じなので、いまここに残っているってことは結局撮れなかったんだなっていうやつですが。

カイすごい。ボツネタを再度出すことはいんですか?

虫眼鏡 いまの技術だったらなんとかなるんじゃないかなというかすかな希望を持って何回か見返すことはあるんですけど、何度見てもやっぱりゴミだなってなることばかりです(笑)。

カイでは、どういうタイミングでネタを思いつくのか、どういうふうに思いついているのかをお伺いしてもいいですか。

虫眼鏡 そこは本当にインプットを増やすしかないなと思っていて、日常をのほほんと生きていたら生まれるであろうネタは撮り尽くした気がしていて。だから、人と喋るとか、普段やらなかったことにチャレンジしてみるとか、そういうところから作るようにしています。

カイそういう日常のインプットのなかで動画のネタを探されていると思うんですけど、テレビやゲームとかで参考にしていたりすることはありますか?

虫眼鏡 メンバーのなかで参考にしているやつはいると思うんですけど、僕はテレビでやっていたよって言われるとやる気無くしちゃうタイプなので、過去の東海オンエアを参考にしています。それで、似たような形式が出来てきて、それが記憶として残っていて、上手くいったときと、違ったというときの積み重ねをして作り上げていくことが多いです。

カイなるほど。そういえば、虫眼鏡さんってゲームをあまりしてこられなかったんでしたっけ。

虫眼鏡 そうなんです。ほとんど遊んだ記憶がなくて……。みんなが持っていたものを持っていなかったですし、ゲームもした記憶もなくて。僕はなにをしていたんだろう……(笑)。

カイでも、いまは「ドラゴンクエスト」とかとても好きじゃないですか。すごくやり込んでらっしゃるなというイメージがあります。

虫眼鏡 そうですね。抑圧されていた分、いま遊んでいるんだなと思います。

カイでは、幼少期はどんなものにハマっていたんですか。企画のクセって、絶対幼少期から培われていくものだと思っていて。それがなにかを知りたくて。

虫眼鏡 うーん。でも一個あるのは、血液型と性格って関係ないって言われることもありますが、僕ってめちゃくちゃA型で。テストの成績とかでも、全教科バランスよく点数のグラフを作りたいし、もう勉強しなくていいってところまで勉強しないと気が済まない。めちゃくちゃ潔癖症の完璧主義。あと、小さいころは江戸川乱歩シリーズにめちゃくちゃハマっていたんですけど、あれっていっぱい作品あるじゃないですか。でも、犯人って全部怪人二十面相なんですよ。いろんな悪い奴が出てくるんですけど、犯人はいつも怪人二十面相。それが分かっているのに最初から最後まで読まないと気が済まない。絶対に怪人二十面相なのに(笑)。

カイでも、確かに虫眼鏡さんの企画はいつも完璧さ、みたいなのはある気がしています。ルールがちゃんとある上でのおふざけ、というか。

虫眼鏡 そうですね、多分その場その場で場当たり的に進めるのが不安になっちゃうタイプなんだと思います。「やってみたら楽しくなるんだから、考えすぎだよ」って言われるとめっちゃカチンてきますもん(笑)。

カイちょっとイメージつきます(笑)。ご自身の、ハマっていたもの、ハマっているものになにか共通点ってあったりしますか。いままでに麻雀、ドラクエ、江戸川乱歩は話に出ましたが、あともし他にいま好きなものがあれば一緒に伺いたいです。

虫眼鏡 あとは、野球観戦とか化物語なんかも。たぶん、終わっていないコンテンツが好きなんだと思います。全部まだ終わってないんですよ。それこそ、Never Ending TVです(笑)。


カイ伏線回収までありがとうございます(笑)。でも、確かに共通点がありますね。すべて終わっていないか、終わりがない。

虫眼鏡 いまは、一生出来る趣味を探している途中な気がします。なんでか、歳をとってもやれることって、早めに決めとかないとまずいかもなっていうのがすごくあって。麻雀は一生できますからね(笑)。

カイまだだいぶ早い気もしますが、ちょっと分かる気もします(笑)。色々聞かせてくれてありがとうございました。企画の話とか、すごく面白くてもっと色々お伺いしたいのですが……。でも、改めて一緒にゲームだったり、番組企画だったりをご一緒するというチャレンジを虫眼鏡さんはじめ、東海オンエアさんと一緒にできたらなと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします!

虫眼鏡 ぜひぜひでございます。今日はありがとうございました!

■東海オンエア 虫眼鏡さんについて


1992年生まれ、愛知県出身。愛知県岡崎市を拠点に活動する6人組動画クリエイターの東海オンエアのメンバー。
動画内の概要欄をまとめた著書「東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本」を2018年に出版し、2019年に第2弾となる「続・東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本」を出版する。
ラジオのレギュラー番組ではメインパーソナリティを務め、自身の個人チャンネルである「虫眼鏡の放送部」でもラジオ動画を中心に投稿するなど動画内外問わず幅広く活動している。

「東海オンエア」YouTubeチャンネル

■カイジエンドについて


大学卒業後、広告会社を経てコンテンツプランナーとしてCHOCOLATE Inc.に入社。ファンがこぞって参加したくなるようなゲームや体験、映像の企画が得意。

企画・開発ゲームは、Amazonアナログゲームランキング1位を獲得した「DEATH NOTE人狼」、アニメのツッコミを擬似体験できる「銀魂 ツッコミかるた」など。
他にもNetflixオリジナル映画「BirdBox」のPR施策として、応募が殺到し即完売した「東京を目隠しで観光する『観ない観光』」の企画や、漫画と音楽がリンクしたMV「MMV」の企画を行う。

Twitter : https://twitter.com/X_T_END

《カイジエンド》

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

特集

関連ニュース