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日夜世間を熱狂に包んでいるサッカーワールドカップ・カタール大会(以下、カタールW杯)。過去にW杯優勝経験のあるドイツとスペインを破り、強豪ひしめく「死の組」とまで言われたグループEを日本が1位通過したのは記憶に新しいところです。
今回のカタールW杯は、全試合をサイバーエージェントの提供する「ABEMA」で視聴可能。どこにいてもどのデバイスでも視聴できるだけでなく、見逃し配信や追っかけ再生、マルチアングル映像にコメント機能など、テクノロジーを活かした「サッカーの新しい視聴体験」を提供しています。
サッカーの国際大会を巡っては近年、放映権料が高騰しており、特定の事業者(DAZN、WOWOWなど)が放映権を独占する傾向にありました。そんな中でサイバーエージェントは、放映権を獲得するのみならず、全試合を無料で配信。サッカーファンから称賛の声が上がっています。
このサイバーエージェントの英断について、SNS上で「ウマ娘のヒットがW杯全試合無料配信を支えていた!」とにわかに話題になっていることをご存知でしょうか。
◆『ウマ娘』の生んだビッグマネーが放映権獲得を後押し
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グループ会社のCygamesが手がける、かつての名勝負、伝説のレース、偉大な記録を生んだ競走馬の名前と魂を受け継いだ「ウマ娘」たちが織りなすクロスメディアコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー(ウマ娘)』。
2021年2月にサービス開始を迎えた本作は、瞬く間に大ブームを記録。アプリ版は2022年9月時点で1,600万ダウンロードを達成しています。
当時のTwitterでの流行が分かる「SNS流行語大賞2021(イー・ガーディアン調べ)」では、約8,800万件もの投稿数でゲーム部門の1位を記録。当時のゲーム部門2位が『モンスターハンターライズ』の約1,800万件、先月発表された「SNS流行語大賞2022」のゲーム部門1位『スプラトゥーン3』が約2,800万件と聞けば、その並外れた話題性が分かると思います。
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なにより顕著なのは決算資料。『ウマ娘』のリリースされた2021年通期決算では、ゲーム事業単体の売上高は2,627億円(前年比68.6%増)、営業利益は964億円(前年比217.9%増)を記録。連結営業利益は1,043億円(前年比208.1%増)と、『ウマ娘』によるゲーム事業の大ヒットに成功しました。
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前述した「ウマ娘のヒットがW杯全試合無料配信を支えていた!」というのは、『ウマ娘』によって生み出されたビッグマネーが、W杯放映権獲得の後押しに繋がったというもの。
実際、「ITmedia ビジネスオンライン」が11月20日に公開した「「過去最大の投資」──ABEMA責任者が語るサッカーW杯放映権獲得の舞台裏と狙い」という記事の中でも、ABEMAの事業責任者より「ウマ娘の影響は確実にある」と明言されています。
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また、2022年の通期決算では「『ウマ娘』関連のコンテンツを10年続くIPにしていく」という目標を掲げており、『ウマ娘』にかける期待が伝わってくるというもの。
「新しい未来のテレビ」を目指すABEMAには今後も投資していくと考えられるので、ウマ娘ファンたちが経済をまわしていくことになるかもしれません。
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『ウマ娘』などのゲームやその他事業で得た利益は、ABEMAのカタールW杯放送にもしっかり還元。
「#本田の解説」でおなじみの本田圭佑氏による理論的でいて、ときおりピッチリポーターの槙野智章氏と繰り広げられる軽快な解説が見られるほか、日本vsスペイン戦では、日本にも縁のあるスペインのレジェンド選手・イニエスタ氏が出演しました。
我々がカタールW杯放送を全力で楽しめているのは、『ウマ娘』のおかげかも…?