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『Ghost of Tsushima』に登場するさまざまなNPCたち。蒙古襲来を生き延びた彼らの姿は、対馬が置かれている危機的状況をリアルに伝えています。そんな「空気のようで空気ではない」NPCに注目。気になるNPCの一日を追いかけてみました。
密着地は序盤に何度も立ち寄ることになる「黄金寺」。ここは蒙古によって村を追われた島民が集まる避難所として機能しています。さまざまな境遇の者がいる場所だからこそ村とは違う景色が見られるに違いありません。というわけでさっそく調査をしてみました。
身を寄せ合う黄金寺の人々
黄金寺に集まる人を分けると、お坊さん、手に職を持つ人、難民に分かれます。
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本堂の前で泣きながら許しを乞う女性と、それを慰めるお坊さんを発見。女性は蒙古がトラウマになっているようで一日中泣き続けています。その近くには赤ん坊を抱えた女性の姿も。仏に近いところで救いを求めているのでしょうか。なんとも切ない光景です。
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守りたい、この寝顔。
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働ける人々は手を動かしています。何かをしていた方が気持ちが落ち着くのでしょう。
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井戸の前には水待ちの列が。さすが日本人、一列にちゃんと並んでいます。ソーシャルディスタンスを守る、ほどよい距離感です。
南の裏口付近には蒙古によって命を落とした人々の亡骸が置かれています。黄金寺の敷地内に置いてあげるのがせめてもの手向けなのでしょう。落ち着くまで埋葬すらできない状況が伝わってきます。
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そのうちの一体の亡骸に向かって泣き続ける女性と、それを慰める男性を発見。男性はあらゆる言葉で女性の気を紛らわそうとしています。「俺だって泣きたいよ」と泣き言を言いつつも、「ここにいるよ」「なんとかなるさ」と優しいことばで慰め続けています。その辛抱強い姿にグッときてしまいました。そこで彼の行動をさらに追ってみることにしました。
優しいことばで慰める粋な男性に密着!
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午後6時過ぎ、別れの言葉もなく、突然立ち上がりどこかへと向かう二人。さっきまでの親密な雰囲気は何だったんだろうと思わなくもないですが、有事においてはそういうこともあるのでしょう。男性を追いかけると、正門の方向へと進んでいきます。
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正面から右に折れ、東側の門の近くに向かう男性。そしておもむろに……
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寝た。
時刻は夜の7時。電気のない時代、日が暮れたらおやすみなさいの時間です。もはや盗られるものは何もなく、無防備そのもの。男性の安らかな寝顔を一晩中見守って……
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朝5時、10時間たっぷり睡眠を取った男性が起床しました。寝起きにも関わらずしっかりとした足取りで歩いてゆくので、再び追跡。
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正門そばの焚き火にて、夜が明けきらぬうちから朝ごはんタイム。屈みこんで手づかみで食べる様子は、昨日女性に優しい言葉をかけていたとは思えぬほどワイルドです。
「朝ごはんを食べたらまた誰かを慰めに行くのかな?」と思い、食事をずっと見守っていましたが……
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食べる
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食べる
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まだ食べる。
その間に本堂付近から聞こえてくる、例のトラウマ女性の許しを乞う声。もはや日常になってしまったのか、まったく意に介していない様子でひたすら食べています。そして夕方6時、おもむろに立ち上がり……
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その日は本堂の裏でスヤリ。自由すぎる!
持ちつ持たれつの助け合い精神
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翌朝、再び5時に起きて動き出す男性。この日は食事には目もくれず、裏門へと向かいます。これは粋な慰めタイム再開か!? と期待して尾行します。
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途中から別の男性が合流し、並んで歩き始めました。今日はこの人を慰めるのでしょうか?
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お前が泣く側なんかい。
おとといの女性よりガチ泣きしてしてるじゃないですか。隣の男性から「どうにかする、約束だ」「泣くなよ、きっと平気だ」と、優しい言葉で慰められています。
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仁も慰めに加勢。必ずや蒙古を討ち果たそうぞ。
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尺八吹いても泣きやまず。
泣きたい日だってある。そういう時は意地を張らずに泣いていい。男性はそんなことを訴えているのではないかと感じました。
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ちなみに後日様子を見にいったら別の女性が泣いていました。これだけの人に慕われる、この亡骸、一体何者……!?
昨日元気でも今日元気とは限らない。だからこそ、つらい時は慰め合う。密着してわかったことは、人は助け合わないと生きていけないということ。蒙古に村を追われ、命からがら逃れてきた対馬の人々は、助け合いの精神でこの未曾有の事態を乗り切ろうとしていました。
NPCがどんな生活をしているのか興味本位で調べ始めたのに、まさか大切なことを学ぶことになろうとは。蒙古を倒すだけでなく、たまには立ち止まり、民の生活に密着してみてはいかがでしょう。人生に役立つ発見があるかもしれません。