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Cygamesが手掛ける育成シミュレーション『ウマ娘 プリティーダービー』。新育成ウマ娘「★3 [サンライト・ブーケ] マヤノトップガン」「★3 [クエルクス・キウィーリス] エアグルーヴ」などがピックアップされ、イベントボーナスとして活躍する新ストーリーイベント「花咲く乙女のJunePride」も開催中です。
非常に多彩なウマ娘が登場する本作。SNSなどで、ウマ娘のデザインやイベントなどで「元ネタはこれ!」と紹介するような書き込みを見かけることが多いのではないでしょうか。
ファル子の尻尾ちゃんと再現されてて感動した pic.twitter.com/GHPKc1NIUa
— 和鳳(なげは) (@rokuhane) May 6, 2021
本稿では『ウマ娘』に登場するキャラクターやイベントなどから、実際の元ネタと思われるものをいくつか紹介。本作の随所で感じられる制作者の競馬愛、そのこだわりを少しでもお伝えできれば幸いです。まずはブームを作った馬の超有名エピソードから紹介です。
競走馬ぬいぐるみはオグリキャップが定番化させた!
育成イベントのUFOキャッチャーなどで登場する「ウマ娘ぬいぐるみ」。なんとか商品化してくれないかなという本音はさておき、このキュートなアイテムはJRAが販売している「アイドルホース」という人気競走馬ぬいぐるみが元ネタと思われます。
今や競馬場などでも定番アイテムのぬいぐるみ。そのきっかけになったのは第二次競馬ブームの立役者“オグリキャップ”だと言われています。地方馬としてのデビュー、怪我を乗り越えて大勝負に勝利するなど、さまざまなエピソードで超アイドル馬だった“オグリキャップ”のぬいぐるみを当時の馬主が商品化、社会現象とも言える人気を博したのです。
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“オグリキャップ”の育成イベントでは、彼女のぬいぐるみが大人気というエピソードがあります。ぬいぐるみに少し嫉妬している“オグリキャップ”がすごいかわいいんですよねこのイベント。
スーパークリークのキャラも原作由来?
育成ウマ娘シナリオ、キャラストーリーでも「トレーナーを引っ張ってくれる」存在である“スーパークリーク”。このママ属性たっぷりのキャラクターにも元ネタは存在しています。
もはや説明不要であろう武豊騎手のデビュー2年目のこと。菊花賞で騎乗する候補の馬を見て回っていた際に、“スーパークリーク”が武豊騎手の袖をくわえて離さなかったというエピソードがあります。武豊騎手はコンビを組んで出走することを決意、挑んだ菊花賞にてGIレース初勝利を挙げたのです。
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このエピソードを踏まえて、JRAヒーロー列伝では“スーパークリーク”に「逆指名」のキャッチコピーが付けられています。後に偉大な記録を残し続ける武豊騎手の才能を見抜いていたであろうこの名馬。『ウマ娘』でも新米トレーナーを「逆指名」し、大レースで勝利し続ける姿を披露しています。
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JRAヒーロー列伝は、その時代を代表する名馬たちにキャッチコピーを付けて公開しています。“トウカイテイオー”の「帝王は、皇帝を超えたか。」は偉大な父・皇帝“シンボリルドルフ”の初年産駒としてGI4勝のその実績から。『ウマ娘』でも“シンボリルドルフ”と“トウカイテイオーの絡みは非常に多いですね。
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また、“ナリタブライアン”のキャッチコピーは「皐月賞3 1/2馬身、ダービー5馬身、菊花賞7馬身」というものです。このシンプルでかっこいいコピーは、固有二つ名「影をも恐れぬ怪物」の取得条件にも関わってきます。この二つ名も名エピソードの宝庫です。
「二つ名」は名エピソードだらけ!
メジロマックイーン:名優
「名優」は“メジロマックイーン”の名前が俳優スティーブ・マックイーン由来であることから。JRAヒーロー列伝でも俳優由来ということを踏まえ、生涯成績12勝を「主演作12本。」というコピーで表現しています。“メジロマックイーン”は当時「強すぎて退屈にさせる」とまで言われた名馬。この退屈というキーワードもゲーム内のイベント「『退屈』なる私たち」で再現されています。
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ナイスネイチャ:愛しき名脇役
GIレース勝利はないものの重賞3着7回、2着4回という成績を見せ、人気が高かったた“ナイスネイチャ”の固有二つ名。ブロンズコレクターと呼ばれた“ナイスネイチャ”の生涯獲得賞金は6億2358万5600円で、『ウマ娘』育成シナリオでもメインで絡む“トウカイテイオー”の6億2563万3500円にわずかに及ばないくらいです(もちろん出走数は圧倒的に違いますが……)。当時も非常に愛された名馬でした。ちなみに“ナイスネイチャ”はGIレースでの勝利こそありませんが、GIIレース3勝GIIIレース1勝という華々しい成績を残しています。勝利したGIIIレースは小倉記念で、『ウマ娘』でも一つの転機となるレースですね。“ナイスネイチャ”のブロンズコレクターは超有名エピソードですが、競走馬の歴史を見るといかに素晴らしい成績だったか再確認できますね。
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マヤノトップガン:変幻自在
通常の競走馬は「逃げ」「差し」など得意な戦法が存在しています。しかし、決まった戦法を持たずさまざまなレースに挑み勝利してきた馬が“マヤノトップガン”でした。天才・田原成貴騎手と組んで生涯GIレース4勝、しかもその戦法が逃げから追い込みまでさまざまだったことから、メディアからも「変幻自在」と呼ばれた名馬です。実際の競走馬での愛称に由来している二つ名は“サイレンススズカ”の「異次元の逃亡者」、“マルゼンスキー”の「スーパーカー」、“トウカイテイオー”の「帝王」など多く存在しています。また、“スペシャルウィーク”の「日本の総大将」は、1999年のジャパンカップで三宅正治アナウンサーの実況が由来です。
そのほかにも小ネタがたくさん!
これまでは、ウマ娘および元ネタの競走馬に関する由来を紹介してきました。しかし、本作のこだわりはそれだけではありません。舞台となっている「トレセン学園」は競走馬を調教する「トレーニング・センター」が由来であり、美浦と栗東の地名は『ウマ娘』では寮の名前として使われています。
育成イベントで登場する「三女神像」は、ウマ娘の能力を継承して能力を挙げてくれるありがたいもの。この三女神の元ネタと思われるものが、JRAでも紹介されている「サラブレッドの3大始祖」です。“ダーレーアラビアン”、“ゴドルフィンアラビアン”、“バイアリーターク”の3頭こそがすべてのサラブレッドのルーツに繋がっていると言われているのです。
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そのほか、トレーナー室の背景にあるポスターにも元ネタがあります。左側の青いポスターなのですが、これがJRAの配信サービス「JRAレーシングビュアー」で使用された武豊騎手の写ったポスターと同じデザインです。緑の地上と青い空、武豊騎手のポーズ、書いてある文字(『ウマ娘』では走、実際のポスターではJUMP)など複数の構図で一致しています。
ほかにも、ウマ娘の勝負服の多くが実際の競走馬の騎手が着ている服を基調にしたカラーであることも特徴的。“ダイワスカーレット”は、バンデージのデザイン(白地に青線)がウマ娘デザインの手袋やソックスに採用されていたりします。(一部例外はあるものの)見た目に関しては、元ネタでアレンジしつつわかりやすく再現していることが多いですね。
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ここまでいくつか紹介してきましたが、これでも本当にごく一部のものばかり。育成ウマ娘ストーリーの展開は、出走レースやイベントなどほとんどが原作準拠です(その運命を変えるifシナリオも多いですが)。TVアニメの「ウマ娘」でも、その展開だけでなく背景のちょっとした小道具なども元ネタが多く存在しています。
お気に入りのウマ娘がいる場合、そのモデル競走馬の生涯やエピソード、有名なポスターなどを見てみることをオススメします。非常に細かい部分でのこだわりが多い本作、きっと何かしら新しい発見があるはずですよ。
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※UPDATE(2021/5/29 13:50):誤字を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。
※UPDATE(2021/5/31 18:00):誤記を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。