
子どもの頃、当たり前のようにゲームを遊んでいた世代がどんどんと社会へ進出しています。特にここ数年、ゲーム業界とは直接関係のない企業が「ゲーマーに向けた商品を発売する」「ゲームとコラボしたキャンペーンをする」といったことが多く見られるようになりました。
これはおそらく、昔からゲームを遊んでいた人たちが社会で一翼を担う立場になって、ゲーム文化を裏側から盛り上げようとしているのではないでしょうか?
もちろんゲーム業界で働いている人やeスポーツプレイヤー、ストリーマーなどそれぞれの場所でゲーム業界を盛り上げている人はたくさんいます。しかし、そういった場所以外にもゲーム好きはいるはずです。そこで本特集では、そんな「ゲーム業界じゃないけど、ゲーム文化を盛り上げようとしている人たち」を編集部が見つけ出し、この世にあまり出ていない“素敵な裏側”を取材します!
特集記事を通して、社会のあらゆるところにゲーム好きはいるんだと知っていただければ幸いです。
◆ゲーミンググミの生みの親は「格ゲー」が好きだった
記念すべき初回は、カンロ飴やピュレグミでおなじみの「カンロ」へ訪問。同社では、「忍ism Gaming(以下忍ism)」と共同開発したゲーミンググミ「BRAON(ブレオン)グミ」を2021年9月から販売しています。“勝つためのエナジーグミ”をコンセプトに生まれた本商品は、日々脳を酷使するeスポーツプレイヤーの糖分補給をサポートするためのものです。
カンロがゲームに関連した商品を出すのは本商品が初とのことで、なぜこの商品が生まれたのか、「ブレオングミ」の生みの親である、カンロの木村将人氏に話を聞きました。

――ご対応いただきありがとうございます!本日はよろしくお願いします。
木村将人氏(以下、木村):こちらこそありがとうございます。本日はよろしくお願いします。

――木村さんは「ブレオングミ」の生みの親とのことで、普段はどんなお仕事をされているんでしょうか?
木村:私はデジタルコマース事業開発室という部署で、当社が運営するオンラインショップ「Kanro POCKeT(カンロポケット)」で販売する商品の企画開発を担当しています。「ブレオングミ」や「ホシフリラムネ」などがその商品にあたります。
――これまでカンロさんに“ゲーム”というイメージはありませんでした。なぜいきなりゲーミンググミだったんでしょう?
木村:カンロは「“糖”が役立つ場面」を考え、糖の価値創造を行っている企業です。私は以前から「eスポーツ」には糖が必要だと考えていました。みなさんもご存じのように、eスポーツプレイヤーは1日に何時間もゲームの練習をするので脳を酷使します。そこで何かできないかと考え、生まれたのがブレオングミです。
――真っ先にeスポーツに思い当たるということは、木村さんもゲームは結構プレイされるんですか?
木村:がっつりプレイするゲーマーとは言えないんですが、昔から好きですね。子どものときはスーパーファミコンから始まり、64やゲームキューブで育ってきた世代です。『ストリートファイター』や『大乱闘スマッシュブラザーズ(スマブラ)』をよく遊んでいました。今でもスマブラはプレイしていて、それ以外にはスマホで『プロ野球スピリッツA』などをプレイしています。
――格闘ゲームを中心にプレイされてきたんですね!
木村:そうですね。FPSやTPSといったジャンルは未経験ですが、選手・ストリーマーの配信や大会は観ます。自分ではプレイできなくても、観ているだけでおもしろいジャンルですよね。
――ゲーム配信もよく観るんですか?
木村:そうですね。ブレオングミを忍ismさんと共同開発する前から、あばだんごさんの配信はよく観ていました。あと、小藪千豊さんや狩野英孝さんなどの芸人たちの配信はつい観ちゃいますね(笑)

◆実はいろんなところに「ゲーム文化を盛り上げたい人」がいた
――芸人さんの配信もここ数年で一気に増えましたよね。あ、話がそれてしまってすみません…。つまり、ブレオングミはeスポーツプレイヤーに向けてつくられたということですね。
木村:はい、その通りです。eスポーツシーンで欠かせない“速攻性”と“持続力”に着目し、ぶどう糖とパラチノース®といった2種類の糖を配合しています。ぶどう糖は脳のエネルギーになりますが、摂取しすぎると血糖値が急上昇し、インスリンも大量分泌します。結果として血糖値が急降下して、集中力の低下や眠気の原因になるといわれています。このことから、ぶどう糖だけでなく、ゆっくりと消化吸収されるパラチノース®も配合しました。
――「飴」ではなくて「グミ」にしたのには、何か理由はあるんでしょうか?
木村:忍ismさんと共同開発を進める中で「飴は口に中に残るからプレイの邪魔になる」「食べられるタイミングが限られる」という意見をいただきました。グミであれば歯切れがよいので、ゲームプレイのスキマ時間に食べられ、口の中にも残りません。ブレオングミが小粒のグミになっているのも、そういった食べやすさを配慮してのことです。
ゲーム好きのみなさんならわかると思いますが、ゲームしているときに手が汚れるのって嫌ですよね。なので、パッケージも片手で流し込んで食べられるようにしています。

――まさにゲーム好きがゲーム好きのためにつくった商品という感じですね。
木村:忍ismさんとの共同開発だったのでその点は徹底しました。社内でも、格ゲーをがっつりプレイしているガチゲーマーや忍ismのファンなど、ゲーム好きの社員がいましたので、ヒアリングや試食などに協力していただきました。
みなさん非常に協力的で、社内のゲーム好きの人たちからは「今、ゲーミンググミつくってるんだよね」と声をかけていただき、期待されているのを感じましたね。商品開発を通して「社内にこんなにもゲームを好きな人たちがいるんだ」と知れてよかったです。
――初めてのゲーマー向け商品の開発だったのでみなさんワクワクしていたんでしょうか?(笑)
木村:そういった理由もあると思いますし、ゲーム文化を盛り上げたいという想いもあったんだと思います。これはブレオングミの開発を通して気が付いたことなんですが、ゲーム好きのコミュニティって実はオープンなんです。eスポーツ関係者やゲーム好きの社員など、様々な方と触れ合う中でゲーム文化をもっと良くしたい、盛り上げたいという人がたくさんいるとわかりました。
私が子どもの頃から経験してきたゲーム好きのコミュニティというのは、好きな人たち同士で集まって楽しむというクローズなものだったので、考え方が古かったなと痛感させられました。今後はゲームのコミュニティの輪を広げるために、ブレオングミがeスポーツ大会を主催や様々なコンテンツとコラボができればいいなと考えています。
――商品開発に関わった全ての方からゲームへの愛を感じますね。非常に素敵な取り組みだと思います。
木村:ありがとうございます。

――それでは最後にゲームが好きな人たちへ伝えたいことがあれば、お願いします。
木村:私が子どもの頃は、ゲームが“悪”のように扱われてきて、親からも「いつまでゲームしてるの!」とよく怒られていました。だけど今は時代が進み、ゲームが好きで真剣に取り組んでいる人たちや、ゲーム文化をオープンに盛り上げていきたい人たちがたくさんいます。なのでそういったところに、ブレオングミが少しでも役立つと嬉しいなと思います。
