『ワルキューレの冒険』8月1日で35周年─心踊るモチーフでジャンルの黎明期を支え、ドット越しに美少女を見たあの日…!

ファミコンソフト『ワルキューレの冒険』が、本日8月1日で35周年を迎えました。ジャンル、パッケージ、モチーフのすべてが、、当時のゲームとしては非常に斬新で、心に残る一作でした。

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『ワルキューレの冒険』8月1日で35周年─心踊るモチーフでジャンルの黎明期を支え、ドット越しに美少女を見たあの日…!
『ワルキューレの冒険』8月1日で35周年─心踊るモチーフでジャンルの黎明期を支え、ドット越しに美少女を見たあの日…! 全 5 枚 拡大写真
マイニンテンドーストア 『ナムコットコレクション』追加コンテンツ『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』より

本日8月1日に、ファリミーコンピュータソフト『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』(以下、ワルキューレの冒険)が35周年を迎えました。

この『ワルキューレの冒険』が発売されたのは、1986年8月1日。当時は、まだファミコンが発売されて3年も経っていません。家庭用向けコンピュータゲームとしては、まだ黎明期と呼べる時代。そんな折に登場した本作は、革新的な要素を多く持ち、新たな刺激をファミコンユーザーにもたらしました。

今回はアニバーサリーを記念し、『ワルキューレの冒険』がどのような刺激と衝撃を与えたのかを振り返りたいと思います。

ジャンル、モチーフ、ビジュアルと、全てが刺激的だった『ワルキューレの冒険』

マイニンテンドーストア 『ナムコットコレクション』追加コンテンツ『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』より

当時のファミコンソフトは、アクションにシューティング、スポーツといったジャンルが大半。短時間で遊べ、継続してプレイする必要がないゲームが多く、そのためセーブに類する機能やゲームクリアのない作品がほとんどでした。

国民的RPGとして知られる名シリーズの1作目『ドラゴンクエスト』が登場したのも1986年5月27日と、本作のわずか2ヶ月ほど前。物語を追いかけて広大なフィールドを冒険し、謎をとき、世界を救う……というゲーム自体が珍しい時代でした。

そんな時代に登場した『ワルキューレの冒険』のジャンルは、アクションRPG。フィールドを駆け回って敵と戦い、謎を解いて目的達成を目指すという点は、前述の『ドラゴンクエスト』とも似ています。ですが、戦闘にアクション要素が伴うことで、緊張感と興奮が増し、RPGとはまた別の刺激を与えてくれました。

マイニンテンドーストア 『ナムコットコレクション』追加コンテンツ『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』より

そもそも、RPG自体が珍しかった時代。アクションRPGもまた、非常に稀有な存在でした。ファミコンソフトでアクションRPG要素を持った先駆者としては、『ドルアーガの塔』や『ハイドライド・スペシャル』、『ゼルダの伝説』などが挙げられますが、『ドルアーガの塔』はステージ構成がユニークで、舞台は塔の中のみ。また進行も基本的に不可逆で、アクションゲームに近いステージ構成を持っています。

『ハイドライド・スペシャル』は、現在のアクションRPGにかなり近く、本シリーズはゲーム史的に見ても重要な作品です。ただし、主に展開したプラットフォームはPCで、『ハイドライド・スペシャル』は移植+新要素を加えた作品でした。

いずれも偉大な作品ですが、ファミコン発の完全新作アクションRPGという切り口で見ると、同年2月21日に発売された『ゼルダの伝説』に続く形で登場した『ワルキューレの冒険』は、黎明期を切り開き、後に続く道を残した代表作のひとつと言えるでしょう。

また、当時のファミコンファンの心を掴んだのは、そのジャンルだけではありません。本作のキャラクターイラストを手掛けた冨士宏氏の描く、本作の主人公「ワルキューレ」を、パッケージの前面に大きく掲載し、少年少女を驚かせました。

昨今では頻繁に見られますが、ファミコンソフトのパッケージを美少女が彩ることは当時珍しく、このパッケージ自体が衝撃的でした。もちろん、ファミコンの描画性能では、この「ワルキューレ」をゲーム内でそのまま表現することはできません。作中の彼女は、ドットがはっきりと分かるデザインで表示されています。

『ナムコットコレクション』公式サイトより

ですが本作を遊んだユーザーは、ゲームプレイの前に「ワルキューレ」の姿をその目に焼き付けています。ドット絵の彼女を見ながら、頭の中では冨士氏の描く「ワルキューレ」が戦っていたという方も多いことでしょう。ドット絵の向こうに美少女を見る。想像で補完する楽しさは、こうした時代にも親しまれていました。

そしてもうひとつ欠かせないのが、“ワルキューレ”という単語の採用です。ご存知の方も多いと思いますが、これは北欧神話に由来する言葉。戦場で息絶えた勇者を導き、ヴァルハラへと連れて行く女性たちを指しています。

ワルキューレはドイツ語読みで、これを英語で読むとヴァルキリー。ゲームに限らず、小説や漫画などですっかりお馴染みとなったこの単語。「戦乙女」という漢字表記も、定番になりつつあります。

ただし、本作自体に北欧神話モチーフのものはほぼなく、主人公の名前に留まる程度です。後の関連作品でモチーフを取り入れた要素が見受けられることもありますが、『ワルキューレの冒険』との関連性はわずかです。

ですが、当時のゲームファンにとって、「ワルキューレ」という響きは聞き慣れておらず、斬新で魅力的なワードでした。本作をきっかけに、北欧神話に触れ、のめり込んでいった方もいたほどです。

今では、ゲームだけに限っても、北欧神話をモチーフにした作品が多く存在します。古くは『ヴァルキリープロファイル』、数年前ならばPS4の『ゴッド・オブ・ウォー』、今年2月に早期アクセスを開始した『Valheim』も記憶に新しいところでしょう。

アクションRPGの黎明期を支え、大胆なパッケージビジュアルを提案し、北欧神話を知るきっかけを生み出した『ワルキューレの冒険』。星座と血液型によるステータスと成長の変化といった、現在でいうキャラメイクに近い要素を取り入れるなど、ゲーム面においても意欲的な作品でしたが、一方で謎解きのヒントがほぼなく、進行を継続するパスワードにもクセがありました。

『ワルキューレの冒険』を、決して満点の作品とは言いません。ですが、刺激的な斬新さに挑んだことは間違いありませんし、当時の挑戦は今やひとつのスタンダードとして受け入れられています。それは先見性が確かだった証拠であり、本作が繋いだ道のひとつとも言えるでしょう。

『ワルキューレの冒険』は、35年の月日を経てもなお健在

『ワルキューレの冒険』の功績は、もうひとつあります。それは、豊富なシリーズ展開です。まずは、本作に登場するキャラクターたちによる新たな作品『ワルキューレの伝説』が、アーケードや家庭用ゲーム機を賑わせます。

さらに、外伝的なアクションゲーム『サンドラの大冒険 ワルキューレとの出逢い』や、物語面に注力したADV『ワルキューレの伝説 外伝 ローザの冒険』、さらに携帯向けアプリとして『ワルキューレの栄光』『ワルキューレの栄光2』などがリリースされました。

しかも、『ワルキューレの冒険』自体の活躍も長く続きました。PSソフト『ナムコアンソロジー2』に収録されたほか、WiiやWii U、3DSのバーチャルコンソールソフトとしても配信されました。

そして、2020年6月18日にリリースされたニンテンドーソフトソフト『ナムコットコレクション』のDLC第2弾ラインナップに、この『ワルキューレの冒険』も登場。『ナムコットコレクション』本体は無料で配信されており、タイトル1本の値段は300円+税。今でも、ニンテンドースイッチとオンライン環境があれば、わずかな価格で35周年を迎えた『ワルキューレの冒険』が楽しめます。

35周年という節目を迎えた『ワルキューレの冒険』。あの時の、もしかしたらまだクリアしていない冒険へ、もう一度挑んでみてはいかがでしょうか。

《臥待 弦》

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