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「それは気の遠くなるほど昔の話。ある小さな星で、女の子がさびた星船を見つけました――」
2007年にWiiで発売された『スーパーマリオギャラクシー』で初登場したロゼッタは、星の子供チコたちと星の世界を旅する「ほうき星の天文台」の主です。そのミステリアスなたたずまいから、筆者は「銀河鉄道999」のメーテルのような雰囲気も感じました。
『マリオギャラクシー』では、ゲームの進行に応じてロゼッタがチコたちに絵本を読み聞かせるシーンが挿入されます。とある小さな女の子とチコが出会い、身を寄せ合って家族となっていくそのお話は、明言こそされないもののロゼッタ本人の昔話をしたためたものであるようにも見えます。
さらに、絵本に描かれている母親の姿がどことなくピーチ姫に似ていること、ロゼッタの故郷はマリオたちの住む星であること、そしてマリオという名を懐かしむ本人の言動などから、「ロゼッタはマリオかピーチ姫の遠い先祖か子孫なのでは?」と想像をふくらませるプレイヤーが続出しました。
アクションゲームとしての『マリオ』で、このように「空白を想像で補うのが楽しい」ストーリーを展開するのはおもしろい挑戦だったと思っています。
そんなロゼッタは『マリオギャラクシー』の翌年にリリースされた『マリオカートWii』にも隠しキャラクターとして登場しますが、ここでさらに「濃い味付け」がされることになりました。なんと、ワリオやクッパ、ドンキーコングと並ぶ重量級だったのです。
当時のスタッフインタビューでは「星の子のチコも一緒だから」と補足されましたが、『マリオカート7』以降はチコ抜きで単独参戦しているにも関わらず、結局重量級のままなのです。やはりロゼッタ本人が重いのでは…!?
ともあれ、ツッコミどころとも言えそうなロゼッタの「重量級」設定は好意的に受け入れられ、「ロゼッタは重量級かわいい」などと愛されキャラとしての地位も築いていきました。
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彼女はその後も『マリオゴルフ ワールドツアー』や『マリオテニス ウルトラスマッシュ』にパワータイプとして参戦したり、『マリオスポーツ スーパースターズ』でベースボールをする際はバットを片手でフルスイングしたりと、パワフルな味付けがされていきました。
さまざまな作品で「当初からは想像しづらかった意外な一面」が描かれることで、より一層人気が高まっていったようにも思えます。筆者もそれにまんまとハマってしまった1人で、『マリオカート8 デラックス』ではロゼッタをよく使っています。
任天堂の「スーパーマリオ」シリーズは、3Dアクションの『スーパーマリオ オデッセイ』が2017年発売、アクションゲームではないものも含めると『スーパーマリオメーカー2』が2019年発売と、本シリーズにしてはめずらしく新作がない期間が長めに続いています。
そろそろ最新作の発表が恋しくなりますが、次も何らかの形でロゼッタが登場するといいなぁ…と、3月18日に配信が始まったばかりの『マリオカート8DX』追加コースをロゼッタで走りながら思うのでした。