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KONAMIの人気カードゲーム『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』(『遊戯王OCG』)。そのiOS/Android対応ゲームアプリ『遊戯王クロスデュエル』(以下、本作)が、いよいよ2022年9月6日(火)よりリリースされます。
本作のメディア向け体験会が開催されましたので、本稿ではそのレポートをお届け!
「遊☆戯☆王」のゲームアプリと言えば、既に『遊戯王 デュエルリンクス』などが配信中となっています。しかし本作は4人のプレイヤーが同じフィールド上で熾烈なバトルを繰り広げる全く新しいルールです。
お恥ずかしながら、武藤遊戯や海馬瀬人が活躍していたアニメ「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」をリアルアイムで視聴し、なけなしのお小遣いでカードを購入したおぼろげな記憶しかない筆者。
そんな状態でも遊べるだろうかと不安があったものの、本作はそんな初心者レベルの方をも受け入れる懐の深いゲームだったのです。
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◆チュートリアルを遊べば大体ルールは理解できる! 簡単ながらも奥深い駆け引きが熱い!
最初に“チュートリアル”を遊ばせていただきました。ここでは、海馬瀬人がプレイヤーを本作の世界に誘うべく、アニメシリーズを思い出させる“あのテンション”で導いてくれます。子供の頃に親しんだアニメキャラクターが、自分にこれから遊ぶゲームのルールを教えてくれるなんて、否が応でもテンションが上がりますよね。
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本作では基本全員が敵同士になりますが、2on2のタッグ形式や、強大な敵と4人のプレイヤーが強力して戦うといったルールも存在します。
デッキの枚数は全20枚で、モンスターカード、魔法カード、罠カードをバランスよく組み合わせて構築します。勝敗は誰かひとりのライフポイント(LP)が0になる、もしくは8ターンが経過した段階で決し、ライフポイントを多く残していたプレイヤーが上位となります。
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デッキの構築時には各プレイヤーが1枚エースモンスターを設定でき、このカードが勝敗を左右する切り札に。
実際の対戦では、自分以外の全てのプレイヤーに向かって伸びている3本のラインを通して、召喚したモンスター同士のバトルを行います。モンスターたちは1ターンに3体まで召喚可能。攻撃表示で召喚するとラインの先にいるプレイヤーの陣地に進軍をはじめ、守備表示で召喚するとその場から動かず自陣で守りを固めます。
互いのプレイヤーが召喚したモンスターがライン上で接触すると交戦開始。攻撃表示のモンスターはATKの値、守備表示のモンスターはDEFの値がそのモンスターのライフとなっており、この値が0以下になると破壊されます。
破壊されなかった場合でも、例えばATK2000のモンスターがDEF1500のモンスターを攻撃して破壊した場合は、残ったATK2000のモンスターは1500のダメージを受けATKが500に低下します。この低下した値は破壊されるまで引き継がれます。
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モンスターが敵陣に到着しダイレクトアタックを成立させると、与えた分のダメージが敵プレイヤーのライフポイントからマイナスされ、自分のライフポイントがその分回復します。モンスターたちを上手く駆使して相手のライフを削りつつ、自分のライフを多く保つことが勝利の鍵になるのです。
ATKやDEFの値に加え、もうひとつ重要なのがモンスターにつけるスキル。これによって戦略の幅が広がります。
例えば移動速度が速くなるスキル。
このスキルを付けたモンスターは相手プレイヤーの陣地に辿り着くまでのターン数が変わってきます。
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移動速度が重要になる状況が開幕時です。1ターン目はフィールド中央に“プライズカード”というボーナスカードが出現するのですが、これを他のプレイヤーに先んじて取得するには移動速度が重要となります。
プライズカードには相手モンスターを破壊する“聖なるバリア -ミラーフォース-”など、非常に優秀なカードが含まれています。他のプレイヤーより優位に立つにはぜひ獲得したいところですが、3人のプレイヤーを同時に相手しなければならないので、初手の手札によっては慎重にならざるを得ないことも。
そしてプライズカードの奪い合いを制するためにモンスターを1体消費してしまうと、対面のプレイヤーだけではなく両横のプレイヤーのモンスターともぶつかる可能性があるため慎重になる必要があります。
ここまでがチュートリアルから実際の対戦を数戦遊んで理解できた情報です。遊びながらこれだけルールの理解が深まるあたり、本当に「遊☆戯☆王」シリーズ初心者にも優しい作品になっていると感じます。
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なお、アニメ「遊☆戯☆王」シリーズのキャラクターをプロフィールアイコンとして設定できます。チュートリアルで言えば海馬がその立ち位置でしたが、他にも闇遊戯や遊城十代、不動遊星といった面々を設定できました。
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サービス開始時はまだ数名しか実装されていないようですが、後々お馴染みのキャラクターたちも顔を見せてくれるようです。アニメシリーズのファンだという方は期待しましょう。
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◆「遊☆戯☆王」初心者でも楽しく遊べる、わかりやすいゲーム性
メディア対抗の対戦会では、KONAMIさんが事前に用意してくださったサンプルデッキを使用しました。
筆者が使用したのは“青眼の白龍”を主軸に据えた、初心者でも扱いやすいタイプのもの。相手の罠カードを破壊できる“サイクロン”のような魔法カードも構築に組み込まれており、相手プレイヤーのモンスターを上手く破壊しつつダイレクトアタックを通すという、ゲームの基本的な動きが楽しめるデッキでした。
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切り札ともいえるエースモンスター“青眼の白龍”を召喚するためには、他に2体のモンスターを召喚素材に捧げる必要があります。強力なカードなので多大なリスクがあるのは当然ですが、召喚するといきなり手札が3枚、もしくは事前に召喚しておいたモンスターが2体消えてしまうので、召喚後は少ない手数で戦わねばなりません。
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また、自陣の3本のラインの内、2本が無防備になってしまうため、状況によっては青眼の白龍を召喚したライン以外にいるプレイヤーから、攻撃されやすくなってしまいます。
「遊☆戯☆王」シリーズ初心者とはいえ、やっぱり対戦するからには勝ちたいもの。青眼の白龍召喚のメリットとデメリットを踏まえた上で戦略を立てて対戦に臨んだところ、これが案外上手くハマりました。
試合序盤はプライズカードの獲得を捨て、他プレイヤーの様子を窺う形に。迎撃に徹しつつ“青眼の白龍”召喚の機を待ち、他の2人が別のプレイヤーに絡んだところで、集中狙いされて厳しそうな状況のプレイヤーのラインに、“青眼の白龍”を差し向けてみました。
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しかも“青眼の白龍”のスキルで、集中狙いされているプレイヤーのエースモンスターを即破壊できたので、お相手はほぼ無防備な状態。筆者以外のプレイヤーからも継続して攻め立てられ、防衛で手一杯になっているようでした。
その結果、後は“青眼の白龍”を差し向けたプレイヤー以外からの攻撃を、守備表示で置いた別のモンスターや罠カード&魔法カードでいなしつつ、狙ったプレイヤーのもとに“青眼の白龍”が到着するのを待つだけで勝利を得られました。
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“青眼の白龍”のATKが3000と非常に高いため、ダイレクトアタックが通ると一気に勝負が決まるレベルのアドバンテージを得られた点も大きかったと思います。
ですが今回のような状況でも、自分が1位になるために筆者の“青眼の白龍”を他のプレイヤーが破壊し、攻められているプレイヤーを助ける立ち回りもアリなようです。プレイ後にその話を聞いた際には、ぜひとも試してみたくなりました。
なお、対戦時のモンスター召喚演出も、目を惹かれるほど綺麗です。そのグラフィックは全て3Dで用意されており、観賞モードも用意されているとのこと。好きなカードをじっくり見てみましょう。
「遊☆戯☆王」初心者の筆者でもこれだけ楽しめた本作。シリーズファンはもちろん、「遊☆戯☆王」もあまり馴染みがなかった人も、ぜひお試しあれ。
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◆アニメシリーズの人気キャラクターは続々追加予定
以下より、メディア体験会後に行われたプロデューサーへのインタビューをお届けします。
――魔法カードや罠カードなど、いくつかのカードが本作用の効果になっていました。調整で大変な部分はありましたか?
プロデューサー:4人対戦ならではのバランス調整が非常に難しい部分でした。『遊戯王OCG』のカードは種類が非常に多いのですが、その中でも特徴的なものや人気の高いものをピックアップし、本作用にカスタマイズしました。
先ほどの対戦会でも3人に狙われる苦しい場面を見かけましたが、そんな中でも逆転要素が最後に無いと面白くないので、何度も何度もプレイしながらそういう要素に近い魔法カードや罠カードを実装しています。
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――フレーバーテキストが本作用のものになってるカードがありましたが、こちらは新たに作ったものなのでしょうか?
プロデューサー:開発スタッフによりフレーバーテキストをこのために書き下ろしました。昨年(2021年)のクローズドβの際にも非常に話題になっており、ウリのひとつとして細かい部分ですが、こだわっています。
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――8ターン遊んだ時の対戦時間はどれくらいを想定していますか?
プロデューサー:15分から20分です。ユーザーのみなさんが慣れていくほど短くなっていくと思っています。それでも、基本的には20分を超えることは稀になるかなと。
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――大会は想定していますか?
プロデューサー:具体的な予定はまだありませんが、それを見据えて当初から開発を進めています。先ほど見ていただいた観戦モードであったり、ライフポイントで順位が決まるわかりやすいゲーム性ですので、観戦という部分は注力しました。これを活かした世界大会はやっていきたいです。とはいえ4人対戦なので、ルールはこれから考えていくことになるかなと。僕は団体戦でやりたいと話しています。
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――システムが完成していると感じましたが、作り上げるまでに何年かかったのでしょうか?
プロデューサー:最初は僕ひとりから始まって、「遊☆戯☆王」でどのような新しいゲームを作れるか考えた時に、色々な切り口で研究、模索した結果、4人対戦へ辿り着きました。
あの対戦フィールドは構想から半年くらいで完成していました。当時から想定したゲームルールやシステムは殆ど変わっていません。制作チームに新しい人が入る度に当時のプレゼン資料で企画を説明するのですが、驚くほど変わっていないので自分でも驚きます。そこからブラッシュアップして今に至っています。
――『遊戯王OCG』の召喚方法とは異なる部分もありましたが、その点はどういう扱いですか?
プロデューサー:大味な回答になってしまいますが、召喚によって色々な特徴や縛りはあるものの全てがアドバンス召喚のような形です。できる限りイメージを損なわない形でわかりやすくする事を重視しています。
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――スキルにはどのようなものがありますか?
プロデューサー:ATKを上げる、破壊されない、移動速度を上げるといった汎用的なスキルに加え、Sレア以上のカードにはさらに特別なスキルが付与されています。たとえば“青眼の白龍”なら召喚時に敵モンスターを1体破壊できるので、相手プレイヤーがエースモンスターを召喚するタイミングに合わせると強力です。
他にはレベルの低いモンスターを何体も出すことによって有利になるカードなど、特色のあるスキルを持ったカードが存在しています。基本的に、汎用的なスキルと特徴的なスキルを覚えるだけで楽しめると思います。
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――デッキ構築に制限はありますか?
プロデューサー:20枚というデッキ枚数とエースモンスターを1体必ず入れる以外の制限はありません。ウルトラレアのモンスターを何体入れても構いませんが、コストが重くなるというデメリットがあります。
――本作オリジナルキャラクターやモンスターはいますか?
プロデューサー:現在のところは『遊戯王クロスデュエル』オリジナルのモンスターは入っておりませんが、『遊戯王OCG』オリジナルのモンスターは登場します。キャラクターについてはアニメにたくさんの魅力的なキャラクターが多数いますので、今のところは考えていません。
――『遊戯王OCG』初心者の方へのアプローチとして考えていた部分も教えてください。
プロデューサー:遊戯王OCGの面白さをできるだけ踏襲しつつ、さらに遊戯王OCGを知らない人でも簡単に遊べるようなバランスになるよう物凄く意識しました。
「遊☆戯☆王」というIPの裾野を広げることが目標のひとつですので、本作はできる限り敷居を低くして、ルールを少し覚えれば遊べるゲームバランスにしています。
――課金要素はありますか?
プロデューサー:カードを入手するためのガチャになります。抽選型になっていて、天井も用意しています。重複したカードを別のカードに交換できる要素も存在します。
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――クローズドβからの改善点も教えてください。
プロデューサー:非常に評判は良かったのですが、明確なものとしては“テンポ感が悪い”という指摘がありました。
どうしても慣れていないユーザーにあわせるとテンポがゆっくりになるのですが、慣れているユーザーにとってはテンポが悪く感じてしまう。そこで演出やゲームスピードなどをバランスよく調整して改善しました。
――ありがとうございました。
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