※本記事では『ヘブンバーンズレッド』の本編と「交流」の一部内容を含みます。ネタバレにご注意ください。
2023年6月2日(金)、KeyとWright Flyer Studiosが贈るドラマチックRPG 『ヘブンバーンズレッド(以下、「ヘブバン」)』にて、「第31X部隊」に所属する「シャルロッタ・スコポフスカヤ(シャロ)」の最高レアリティSSスタイルと、彼女にフォーカスしたストーリーイベント「罪と罰と愛と」が実装されました。
『ヘブバン』がリリースされてから1年以上の期間を経て遂に登場した念願のSSスタイルを、筆者を含むプレイヤーたちがどれだけ待ち侘びていたことでしょうか。シャロは作中のメインストーリーにおいて、いまだ大きな見せ場こそないものの、主人公「茅森月歌」との強烈なエピソードが印象に残りやすく、また薄幸系美少女で可憐なビジュアルということもあって、思わず守ってあげたくなるような人気ヒロインです。
何より彼女を象徴する最大の特徴といえば、月歌に対する異常な執着と愛情の重さを兼ね備えているヤンデレ気質なキャラクター像が挙げられるでしょう。

しかしながらひと口に"ヤンデレ"と言っても、世の中にはさまざまなタイプのヤンデレヒロインたちが存在しています。それだけにちょっと様変わりでクセつよヒロインばかりな『ヘブバン』にしては、“ヤンデレ”という王道属性が少し弱く、また物足りなく見えてしまうかもしれません。
ですが、シャロはそんなヤンデレ属性を前面に押し出しながらも不思議と多くの『ヘブバン』ユーザーたちに愛され続け、どの登場人物にも引けを取らない個性と根強い人気を誇っています。
なぜ彼女はそれほど魅力的なのか。本稿ではシャルロッタ・スコポフスカヤが愛される秘密について迫ってみることにします。
◆愛情の矛先が天才肌の部隊長だからこそ、余計に際立つヤンデレ成分

主人公の茅森月歌は作中において、伝説的ロックバンド「She is Legend」のギター&ボーカルを務めるミュージシャン。その才能は実に多彩で、何でもそつなくこなせてしまう天才肌の人物です。ゆえにセラフ部隊の中で切り込み隊とされる「第31A部隊」を率いる部隊長といった立ち位置にあります。
情に流されやすく頭に血が昇る未熟な部分は残りますが、高い戦闘力や作戦行動中の的確な指示、さらに全部隊員とのコミュニケーションにも積極的。隊長としての格を感じさせる描写も豊富で、他の部隊の視点から見ても第31A部隊と月歌の存在感は強く描かれています。

そんな月歌もメインストーリーやキャラクターとの交流イベントにおいては、突拍子もないことをやらかす、やんちゃで能天気な一面を覗かせます。作中では人類滅亡が迫るシリアスな世界観との空気を中和するかの如く、月歌のブッ飛んだボケに対してツッコミが入るお約束の日常展開が『ヘブバン』の醍醐味と言えるでしょう。
常識人との絡みではそういったボケ側の役回りを演じる月歌も、奇人・変人枠のキャラクターと絡む際にはツッコミ側に回ります。シャロはルックスこそ正統派な露系美少女キャラクターで、月歌の要素さえなければ恐らくシリアスな雰囲気をまとう常識人枠なのかもしれません(未知数)。
しかし、実際の月歌との絡みでは、シャロの抱える想いがあまりに強く、月歌がツッコむというより心の底からただ戦慄しているといった少し新鮮な反応が楽しめます。

「元大人気ロックスター」かつ「最強格の第31A部隊を率いる部隊長」。さらにコミュニケーションおばけな上に天才肌でなんでも器用にこなせる...etcと、超人的なスペックを持つ主人公ですら畏怖の念を抱く人物。
それこそがシャロのヤンデレ属性を一層際立つものに昇華させ、月歌とシャロの絡みが印象に残りやすくしていると思うのです。シャロを含むどの交流イベントもコミカルな内容なので、プレイヤーにとっても親しみやすいのでしょう。

シャロは、狂気を感じさせる表情から絶望のドン底に沈んだ表情、不満げに目を背ける表情など、普段の静かな喋りと対照的にコロコロと変化に富んだ表情を見せてくれます。
月歌のことを考えて恍惚としている場面もそうですが、嬉しそうにしている瞬間は幼さを含んだ年頃の少女にしか見えません。いつも抱えているマヌルネコのぬいぐるみと相まって、ヤンデレと無縁な美少女に見えるこのギャップも、世のプレイヤーを虜にしているシャロの魅力でしょう。
◆メインキャラではないのに、月歌の相棒・ユッキー以上に月歌愛を感じる部分

「和泉ユキ」ことユッキーは、物語から日常シーンの中でも頻繁に月歌と行動を共にしています。第31A部隊のメンバーの中では常識人ポジションにあり、作戦中に月歌の足りない部分をサポートしている補佐的な立ち回りです。
作中ではボケ倒す月歌に対し、ユッキーがツッコミ続けるというのが日常茶飯事で、時には周りのメンバーからそのイチャイチャ具合をからかわれる場面も多々あります。2人は物語を通してお互い“良き相棒”としての絆を深めていくことになるのですが、ここも『ヘブバン』の見どころの1つと言えます。

ユッキーとシャロが絡む場面はあまりありませんが、月歌とユッキーの日常をシャロが目撃しているとしたら、そこには嫉妬心を燃やすシャロの姿が容易に想像できるというものです。ユッキーも月歌に対してさまざまな想いを抱えており、仲間としての愛情を感じさせる部分は確かにあります。
ただ、広い意味での月歌に対する「愛」ということであるならば、シャロの強さが作中随一と言っても過言ではなく、ユッキー以上のものが感じられます。一見それは盲信的で盲目的な歪んだ愛のカタチに思えるのですが、シャロの交流イベントを読み進めてみると、案外純粋に月歌のことが大好きで信頼しているのがよくわかります。

シャロがヤンデレヒロインなのは間違いありませんが、月歌からの「他人との関わり」に関するアドバイスを、なんだかんだ不満そうにしながら自分なりに受け入れる度量は持ち合わせているのです。言うなれば理解あるヤンデレヒロインとでも表現すべきなのでしょうか。
月歌に執着はしていても完全な依存体質ではなさそうなので、そのようなヤンデレのマイルド加減が親しみやすさに繋がっている可能性は高いと考えられます。詳細なネタバレは避けますが、メインストーリーの第四章後編ではシャロが月歌を本気で大切な人として心配しているような描写もありました。

ユッキーのようなメインキャラクターではないのに、登場する度に月歌への気持ちを言葉として吐き出すシャロはどの場面でも全くブレず、たとえ物語の空気が落ち込んでいてもファンに妙な安心感すら与えてくれます。言ってしまえば彼女の重すぎる愛が、ゲームの雰囲気を強引に変えてくれていることに他ならないでしょう。
今後、彼女は“月歌愛に溢れたヒロイン”の1人として、ユッキーを脅かす存在になり得ると筆者は見ています。願わくば「She is Legend」のライブ会場に訪れる、熱心な1人のファンとしての姿も見てみたいものです。
◆シャロが気になる人は絶対に遊んで欲しい「罪と罰と愛と」

ストーリーイベント「罪と罰と愛と」は、シャロの過去にスポットを当てた内容です。また、シャロの視点から月歌との会話や、所属している第31X部隊の日常など、今まであまり深掘りされてこなかった部分が明らかとなります。
シャロの魅力がこれ以上ないほどに詰まったイベントなので、まだ『ヘブバン』に触れたことがない方にも、ぜひ触れてほしいところ。なお、Twitterでは多くのヘブバンプレイヤーたちが「#シャロを愛して」の投稿と共に、シャロへの想いをツイートしているようです。
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