様々な看板シリーズを持ち、多彩な作品をリリースし続け、ゲーム業界の最前線で躍進しているアトラス。その活躍ぶりは改めて説明するまでもないほどですが、同社が展開する作品は常に注目を集めています。
そんな注目作の中でも、2021年11月11日発売予定の『真・女神転生V』には、一際大きな関心が寄せられています。国内でも指折りの歴史を持つRPGシリーズの最新作であり、ナンバリングタイトルとしては『真・女神転生IVFINAL』以来となる5年ぶり。シリーズファン待望の一作が満を持して登場となれば、視線が集中するのも無理のない話でしょう。
先月行われたニンテンドーダイレクトで公開された新映像も話題となり、近づく発売日に合わせて盛り上がりを見せている『真・女神転生V』。今回は、その魅力の一端に触れた先行プレイの体験を通じて、本作の特徴などをお届けします。序盤1時間ほどの内容について、その流れに合わせながら各要素へと迫るので、発売日が待ちきれない方はこちらで予習をどうぞ。
■新要素と定番要素の融合が楽しい! 戦略性の高い戦闘とストレスフリーのフィールド探索が織りなす没入感に圧倒
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『真・女神転生V』のゲームプレイは、謎の世界「ダアト」に主人公が迷い込んでから本格的にスタートします。ここに至るまでに主人公の身に何が起きたのか、その点も無論作中で語られますが、今回はプレイ体験がメインなので割愛。
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この「ダアト」を歩き始めると悪魔に襲われ、その危機を脱するために、謎の声の提案を受け入れて「ナホビノ」と呼ばれる存在に変異します。「ナホビノ」とは何なのか、断片的な言葉が散りばめられるものの、その本質は不明。この点は、物語全般を通して明らかになるものと思われます。
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その後、悪魔との初戦闘が幕開け。ここは、いわゆるチュートリアルも兼ねており、本作におけるバトルシステムの基本を学ぶことができます。本作の戦闘は、ターン制のコマンドバトル。ですが、単純にお互いが決まった行動回数を実行するだけではありません。
直近の『真・女神転生』シリーズではすっかりお馴染みとなった「プレスターンバトル」が採用されており、本作でも緊張感と爽快感を合わせ持つバトルが楽しめます。
通常、1ターンで行動できる回数は1キャラごとに1回。ですが、敵の弱点を突く攻撃(に弱い敵に、の魔法を使う等)を繰り出すと、行動回数が増加します。弱点を突くたびに行動回数は増えるので、状況次第では敵にターンを回すことなく、一方的に殲滅することも可能です。
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「だったら、弱点だけ攻撃し続ければいいのでは?」と思われるでしょうが、話はそんなに甘くありません。敵ごとに弱点が異なるのでしっかり把握しなければいけませんし、属性の種類自体が多いので、出来るだけ多くの属性攻撃をフォローできる体勢の維持も重要。また、物理攻撃が弱点の敵もいますが、その他の属性攻撃はMPやHPを消費する場合がほとんどなので、リソースの管理も欠かせません。
とはいえ、敵のビジュアルで予想がつく場合もありますし、弱点を突けば単純に大ダメージにも繋がります。また、増えた行動回数は攻撃以外にも使えるため、「攻撃の手数を減らさずに、回復や補助を行う」といった戦略も可能になると、幅広い恩恵が受けられます。
「弱点を突いて攻撃回数を増やし、自分なりの戦略を組み立てていく」という戦いは、少々大げさな物言いになりますが、単調になりがちだったターン制コマンドバトルに新たな戦略性と駆け引きを与え、刺激的なバトルへと昇華。そんな「プレスターンバトル」を、本作でもたっぷり楽しむことができます。
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バトルにおける軸を「プレスターンバトル」とするならば、状況を一変させる切り札になり得るのが、新要素の「マガツヒスキル」です。戦闘中「マガツヒゲージ」が溜まっていき、このゲージが最大になると「マガツヒスキル」が使用可能になります。
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今回の先行プレイでは、パーティ全員の攻撃全て(魔法含む)がクリティカルになる「禍時:会心」が使えました。今回は雑魚相手に発動しましたが、ダメージが大きく伸びたため、その戦闘は敵を圧倒して勝利。おそらくボス戦でも、頼もしいダメージソースになってくれることでしょう。
ちなみに「マガツヒスキル」は、攻撃だけでなく、回復や補助などの効果を持つものもあります。状況に応じてチョイスすれば、バトルの戦略性は更に広がります。
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敵を倒して経験値を貯め、一定値を超えるとレベルアップ。主人公はもちろんですが、仲魔(後述)のレベルも上がります。レベルが上がるとステータスがアップしますが、主人公の場合は各ステータスの上昇を任意で選択可能。ちなみにステータスは「力」「体」「魔」「速」「運」の5つ。
「力」は物理攻撃のダメージを上昇させ、「体」は防御力に影響します。「魔」は魔法攻撃のダメージを上げ、「速」は先制率・命中率・回避率・逃走の成功率に影響し、「運」は戦闘における確率の判定を有利にするとのこと。どんな主人公に成長させるか、今のうちに考えておくのも一興でしょう。
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なお、バトルは戦って決着するだけの要素ではありません。シリーズの魅力を継承した「悪魔会話(交渉)」も、本作を語る上で欠かせない重要なポイントです。
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敵対する悪魔たちは気まぐれな面があり、会話を持ちかけると意思疎通も可能。考え方や好み、性格などは悪魔によってそれぞれですが、相手が望むような会話になれば、仲間ならぬ「仲魔」となってパーティに加わり、共に戦ってくれます。
戦闘に参加できる「仲魔」は最大3体。最序盤から「仲魔」は増やせますし、パーティの人数が多ければ様々な属性攻撃をフォローしやすくなる=弱点を突く「プレスターンバトル」を活用しやすくなります。また、単純に手数が増えるので、悪魔と積極的に交渉するのがお勧めです。
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ちなみに、会話による交渉は月齢(画面左上に表示)が影響、特定の悪魔がパーティにいると敵の悪魔と特殊な会話が発生するなど、悪魔との会話も手応えたっぷり。全滅しそうな時に会話を持ちかけ、交渉でバトルを乗り切る──という搦め手も可能でが、失敗する場合もあるのでご注意を。
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そして、『真・女神転生V』が持つ魅力は、戦闘面以外にも広がっています。特に本作は、フィールドが立体的に表現されており、異世界にいる臨場感をビジュアルとしてしっかりと表現。没入感を助ける一助と言えるでしょう。
シリーズでいえば『真・女神転生III-NOCTURNE』に近いものの、通常の移動に加えてダッシュやジャンプも可能。そのおかげで広大なフィールドでもスムーズに移動でき、“異世界にいる臨場感”をストレスなく楽しめます。
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フィールドは探索要素もあり、意外な場所がチェックできたり、宝箱を探して奔走したりと、なかなか刺激的。時間の関係で最序盤のみでしたが、余裕があればもっとゆっくり探索したかったというのが率直な感想です。
宝箱を見つけるのはシンプルに楽しいですし、意外な場所でサブイベントが見つかることも。また、宝箱に惹かれて突撃すると、敵に囲まれピンチに……といった展開に遭遇したことも。発見ありハプニングありと、油断なりません。
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後々のフィールドに関しては未知数の部分もありますが、砂漠に飲み込まれ廃墟と化した東京を散策するのは、まさにゲームだからこその体験。『真・女神転生』シリーズでは定番のモチーフを、3D空間で存分に駆け回れるのは、感慨深さを伴う楽しさがありました。
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また、敵はフィールド上に実体化しており、いわゆるシンボルエンカウント制でバトルに突入します。気づかれる前に斬りかかれば戦闘を有利に進められるので、ここでもダッシュの存在が光ります。敵に見つかった場合は、一定の距離を取れば仕切り直しが可能。フィールドでの立ち回りで、バトルを賢くこなしましょう。
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1時間ほどのプレイでは、フィールド探索やバトルの基本的な要素が味わえたほか、イベント戦闘とも遭遇。更にもう少し進めば、こちらも定番かつ欠かせない要素「悪魔合体」を可能とする人物・ソピアーとも出会います。
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2体の悪魔を合体させる「2身合体」はもちろん、3~4体の悪魔を合体させてより強力な悪魔をつくランクを上下させる「精霊合体」など、本作でもその奥深さは健在。交渉で仲魔を増やし、スキル継承も視野に入れて悪魔合体を行い、多彩な攻撃で「プレスターンバトル」を制す。こうしたシリーズの魅力が、今回もしっかりと受け継がれています。
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とはいえ、わずか1時間では用意された要素のごく一部にしか触れられず、一足先にプレイできる幸運に恵まれながら、むしろ待ち遠しさが募る体験となりました。それだけ今回の体験が濃密だった、とも言えるかもしれません。
悪魔に魅了され、寝不足になる日々まであと1ヶ月半。共に指折り数えて、発売日を待ちましょう!
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