7月3日から海開き!
いよいよ夏本番。海が楽しい季節ですが、今年は新型コロナウィルスの影響から各地で海水浴場の開設が見送りに…。悲しいことです。
が!しかし。『あつ森』はそんな憂鬱と無縁です。夏のアップデート第一弾として北半球では7月3日に海開きがなされました。
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海開きにより海で泳いだり、素潜りもできるように。これにより釣りではゲットできなかった固着性生物や底生生物が捕まえられるわけです。
たとえばガザミだとかワカメだとかタコだとかイソギンチャク(海の幸枠でいいのか?)だとか……。
そんな顔ぶれの中で個人的に「ムムッ!」と唸った生物がいます。
それがこちら。
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エビとも虫ともつかぬビジュアル。
緑色のこいつは「シャコ」でございます。
江戸前の寿司ダネとしても親しまれている甲殻類ですね。
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『あつ森』に登場するシャコは「モンハナシャコ」!
でも、なんかこのゲーム内のシャコさぁ……ちょっと色おかしくないですか?緑色で脚は赤……?派手すぎません?
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そう。このシャコは普通のシャコではありません。
ゲーム中で明言こそされませんが、この個性的なカラーリングから「モンハナシャコ」という南洋に暮らす大型シャコがモデルとなっていることが断言できます。
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モンハナシャコはその色彩の華やかさ以外にももうひとつ、特殊能力とでも呼ぶべき大きな個性を持っています。
それは常軌を逸したパンチ力!
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シャコ類の中には貝やカニといった硬い殻を持つ生物を好んで捕食する種が多く見られます。そうしたシャコたちは折り畳んだ前脚(捕脚/ほきゃく といいます)を高速で撃ち出す通称「シャコパンチ」で獲物を捕らえ、砕くのです。
食材として市場に並ぶシャコも実はシャコパンチを会得しており、不用意に触ると怪我をすることもあるとか……。
そしてモンハナシャコはそうした拳闘士揃いのシャコ一族の中でも最強のハードパンチャーとして名高いのです。
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拳速はピストル並み!?
その威力がどれほどのものかはこの写真を見てもらえれば伝わるかと……。
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……体長15センチほどのモンハナシャコをワイングラスに閉じ込めた結果です。
モンハナシャコが内側からパンチでガラスを撃ち抜いたわけですが、その割れ方が問題なのです。
普通ガラスってこんな割れ方しないじゃないですか!
たとえば僕らが石や鉄球をガラスに投げつけたところで、ガシャーンとバラバラに砕け散ってしまいます。
こんな具合に丸く小さな穴を空けるにはもっともっと威力と速度が必要なのです。たとえば拳銃を使うとか。
……そう!モンハナシャコのシャコパンチはピストルの弾丸並みの速度で撃ち出されているのです。野生の力、すごい!
拳を握れる甲殻類
また、この凄まじいパンチを生み出す秘密は捕脚の形状にもあります。
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シャコは英語でマンティスシュリンプ(カマキリエビの意)と呼ばれ、捕脚の先端は獲物に突き立てるためカマのように尖っています。
実はパンチ時に相手にぶつけるのはここではなく、人間でいう肘の部分。つまりパンチというより肘打ちと表現するべきなのかも?シャコエルボー!
で、モンハナシャコはこの肘の形がえげつないのです。
普段はなんてことないように見えますが、パンチの際に肘を曲げると…あら不思議!ボクシンググローブのようなふくらみが!
そう、モンハナシャコは甲殻類でありながら拳を握ることができるのです。この拳は殻が肥厚化してカッチカチ!つまり高速パンチを貝殻にぶち当てても砕けない構造になっているのです。
すごい…。完全にパンチの威力を高めるためだけの進化…。
ちなみにモンハナシャコは尋常でなく高度な視覚を持つことも知られています。
目がよくて拳が速いとは、まさに自然界のボクサーですね。
素手で触っちゃダメ!ガラス水槽で飼うのもダメ!
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そういえばそんなモンハナシャコを『あつ森』では素手で捕獲しているように見えましたが……。
アレ、リアルで敢行したら大惨事になるので絶対に真似しないでください。手の肉裂けますよ!
それからその美しい体色からペットショップなどで販売されることもありますが、飼育する際はガラス製の水槽ではなく必ず衝撃に強いアクリル製の水槽を使用する必要があります。
モンハナシャコに水槽を割られて部屋が水浸しに…という事故は実際にあるそうですよ。
いやー、つくづくすごい生物だ。
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『あつ森』博物誌バックナンバー
■著者紹介:平坂寛
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Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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