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バーチャル音楽ユニット・MonsterZ MATE(以下、MZM)の5周年ライブ「大騒動」が、2023年5月21日にKT Zepp Yokohamaで開催。チケットは完売し、約2000人を収容できる会場を完璧に埋め尽くしました。
普段VTuberシーンをウォッチしていない人は、MZMを「ネクストブレイクが期待される人気ユニット」と捉えるかもしれません。しかし、彼らの活動は非常に多難な道のりだったと言えます。過去に本誌でその変遷を紹介したように、コロナ禍の影響によって、彼らが強みとするライブ活動をほとんど開催できなかったからです。
XRライブイベント『TUBEOUT!!』をはじめ、様々なバーチャル音楽ライブへの出演をしてきたMZMですが、5年に及ぶキャリアのなかで「観客を目の前にしたワンマンライブ」の経験は、あまり多くありません。
そんな彼らが、Zeppクラスの箱でライブをする……それは2000人以上の観客が集まるわけです。出演者らも含めて、どれほどこの日を待ちわびていたかは、筆舌に尽くしがたいものがあったと言えるでしょう。
◆Zeppが熱狂に包まれた「大騒動」が開幕!
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観客誘導のために20分押しで幕を開けたライブは、ドラムのフィルインから新衣装に身を包んだふたりが登場。コーサカさんはピンク、アンジョーさんは青を基調にした姿で「掌ダンス」を披露します。大きな歓声をあげる観客の心を、まずはアンジョーさんのハイトーンなボーカルが突き刺します。
「アナタ、アナタ、アナタたちのおかげで(会場が)埋まりました!」…コーサカさんのそんな感謝の言葉も飛び出したオープニングMCの後には、「そろそろ夏だね~」と「Diver×Diver」「トロピカ☆ナツオーレ~俺らの恋した真夏のVenus~」「炸裂ダイス」といった季節感あふれるアップテンポなナンバーを3連続に繰り出します。
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すっかり“歓声NG”または“手拍子のみ”というライブ観戦に慣れてしまったファンも多いなか、手を大きく振り、合いの手や掛け声を求めてピョンピョン飛んで観客を煽るMZMのふたり。彼らに応えるように会場も盛り上がりを増していきます。
そもそもライブに参加すること自体が初めてというファンは少なからずいたはずです。そんな人々の身体も揺らす彼らの圧巻のパフォーマンスは、そんな大変な時期があったことすら忘れらせてくれる、「これがライブだよね!」という興奮をもたらしてくれるものでした。
もう掴みはOK。次のMCパートではコーサカさんがステージから離れ、恒例のアンジョー体操でおどけて見せたかと思いきや、アンジョーさんのソロパートを迎えます。
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歌い上げたのは、語りとボーカルを効かせたミドルテンポなラブソング「セレナーデ」。先ほどとは打って変わって、観客はペンライトで会場を青く染めながら、その美しい歌声に酔いしれます。
◆Marprilにワニのヤカ、言わずと知れた“マイメン”の姿も
次に披露されたのは「ブルスク feat. Marpril」。フィーチャリングアーティストのMarpril(谷田透佳、立花鈴)がステージに加わり、クラブミュージックライクな本楽曲を4人で歌い上げます。
なお、音楽系VTuberとしての活動が長い立花さん・谷田さんにとってもZeppの舞台は初めて。あまりの緊張のせいかMCパートでは普段の前口上をやり直してしまう場面が見られましたが、パフォーマンス中はMZMとも見事なコンビネーションを見せます。
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コーサカさんの「オレらのライブだから、オレらの曲しかやらない…ってわけでもないよね?」という一言から繋がった「シンフォニア」では、4人が身を上下に揺らしながら何度となく「ジャンプ!ジャンプ!」と煽り続ける場面も。歪んだベース音と4つ打ちのキックサウンドも相まって、Zepp全体が縦揺れする様を筆者は目の当たりにしました。
そのままMarprilがステージをはけると、続けてはお祭り騒ぎにピッタリな「-Hanakin-」と新作EPに収録された「Bikidan」。グリグリと鳴り響くベース音と、シャープなドラミングがボトムを支える……ミラーボールの似合うチューンが会場をダンスホールに変えます。
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ちなみに今回のライブ当日の早朝、コーサカさんは別のクラブイベントに出演しており、「3時間くらいしか睡眠していない」とMCで話されていました。そんなことを微塵も感じさせずに饒舌なラップを繰り出す同氏。次に“マイメン”ともいえるワニのヤカさんをステージに迎えます。
ここからは「ワニとコウモリ」として、数々のライブに参加してきたふたりによるステージング。「みなさんのおかげです2023」「ウィルキンソン」、そして「透明な日曜日」の3曲を披露します。特に注目したいのは、「ライブの中盤とは思えない選曲」とふたりが笑うスローナンバー「透明な日曜日」。本曲は下記のような成り立ちを持ちます。
ワニがトラックを作って歌ってコーサカがラップしてエハラがギターを弾いてツラニミズが酒を飲んでふじきが遅れて来てネオンが良い奴で立花は昼に起きて谷田は舞台を見に行った日曜日の曲
※「【MV】透明な日曜日」動画概要欄より
ここに登場する人物は、一緒にシーンを駆け抜けてきた、言わばコーサカさんにとっての“マイメン”と言えます。同じアーティスト・クリエイターとして、刺激を与えあってきたメンバーと一緒にZeppの舞台へと立つ。確かなヒップホップ・スピリットがそこに存在していました。
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なお同楽曲を披露中に、観客の誰もが出番を終えたと思い込んでいた谷田さんが、一瞬だけ再登場する場面も。エモいけど、ちゃんと笑わせてくれる……そんな温度感が彼ららしさと言えます。ちなみにライブこそ出演はしていませんが、同じような繋がりを持ったVTuberたちがライブを目撃していました。
◆忘れてはならない、色んな縁がもたらしたMZMの仲間たち
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そして忘れてはならないのが、MZMは音楽に留まらないエンターテイナーという点。前述のメンバーをバーチャル音楽クリエイターとしてのマイメンとすると、次に登場したのはバーチャルクリエイターとしてのマイメン。YouTubeチャンネルの動画によく出演する天開司さん、歌衣メイカさん、あっくん大魔王さん、佐藤ホームズさんの姿がスクリーンに映し出されます。
転換を挟んで披露されたのが、天開司さんのオリジナル曲「HOWL」。こちらはボーカルディレクションとコーラス、MIXをアンジョ―さんが手掛けており、MZMとも所縁の深い楽曲です。続いて歌衣メイカさんが登場し、彼のオリジナル曲「Cho Cool Nice Guy」をカニ歩きなどのコミカルなパフォーマンス付きで披露しました。
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いよいよ6人が揃うと、新作EPに収録された「メイトなやつら」初披露に会場は大熱狂。それぞれを表した青、ピンク、オレンジ、白、赤、黄色のペンライトが、Zeppをカラフルに染め上げます。
Marprilですら緊張する舞台に、音楽を畑としていないマイメンたちを連れてきて一緒にパフォーマンスをする。佐藤ホームズさんに至っては、人前で初めて歌を歌う舞台がKT Zepp Yokohamaになるという異常事態です。信頼できる仲間とともに高みを目指していく……そんな意思表示が込められているようにも筆者は思えました。
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◆そして原点へ
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ライブもラストスパートへと突入。以降は“バーチャル音楽ユニット”へと回帰します。歌い上げられたのは「千年愛」です。MZMという存在をシーンに知らしめたきっかけとも言える同曲。スクリーンに映し出されたMVを背景に、バンド隊のツインギターとアンジョ―さんによる高音が力強く鳴り響きます。
そして、おもむろにコーサカさんが体育座りして、アンジョ―さんの歌い出しを見届けた「Roulette!」。ポップソングど真ん中な「hero_ 」。ラウドなロックサウンドが鳴り響く「ラジー」と、一気に駆け抜けていきました。
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このあたりはボーカル音が割れてしまう場面も目立ちましたが、コントロール無視のフルパワーで、感情をこめて歌おうというふたりの意思も感じられました。最後まで全速力で歌い終えると、当然のごとくアンコールと叫ぶ観客の声が次々と湧きあがります。
ただ、この掛け声がなかなかひとつにまとまりません。後のMCで「アンコールは1枚岩なんじゃないの?」と突っ込まれつつも、突入したアンコールパートでは1曲目に「Live your life!!」を披露。コーサカさんが「いつもさ、ライブは早く終わろうっていう派じゃん?今日は終わりたくないんだよ」と白状しつつ、「StarZ」「One Room Sky」と続けてライブの最後を彩ります。
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久しぶりの有観客ライブ、出演者はもちろんファンにとっても期待感と同じくらいに緊張感が漂っていたと思いますが、そんな心配はなんのその。ラストの一曲「Beep☆CARAMEL」まで、歓声が冷めることはありませんでした。
音楽ライブを見る機会の多い筆者ですが、ここまで出演者側への声掛けが多く、その返答をも拾うアーティストはあまり見たことがありません。笑いに繋がるようなイジリがいのあるもの、ちょっと長いけどもアツい気持ちが込められたもの。様々な声が客席から飛んできていました。
コーサカさん「こうやってルールとかマナーとか、ライブハウスのことなんて一切知らないのに、初めて今日ライブに来てくれるなんてね、奇跡だよ。なんで来てくれたんだろうね?」
観客「好きだからだよー!」
コーサカさん「分かってるよ!!」
どこか照れくさそうに見えたやり取りも、5年という活動期間が積み上げてきたものと考えると感慨深いものがありました。約2時間に及ぶライブ……すべてを歌い終えて、温かい拍手と声援がふたりを包むなか、コーサカさんは深く深く一礼をしていました。そしてこんな一言を発します。
「これね、ストレッチ」
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そんな形であっという間に、「MonsterZ MATE 5周年ライブ”大騒動”」は終幕。横浜での一夜は、MZMとファン達にとって、これから先にも繋がるようなものになったと言えるでしょう
セットリスト・本編 掌ダンス Diver×Diver トロピカ☆ナツオーレ~俺らの恋した真夏のVenus~ 炸裂ダイス セレナーデ ブルスク feat. Marpril シンフォニア(Marpril カバー) -Hanakin- Bikidan みなさんのおかげです2023 ~大騒動ver~ ウィルキンソン 透明な日曜日 HOWL(天開司 カバー) Cho Cool Nice Guy(歌衣メイカ カバー) メイトなやつら(feat. 天開司、佐藤ホームズ、あっくん大魔王、歌衣メイカ) 千年愛 Roulette! hero_ ラジー ・アンコール Live your life!! StarZ One Room Sky Beep☆CARAMEL |