『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』本日5月14日で25周年─実は「3すくみ」は本作から! 「結婚」や「個人スキル」などシリーズ初要素を詰め込んだ意欲作

『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』が、今日でちょうど25周年を迎えました。魅力を挙げれば尽きませんが、本作で初めて導入された新要素など、その特色に的を絞って紹介させていただきます。

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『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』本日5月14日で25周年─実は「3すくみ」は本作から! 「結婚」や「個人スキル」などシリーズ初要素を詰め込んだ意欲作
『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』本日5月14日で25周年─実は「3すくみ」は本作から! 「結婚」や「個人スキル」などシリーズ初要素を詰め込んだ意欲作 全 3 枚 拡大写真

ファミコン時代の戦略系シミュレーションゲームといえば、リソースを消費してユニットを生産し、消耗を視野に入れつつ戦うものが主体でした。同名のユニットであれば性能はどれも同等。兵士もゲーム的には“生産”され、戦場へと送られます。

もちろん、こういったスタイルとは一線を画す作品も当時存在していました。1996年に1作目が登場した『ファイアーエムブレム』シリーズも、そのひとつ。ひとりひとりが個性を持ったキャラクターで、しかも経験を積むことで成長するRPG的な側面もありました。

キャラの個性、異なる成長率、様々な兵種など、兵士がただのユニットにならない『ファイアーエムブレム』。しかもHPが尽きると、文字通りの意味で死亡し、失われてしまいます。個性を持つキャラが成長することで愛着が湧き、だからこそ喪失が恐ろしくなる。この絶妙なゲーム性が、多くのユーザーを魅了しました。

シミュレーションRPGの草分け的存在となった『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』(1作目)、シリーズ全般を通して見ても独自色が濃かった『外伝』(2作目)、良質なリメイクと新たな第2部の追加で人気を博した『紋章の謎』(3作目)など、シリーズの黎明期はいずれも特徴的な作品ばかりです。

そして、4作目としてリリースされた『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』も、更なる飛躍を目指した意欲作として知られています。本作には数多くの新要素が用意されており、中には後のシリーズ作に大きな影響を与えたものも少なくありません。

『聖戦の系譜』が発売されたのは、1996年5月14日。今からちょうど25年前に当たります。世に出てから四半世紀も立ちますが、未だにファンの間では根強い支持を集めており、リメイクを望む声も止まないほど。その魅力を語るとすれば、どれほど時間があっても足りないほどです。

そこで今回は、『聖戦の系譜』で実装された新要素の中でも特に印象深かったものに注目し、本作のユニークな特徴や影響力の大きさについて振り返ってみたいと思います。当時遊んだユーザーは懐かしい要素の数々を思い出す一助に、そして未経験の方は25年前に挑んだ挑戦の数々とその結果をご覧ください。

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■「3すくみ」
本作の主な近接攻撃の手段は、剣・斧・槍の3種類。そして各武器種は、「剣は斧に強く、槍は剣に強く、斧は槍に強い」といった、いわゆる「3すくみ」の関係にあります。出来るだけ有利に戦いを運ぶのが、戦略におて基本かつ重要なポイント。使用する武器は兵種によって決まるので、多くの兵種を幅広く使いこなすことで、様々な状況に対応しやすくなります。

今や本シリーズの基本となった「3すくみ」。しかしこれは、『聖戦の系譜』で初めて実装された要素でした。1作目からあるようなイメージを持つ方も少なくないと思いますが、書籍「ファイアーエムブレム大全」にも明記されています。とはいえ、シリーズの歴史全体で見ると、本作も黎明期に含まれるため、初期に根付いたシステムとも言えるでしょう。

■「スキル」
同じ兵種であっても、各キャラごとに成長率が異なっているため、能力の伸びにも個性が表れます。ですが、シリーズ最初期におけるキャラクターごとの差別化は、見た目(個性含む)や兵種、能力値に成長率くらいでした。

ですが、本作から「スキル」が導入されたことで、その状況は大きく変わります。同じ兵種であっても、個人スキル次第で戦い方も変わり、役立つ局面が変化することも。例えば、敵の守備力を無視できる「月光剣」を持っていれば、アーマーナイト系の対抗手段になりますし、与えたダメージに応じてHPが回復する「太陽剣」の持ち主ならば、回復の支援なしでも長期的に戦いやすくなります。

ただのユニットを、『ファイアーエムブレム』は唯一無二の存在として定義しました。そしてスキルを実装したことで、さらに個性を際立たせることに成功します。また、戦いがより派手なものになり、プレイ中の盛り上がりも力強く後押しするといった一面も。もちろんこの要素も、複数のシリーズ作に受け継がれています。

■「親世代・子世代の2部構成」
本作の物語は、時間的にもかなり長い間隔を描いています。というのも、前半と後半で2部構成になっており、前後半の間に17年ほどの月日が流れます。登場するメンツも大半が入れ替わっており、第1部で活躍したキャラクターは後に子を産み、その子供たちが第2部のメインキャラクターになります。

2部構成自体は『紋章の謎』で既に実現していますが、あちらは後に追加された形なので、当初から2部構成として作られた『聖戦の系譜』とは少々事情が異なります。前半と後半が親世代・子世代とはっきり分かれている本作は、時代を跨ぐ戦争が生み出す悲劇にも迫った貴重なタイトルです。


■「結婚」
異性同士のキャラクターを隣接させることで関係性が深まり、一定の条件を満たすと恋人関係に。そして2人は結婚し、その子供たちが第2部で活躍します。ちなみに、過去作では特別な関係性を持つ相手は決まっていましたが、本作に登場するキャラクターの多くは相手が決まっておらず、プレイヤーの任意で相手を変えることが可能。自分好みのカップリングが楽しめるのも、大きな魅力のひとつです。

また、組み合わせ次第で子供の能力(スキル継承など)が変化するので、ゲーム攻略的な面から見ても、この「結婚」は遊び甲斐のあるシステムでした。後の作品では、『覚醒』や『if』にて、結婚や子供といった要素が受け継がれているほか、『風花雪月』にも結婚の要素が含まれています。

■戦闘マップ中の「セーブ」
本シリーズは、ランダムな成長結果や、死亡したら蘇らない厳しいゲーム性などが魅力のひとつでした。残念な結果をやり直して回避できるシステムは、その個性と相反するもの。そのためか、戦闘マップ上でのセーブは、一度再開したら消えてしまう「中断セーブ」が主でした。

ですが、『聖戦の系譜』ではその事情が少し異なります。戦闘マップが大きく広がり、戦争感がより高まった本作は、必然的にマップのクリアまで時間がかかるようになりました。この長時間プレイに配慮したのか、本作は何度も再開できる通常のセーブ方式を採用。とはいえ、「セーブポイントからのやり直し」については、一定の対策も講じられていました。

ひとつのセーブポイントから同じように行動した場合、その結果は何度やり直しても変化しません。乱数が固定化されており、回避できなかった攻撃は幾度繰り返しても当たり、レベルアップによる成長も変動せず。それは、やり直しによる緊張感の低下を阻止する、ユニークな対処法でした。

ただし少し操作手順を変えると、使用する乱数のタイミングも変わるのか、戦闘や成長の結果はガラリと変化。実質的に、望まなかった展開をなかったことに出来ます。とはいえ、これは緊張感を削ぐプレイスタイルなので、あまりお勧めしません。

■死なない闘技場
当初のシリーズ作では、お金を稼ぐ手段といえば「闘技場」でした。どの作品でも何かとお金がかかり、資金を貯める手段は非常に重要。掛け金に応じて儲けも大きくなる「闘技場」は、プレイヤーにとって魅力的な存在でした。

しかしこの「闘技場」で負けた場合も、キャラクターはロスト。小銭を稼ぐために、大事なキャラクターを失ってしまう──そんな悲しい目に遭う可能性も十分にありました。ですが本作では、負けてもHPが1で止まり、死なずに済みます。

ちなみに「闘技場」で戦える回数は1キャラごとに決まっているので、延々と稼ぎ続けることは出来ません。死のリスクはあるがいつまでも稼ぎ続けられるのと、死なないけど稼ぎに限界がある『聖戦の系譜』スタイル、あなたはどちらがお好みですか?

『聖戦の系譜』をプレイするには、現段階ではバーチャルコンソール版がお勧め



シリーズに影響を与えた新システムや、本作独自の特色など、様々な要素が盛り込まれた『聖戦の系譜』。本稿で興味を抱いたり、もう一度遊びたくなった方は、ぜひプレイしてみてください。

オリジナル版はスーパーファミコンソフトなので、実機で遊ぶ環境を改めて構築するのはややハードルが高め。今でも比較的遊びやすい手段としては、Wii UやNew 3DS向けのバーチャルコンソール版が最適でしょう。親子二代にわたる物語を大画面で楽しんだり、場所を選ばず持ち運んで育成に励んだりと、スタイルに合わせたチョイスが可能です。

しかし、Wii Uは前世代のハードですし、3DSには対応していないので(New 3DSシリーズのみ)、今現在の視点で見ると、いずれも手軽とまでは言い切れません。

ちなみに、ニンテンドースイッチの有料オンラインサービス「Nintendo Switch Online」では、シリーズ1作目と3作目がプレイ可能です。そのため、もしかしたら『聖戦の系譜』も今後ラインナップに加わるかもしれません。また、過去作がリメイクされたこともあるので、その流れが『聖戦の系譜』に来る可能性も十分あります。

これからどんな展開を迎えるかは全くの未知数ですが、だからこそ『聖戦の系譜』について語り、盛り上がることが大事なはず。この25周年をきっかけに、その想いを再燃させてみてはいかがでしょうか。

【2021年5月19日午前11時 追記】


5月26日より「Nintendo Switch Online」にて遊べるようになりました!ぜひこの機会にプレイして、親子2世代に渡る壮大な物語に触れてみてください。



《臥待 弦》

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