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時間経過によるストーリーも全て開放され、いよいよ終わりが近づく『Fate/Grand Order』の2020年夏イベント「サーヴァント・サマーキャンプ! ~カルデア・スリラーナイト~」。
呪いのビデオや殺人鬼、ゾンビなど、例年とは打って変わって「ホラー」がテーマとなった今年の夏イベント。アドベンチャーパートの選択肢やバトル中には不可解な演出も見られ、プレイヤーに不安を募らせました。
※ネタバレ注意!
以下より、「サーヴァント・サマーキャンプ! ~カルデア・スリラーナイト~」のネタバレが含まれます。
この不可解な演出とは、主人公の性別が勝手に変わっていたり、普段の主人公ならば言わないであろう選択肢が登場したりすることを指します。ストーリーを進めることで、その理由は「徐福が主人公に化けて、マシュ班と行動を共にしていたから」だと分かりました。
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つまりプレイヤーは、「偽物の主人公(徐福)」を自分だと思って操作していたわけです。これを知ったうえで「偽物の主人公」のアドベンチャーパートをプレイすると、選択肢が徐福寄りの思考・言動になっているのが分かります。
本記事では、そんな「偽物の主人公(徐福)」の選択肢を改めて振り返り。あれらの受け答えを徐福がやっていたと分かった今ならば、その選択肢の意味や新しい発見が見えてくるかもしれません。
最初の選択肢
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偽物の主人公パート(以下、徐福パート)で登場した最初の選択肢は、「なるほどなるほど……」でした。これからコテージの調査をする流れでの場面転換だったので、初見時はコテージに対して「なるほど」と感想を言っているように感じたと思います。
しかし、徐福の日記で「カルデアのマスターの記憶を読み取り、主人公に変化する」と説明されていたので、これは“読み取った主人公の記憶”に対して「なるほど」と感想を言っていたのかもしれません。
のんびりを楽しむのも主人公
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徐福パートでは、自由時間を楽しむ自分に「我ながらのんびりしすぎているような……」と問いかけるシーンがありました。これは、仮面計画やB山を乗っ取った犯人捜しを進めなければいけないのに、「こんなにのんびりしていていいのか?」との思いから出た言葉でしょう。
サマーキャンプを含めて5回も夏イベントを経験してきた主人公ならば、「夏の特異点はこんなもんだ」と納得しそうですし、のんびりした時間さえも楽しむ気がします。
虞美人への態度
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徐福パートで最も顕著だったのが、虞美人への態度です。まず呼び方からして異なっており、本物の主人公は「先輩」と呼びますが、徐福パートでは「虞美人さま」呼びでした。虞美人を敬愛するあまり、自然と様呼びになっていたのでしょう。実際に対面した際は「ぐっ様」呼びだったので、これでも抑え気味だったのかもしれません。
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自由行動の際には、登場した選択肢が「虞美人さまについていようかと……」のみ。本物の主人公はイリヤか蘭陵王を選べたので、ここにも虞美人を優先する徐福の性格が表れています。
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また、徐福パートで肩揉みを買って出た際には、虞美人から「アンタ変なものでも食べたの?」と怪訝な反応が返ってきました。本物の主人公でも肩揉みぐらいはしてあげそうですが、話の流れ的にはたしかに唐突すぎます。これも、虞美人の役に立ちたいという徐福の気持ちの表れだったのでしょう。
マシュへの態度
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徐福パートで虞美人と並んで注目したいのが、マシュへの態度です。初めこそ少し堅苦しさを見せていましたが、共にサマーキャンプを楽しんでいく中で態度が軟化。マシュと過ごす日々は楽しかったし、友達になれそうだったと徐福自身も語っていました。
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中盤の自由行動では、マシュの「誰かに会うのもいいかなと思ったのですが……」という提案に「今日は2人でいいかな?」と返す場面も。序盤の徐福ならば虞美人の名を出しそうですが、ここ数日でマシュとの仲を深めたからこそ、「2人で楽しむのもいいかな?」と思えたのでしょう。
問題の花火パート
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プレイヤーに最も違和感を与えた部分こそ、この花火パートでしょう。一瞬で終わる花火を見て「いっそ永遠ならいいのに……」と呟くポエミーな主人公でしたが、その正体が徐福と分かった今ならば、不老不死を求めた彼女らしい呟きだったと納得できます。
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その不自然な呟きが気になったのか、マシュも怪訝な表情に。この後の「う、えと、うん」も、思わぬボロを出したことで焦ってしまったのでしょう。徐福本人の口調に戻っています。
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違和感を決定的にしたのは、線香花火勝負にわざと負けたところ。あの主人公がマシュ相手にそんなことをするとは思えません。実際に本物の主人公パートでは、スマイリングホテルでの素潜り勝負時に勝敗を選択できました。
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オルトリンデの言った通り、花火勝負にわざと負けたのは、仲良くなったマシュに花を持たせようとした徐福の優しさと考えられます。
1人だけ目的の違う犯人捜し
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自身の首を絞めることになる「特異点の調査」ですが、徐福パートでもしっかり進んでいました。これは「特異点の謎を解くため」ではなく、「B山を乗っ取った犯人を見つけるため」と説明されています。
特異点の山名が判明した際には、「犯人とか一気にわかれば良かったなぁ……」と少し落胆。ここで言う“犯人”も、マシュたちが「特異点を生み出した元凶」なのに対して、徐福は「B山を乗っ取った人物」を指していたんですね。すでに山名を知っている徐福からすれば収穫もゼロに等しいので、落胆するのは仕方ありません。
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殺生院キアラが正体を現したシーンでは、マシュの「キアラが“元凶”か?」という表現に対して、徐福は「キアラが“敵”か?」と表現。軽いニュアンスの違いではありますが、真の元凶は徐福自身なのと、自身にとっては「元凶ではなく、B山を乗っ取った敵」なので、表現に違いが出たのでしょう。
また、マシュの「キアラさんが元凶でいいのでしょうか?」という質問形式に、「彼女が敵、ということでいいのかな?」と同じく質問形式で回答。確認の意にも見えましたが、これは自分に「キアラが敵でいいんだよね?」と言い聞かせていたのかもしれません。
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少し訝しげなのは、キアラがカルデア陣営に敵対的な行動をしており、「本当に敵でいいのかな?」と確信が持てないからです。後にアビゲイルと話し合っている際にも、「キアラが何を考えているかはさっぱりだけど、敵だよね?」と自分の考えを確認していました。
あったようで無かった選択肢
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ここまで徐福パートの選択肢に注目してきましたが、実は選択肢なんて無かったのです。どういうことかと言うと、徐福パートで選択肢が登場する際には、出てくる選択肢が1つだけでした。つまり、選択肢を選ぶ余地が無いのです。
本物の主人公でも、選択肢が1つしか出ない場面はよくあります。しかし、徐福パートでは全ての選択肢が1つだけ。プレイヤーが行動を選んでいるようで、実際は全て徐福自身の選択だったわけです。
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プレイヤーが「偽物の主人公」を偽物と知らずに操作する、ある意味ホラー展開だった2020年の夏イベント。偽物に化けていた徐福は、虞美人への敬愛を拗らせつつも、どこか憎めないキャラクターでした。ノッブ大好きな織田信勝や明智光秀に近いですね。
残念ながらバトルモーションは既存エネミーの調整版でしたが、その特徴的なキャラクターで注目を集めたことに変わりはありません。それこそ信勝らと同じく、アドベンチャーパートで再登場する可能性もあります。徐福の今後にも期待が高まりますね!