ニンテンドースイッチは、来年7年目を迎えます。これまでのゲーム業界の歴史では、ゲームハードのサイクルというのは5~6年のものが多いことを考えると、さすがに2023年中に次世代機の話が出てくるだろうと予想されています。そんな最中、2022年11月8日、任天堂はDeNAとの合弁会社であるニンテンドーシステムズ株式会社を発表しました。設立は2023年4月3日予定。
DeNAといえば、任天堂と2015年から協業し、ニンテンドーアカウントなどの基幹システム、『Miitomo』や『どうぶつの森 ポケットキャンプ』といったモバイル端末向けタイトルの開発、運営をしてきた企業です。
そのDeNAと任天堂が新会社ということになれば、何をするのかが気になります。例えば、モバイル端末向けのアプリに力を入れるためなのか?と考える人もいるかもしれません。となれば、ニンテンドースイッチの後継機はどうなるんだろう、ということも気になります。
具体的な内容こそ言及されていませんが、この新会社が発表された際の任天堂の決算資料を見ることで、ある程度は予想ができそうです。任天堂の今後と共に、新会社の狙いについて考えてみたいと思います。
■任天堂は今後もゲーム専用機が中心
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まず任天堂の基本的な戦略を確認していきましょう。はっきりしておきたいのは、任天堂はおそらく今後もゲーム専用機が中心の会社であるということです。任天堂は決算資料の中でたびたび、「ハード・ソフト一体型」という言葉を使っています。これはつまり、ニンテンドースイッチのように任天堂独自のハードと、その特徴を生かしたソフトで戦っていくということです。
■基本戦略は任天堂IPに触れる人の拡大
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任天堂IPに触れる人の拡大というのは、2015年ごろから任天堂が続けている基本的な経営方針です。IPというのは日本語訳すると知的財産ですが、簡単に言えば、マリオやゼルダといった、ゲームのキャラクターや世界観などに触れる人を増やしていこう、ということになります。
ゲーム業界基礎知識「任天堂IPに触れる人口の拡大」の“IP”ってなんだ!?(インサイド)
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに続いて、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドでも2023年2月17日登場が予定されている「スーパー・ニンテンドー・ワールド」や、2023年4月28日公開予定の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』など、IPの活用は大きく進んでいます。
■ニンテンドーアカウントへの集約とデジタルビジネスの強化
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さて、ここでようやくDeNAの話になります。任天堂のIPに触れる人口を拡大した後どうするのか。それを集約するサービスが必要です。そこで任天堂は、ニンテンドーアカウントを中心としたユーザーとの関係の維持と拡大を目的としたサービスを展開して、デジタルビジネス強化を目指しています。ビジネスの中心はゲーム専用機にありますが、それ以外においてもサービスと体験を提供できるようにしたいとのことです。この研究開発を行っていくのがニンテンドーシステムズです。
まとめると、任天堂は今後もゲーム専用機を中心としつつ、任天堂IPに触れる人口を増やす戦略をとっていきます。そこで得たユーザーとの関係性をニンテンドーアカウントなど、ゲーム専用機だけではないサービスに集約していくことでデジタルビジネスを強化するため、ニンテンドーシステムズ株式会社が作られます。
もしかすると、amiiboを買ったり、スーパー・ニンテンドー・ワールドに行ったり、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観るといった、任天堂のIPに関連したエンターテイメントを楽しむことで、さらにいろんなサービスを受けられるようなことが増えていくのかもしれません。今後の任天堂は、新ハードや、新しいゲームタイトルはもちろん、新たなデジタルサービスにも期待がかかります。