『どうぶつの森』本日4月14日で20周年─最初はダンジョンRPGだった!? シリーズの原点が生まれた“意外なきっかけ”とは

シリーズ最新作が世界的に大ヒットを遂げている『どうぶつの森』。今からちょうど20年前に、シリーズの原点が発売されました。ですが、当初の企画では、かなり異なる内容だったようです。

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『どうぶつの森』本日4月14日で20周年─最初はダンジョンRPGだった!? シリーズの原点が生まれた“意外なきっかけ”とは
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公式サイトより

自分のペースで好きなように過ごすスローライフと、個性的な住人とのコミュニケーションが楽しい『どうぶつの森』シリーズ。最新作にあたる『あつまれ どうぶつの森』を、今も継続的にプレイしている方も少なくないことでしょう。

本シリーズは、作品数を重ねるごとに様々な進化を遂げてきました。『あつまれ どうぶつの森』では舞台が無人島となり、DIYで生活そのものを生み出す楽しさが増え、大きな話題となりました。また、島の形をすら変えられる大胆なクリエイト性も、非常に刺激的な新要素です。

このように最新作を見るだけでも進化のほどが伝わりますが、シリーズの1作目を飾った『どうぶつの森』がどのように生まれたのか、知らない方もいるはず。というのも、本作が発売されたのは2001年4月14日のこと。20年も前に発売されたタイトルなので、知らなくとも無理のない話です。

そこで今回は、記念すべきアニバーサリーを祝して、シリーズの原点である『どうぶつの森』が生まれたきっかけについて、振り返ってみたいと思います。

「プラットフォームの変更」と「コミュニケーション」が、『どうぶつの森』の誕生へと繋がる


公式サイトより

『どうぶつの森』は、ニンテンドウ64ソフトとして登場しました。ですが本作は当初、ニンテンドウ64の周辺機器「64DD」向けにリリースされる企画として立ち上がりました。しかも、本シリーズの柱のひとつと言える「どうぶつとのコミュニケーション」は主軸ではなく、当初はどうぶつと会話をするようなプランは全くなかったとのこと。またゲーム性も、今の『どうぶつの森』とはかなり異なったものでした。

「64DDの大容量を活かして、今までにないゲームが作れないか」──こういった発想から始まった企画は、複数人が楽しめるような方向性を模索。その中で、コミュニケーション性を盛り込む提案が行われました。

ですが、それはゲーム内キャラクターを相手としたやり取りではなく、同じゲームを遊ぶプレイヤー同士について。しかも、同じソフトを遊ぶ家族とのやりとりに着想を得たものでした。

仕事が忙しい父親は、なかなか家族と過ごす時間が取れず、一緒にゲームを遊ぶことができません。しかし、「お母さんや子どもが遊んだ後、遅い時間に帰ってきた父親が遊ぶことで何かが重なりあうようなものはできないだろうか」と考え、“コミュニケーションフィールドを提案する”といった切り口が生まれました。

例えば、子供がゲーム内でダンジョンに挑み、その途中で足止めを喰らってしまう。その夜、子供が残したヒントを手がかりに、父親がその関門をクリアし、道を切り開く……そうしたリレー形式で進められるようなコミュニケーションが、当時想定されていました。

ダンジョン攻略といったゲーム性とは大きく異なりますが、プレイ可能な時間のズレを活かしたコミュニケーションは、『どうぶつの森』にしっかりと引き継がれました。本作は最大4人まで同じ村に住める一方、一度にプレイできるのはひとりまで。誰かが遊んでいる時、他の人はプレイできません。しかし、同時にプレイ出来ないからこそ、そこにコミュニケーションが生まれる一因にもなり得ます。

製品版が発売されると、夜遅くに帰ってきた父親が『どうぶつの森』がプレイした時、「お父さん、今日は○○をしたよ」といった手紙が届いていたり、子供が欲しがっていたアイテムを父親が調達し、手紙と一緒に送る──といったやり取りが実際に行われ、当初の狙い通り「今までにないゲーム」が生まれました。

ですが、この企画が『どうぶつの森』へと至るために、もうひとつ大きなターニングポイントを迎えました。それは、対応プラットフォームの変更です。64DDからニンテンドウ64ソフトへと変更されたため、企画の規模そのものが大きく覆りました。

前述の例にあったように、当初はダンジョンなどを冒険するRPGのような世界がイメージされていましたが、プラットフォームが変わり、必然的に使える容量も変更。その結果、内容を大幅に削る必要に迫られました。

当初の案では、春夏秋冬を表す4つの島があり、それぞれの島にダンジョンがある世界でしたが、このボリュームのままだと到底収まらないため、舞台は一箇所にギュッと詰め込み、冒険するようなダンジョンも取りやめに。

こうしてフィールドがコンパクトになったものの、コミュニケーション性は引き継がれ、そこを新たな軸として再構成された結果が、20年前に発売された『どうぶつの森』なのです。プレイヤー同士の交流はもちろん、同じ村に住む住人とのコミュニケーションも大きく広がり、今も継承されている魅力の原点がこの時に形作られました。

「遊ぶ時間が食い違って一緒にプレイできない」というジレンマを、交流という糸口で繋いだ斬新な発想。プラットフォームの変更により、冒険を切り捨ててコミュニケーションに特化した方向性。この2つの転換期が、『どうぶつの森』の誕生へと繋がったのです。


こうして登場した『どうぶつの森』は、独特の切り口に注目も集まり、根強い人気を獲得するに至りました。もちろん売上という意味でも一定の成功を収めていますが、しかし当時はまだ“爆発的な大ヒット”とまではいきません。

理由はいくつも考えられますが、コミュニケーション主体のゲームは当時まだ珍しく、そのため興味を持ってもプレイを躊躇する方が一定数いました。しかし、ニンテンドーゲームキューブソフト『どうぶつの森+』や『どうぶつの森e+』でその知名度は着実に高まっていき、シリーズ4作目『おいでよ どうぶつの森』で世界的なヒットを記録。これまで積み上げた実績と期待が、大きな実を結んだ瞬間と言えるでしょう。

ニンテンドーDS向けとして発売された『おいでよ どうぶつの森』は、ハードの好調ぶりも追い風となり、全世界累計で1,175万本という大台を叩き出しました。また、3DS向けの『とびだせ どうぶつの森』は、1,282万本とDS版を上回る躍進を見せ、シリーズの人気を盤石なものとします。

さらに、シリーズの躍進は留まるところを知りません。最新作『あつまれ どうぶつの森』では、昨年末の時点で3,118万本を売り上げており、これまでの最高販売本数を3倍近く上回りました。著しい成長を見せた名シリーズは、20年の月日を経てもなお、輝き続けています。

家族と一緒に同じ村に住み、どうぶつたちと交流を深めていく『どうぶつの森』。企画が変更となり、ゲーム内でのダンジョン探索……いわゆる「冒険」はなくなりましたが、これまでにない形でコミュニケーションを促すゲームを提案した本作の存在自体が、最大の「冒険」だったのかもしれません。そして冒険の結果は、皆様もご存じの通りです。






《臥待 弦》

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