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2023年6月30日(金)にHDリマスター版の発売を控えた、株式会社カプコンの巧 舟氏が手がけた名作のひとつ『ゴースト トリック』。
街の片隅で命と記憶を奪われた主人公・シセルは、与えられた死者のチカラで自らの死の真相を追います。自分を殺した犯人と、その真実とは。大勢の人間の思惑が錯綜する物語は、やがて1つの結末に収束していき……命なき者が紡ぐ、たった一夜の追跡劇が描かれます。
2010年にニンテンドーDSでオリジナル版が発売された際、本作のおもしろさに舌鼓を打つプレイヤーたちの中には、のちに「リアル脱出ゲーム」を生み出すことになる株式会社SCRAPの代表取締役・加藤 隆生氏の姿もありました。
リアル脱出ゲームと『ゴースト トリック』は、「今目の前にあるものを活用したり、謎を解いたりすることで事態の打開を図る」という点で共通点が見られます。加藤氏は『ゴースト トリック』から何を感じとったのでしょうか?
『ゴースト トリック』HDリマスターの登場を記念し、巧氏が『大逆転裁判』の制作中にSCRAP製のゲームブックを遊んだことがきっかけで縁ができたというお二人にそれぞれの流儀や自身の原点、謎を作ることへの熱量などを語り合っていただきました。
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■巧 舟氏プロフィール
1994年カプコンに入社。2001年『逆転裁判』で企画、脚本、監督を兼任。『逆転裁判3』までの初期三部作を制作後、『逆転裁判4』ではシナリオ原案を担当。2010年『ゴースト トリック』の企画、脚本・監督を務める。2015年に成歩堂龍一の先祖の活躍を描いた『大逆転裁判 ~成歩堂龍ノ介の冒險』、2017年『大逆転裁判2 ~成歩堂龍ノ介の覺悟』を手がけた。「逆転」シリーズは宝塚歌劇団、テレビアニメ、漫画、映画、舞台、リアル脱出ゲームなど幅広い展開を見せており、その監修も務めている。
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■加藤 隆生氏プロフィール
2002年に京都でポップバンド「ロボピッチャー」を結成。ボーカルとギターを担当しつつ、インディーズ音楽イベント開催に向けてフリーペーパー「SCRAP」を創刊し、編集にも携わる。2007年7月には京都で「リアル脱出ゲーム」を企画・開催。集まった参加者たちが力を合わせて謎を解きながらその場からの脱出を目指す新たなエンターテイメントの火付け役となる。2008年に株式会社SCRAPを設立し、以来代表取締役として多くのリアル脱出ゲームを世に送り出し続けている。
◆企画当初はマンションの住人にスポットを当てるつもりだった
加藤『ゴースト トリック』は、ニンテンドーDSで発売された時に僕もプレイさせてもらいました。2010年の発売でしたから、もう13年も前の作品なんですよね。
巧そうですね。企画を考え付いたのはもっと前で、2004年でした。
加藤そうなんですか!
巧2004年の1月にゲームボーイアドバンスで『逆転裁判3』をリリースして、物語が綺麗にまとまったので次は新作を…と企画したのが『ゴースト トリック』だったんです。
でも、実作業に入る直前で、いったん中断されたんです。新規エピソードを加えたニンテンドーDSへの移植版『逆転裁判 蘇る逆転』や、『逆転裁判4』を制作することになったためですね。
――『ゴースト トリック』はどのようなコンセプトで企画されたのでしょうか。
巧まず最初に「逆転裁判を"逆転する"」というイメージがありました。キャラクターをバストアップで描く『逆転裁判』に対して、今度はキャラクターの全身の動きで個性を表現しようとか、短編構成の『逆転』に対して、今度は長編の群衆劇にしよう…など、『逆転裁判』のすべての要素を逆にして考えていったんです。
当初の構想は、ひとつのマンションに暮らす人たちがつながっていく物語を描くつもりで、その時考えていたタイトルも『マンション』でした。
でも、そこから考えていくうちに「ゴーストの力の正体はなんなんだろう?」という疑問がわいてきて、その設定をふくらませていったら『ゴースト トリック』のお話が生まれたというわけです。
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◆「トリツク」「アヤツル」誕生秘話
――『ゴースト トリック』はタマシイ(霊)となった主人公・シセルがさまざまなモノにとりつき、それらを動かすことで生きる者たちの運命が変わり、物語が紡がれます。本作ならではのシステム「トリツク」と「アヤツル」はどのように生まれたのでしょうか。
巧まだ『マンション』というタイトルで考えていた頃は「住人たちにとりついて、その人の固有のアクションで住人たちを"演じる"」というのがテーマでした。
でも、具体的に考えていくと、意外に発想が広がらなかったんです。人ができることでゲームにしても、なんだかありきたりな感じになってしまって。そこで、思いきってモノにしかとりつけないようにしようと方向転換しました。これで、ゲーム性も大きく変わりました。
人にとりつけるのであれば、移動したい時は誰かにとりついてトコトコ歩けば済むわけですが、モノにしかとりつけないのであれば、そうはいきません。ステージの中を「移動」すること自体がゲーム性につながるわけですね。そして、ステージ間を「電話線を伝って移動する」というアイディアが生まれたことで、ゲームの全体的な方向性が固まりました。
でも、発売から13年が経った今、電話線は急速に失われつつありますね。今シセルがいたら、どうやって移動するんでしょうね(笑)。
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加藤『ゴースト トリック』はキャラクターたちのアニメーションもすごく魅力的ですよね。僕が遊んでいて特に印象に残ったのは、白いコートに身を包んだカバネラ警部です。お話のテーマはシリアスですが、それと同時に「エルヴィス・プレスリーのような恰好をした警部がすごくヘンな動きをするゲーム」なんだとよく分かりました(笑)。
巧たしかに(笑)。カバネラ警部のアニメーションはマイケル・ジャクソンさんのダンスをみんなで研究したりしましたね。本作のキャラクターがどこまでヘンな動きをするか、彼によってその限界を探りました。
アニメーションは特殊な作り方をしていて、まず3Dモデルで作成したキャラクターをにモーションをつけて、その動きを1枚1枚、ドット絵に変換して、2Dのアニメーションとして表示させているんです。パラパラマンガのような作りですね。
これは、ニンテンドーDSの性能では3Dモデルを自由に扱うことができないという、ハードスペックによる制約から生まれた手法でした。2Dのアニメーションだから、当然、カメラを使った演出はできません。だから、たとえばプレイヤーに何かに注目させたい時は、そこにカメラが寄る代わりにスポットライトを使うという発想が生まれました。舞台劇のような演出や見せ方は、そういう制約から生まれたものなんです。
作り手としては、制約の中で工夫して生まれる発明やヒラメキがうれしい瞬間だったりするんですよね。『ゴースト トリック』は、そんな喜びも多いゲームでした。
加藤『ゴースト トリック』はひとつの長編ストーリーを描いていますが、物語の本筋を描くテキスト量がすごくおさえられているのも印象的です。文字数は少ないのに、練り込まれたお話がスッと頭に入ってくる。これは巧さんにしかできない言葉の使い方なのではと感じました。
巧ありがとうございます。そこはまさに、ぼくがシナリオを書くとき、一番気にかけている部分ですね。
テキストが主体のゲームなので、いかに楽しく読んでもらうかが重要ですよね。なんといっても「プレイヤーに飽きられるのが恐い」ですから。
読むとちょっとクスリときて、必要な情報も得られる。だからこそ「もっといろんなところを調べたい、読み進めたい」と思ってもらえるのが理想です。
加藤『ゴースト トリック』は、そういうコミカルなかけあいもないと話が重くなりすぎてしまいますよね。ゾッとするような悲劇について書かれているとすらいえる。
でも、いざ遊んでみると「死んでしまった人(キャラ)はもう悩みを抱えなくていいです!」とでも言わんばかりにのびのびとおちゃらけてくる(笑)。ミサイルの「ポメラニアン、やってましたッ!」にはクスリとしましたし、暗い気持ちにはならずに最後まで楽しめました。
巧うれしいです。そう感じてもらえれば何よりです(笑)。
◆"コマンド総当たり"ではなく「考えた方が早い」推理ゲームに
加藤僕はファミコンで『ポートピア連続殺人事件』を遊んで衝撃を受けて以来のアドベンチャーゲーム好きなのですが、何作品も遊んでいるとついコマンド総当たりでクリアするようになってしまうのがこのジャンルの課題だなと感じるようになりました。
ミステリーでありながら、プレイヤーに推理させる要素が減っていっているのではないかと。そんな時に登場した『逆転裁判』は、複数のパートに区切られている証言に5個も10個もあるような証拠品の中から正しい(=証言とムジュンしている)ものを選んで突き付けるゲームでしたので、「これはちゃんと考えさせてくれるゲームだ!」と感動しました。
巧ありがとうございます。『逆転裁判』のコンセプトは、「プレイヤーの推理によって物語が展開するミステリー」だったので、そのゲームシステムから考え始めたんですよね。コマンド総当たりではなく、プレイヤーが考えるのが楽しいゲーム。『ゴースト トリック』も、その考え方を継承して作られていて、『逆転裁判』とは異なる形のヒラメキが必要になります。「このアクションをすれば、このキャラはこう動いてくれるだろう」みたいな。それもまたミステリーの形なのではないかなと。
加藤僕は『ゴースト トリック』もシリーズ化を期待していたのですが、そういうご予定はないのでしょうか?
巧どうなんでしょうね(笑)。とにかく、『ゴースト トリック』はすべてやりつくしたという手ごたえが強いので、続きを作るのはかなり難しそうです。
でも、『逆転裁判』(の一作目)を作った時も同じことを思っていたので、やってみたら何か新しいものができるかもしれませんね。
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◆親戚一同を謎で楽しませた「リアル脱出ゲーム」の原点
巧ぼくはミステリーのゲームを作りたいと思ってカプコンに入社したので(参考:珠玉のミステリー『ゴースト トリック』『逆転裁判』と「オッドタクシー」はいかにして生まれたか【巧 舟×此元 和津也 対談】)、自分の原点はミステリーです。加藤さんは元々音楽の道を目指していたそうですが、どのような経緯で謎作りの才能が開花したのですか?
加藤いえいえ…開花するもなにも「僕が思いついた時は、まだ誰も(リアル脱出ゲームを)作ってなかった」というだけなんですよ。偶然最初に作ったから、すごいと言われただけです。
巧それにしても、何かキッカケがあったのでは。
加藤僕も小さい頃から本が好きでしたので、「はてしない物語」、「少年探偵団」、「アルセーヌ・ルパン」、「シャーロック・ホームズ」などいろいろな物語に触れて育ちました。
読んでいて、作中のキャラクターが特にうらやましかったのは「少年探偵団」です。その影響で、町を歩いていてちょっと怪しい歩き方をしている人を見ると「15時20分、怪しい男を目撃」みたいなことを頭の中で思ったりして。まだ腕時計もしていない頃なのにね(笑)。
他にも「このうっそうとしたお屋敷の中にはさまざまな仕掛けがあって、オバケもいるかもしれない」、「あの家に植えられている木に登れば、隣の家の木に飛び移って潜入できるかもしれない」など、そんなことばかりを考えているヤバい子供でした。
巧ははは(笑)。
加藤そうした思いが発露したのは高校生の頃で、当時は、毎年お正月に親戚の子たちと宝探し大会をするのが恒例でした。僕だけでなくみんなで分担して謎を考えて、それをみんなで解いて遊ぶ。大晦日の夜からお正月の朝まで、大体5時間くらいかけて遊んでいました。
巧5時間も!それは本格的ですね!
加藤親戚の子たちは僕の作った謎に喜んでくれて、みんなで笑っているとそれを見た親たちも集まって。その輪はどんどん大きくなって、今度は従兄妹たちの彼氏彼女や、ついには近所の方たちなども集まるようになってきて……。
「実際の空間に物語性を秘めた謎が隠されている」、「普段はあるべきではないものがそこにある」のはおもしろいことなんだと実感したのが、リアル脱出ゲームの原体験だったように思います。
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巧何時間も遊べるなんてどんな謎だったんだろう。それこそ、才能がないと思いつけないですよね!
加藤謎のひとつひとつは、ささやかなものなんですよ。たとえば当時の僕は11階建てのマンションに住んでいましたが、父が謎を考え、そのどこかに宝物を隠したことがありました。
それで「(ウチがある)マンションに隠しました。誤解がないように言っておきますが、あのマンションは11階建てですよ」と言うから、みんなで「わざわざ強調するのだからきっと11階だ!」と詰めかけるんですけど、いくら探しても見つからなくて。
そこで父の発言をあらためて思い出すと「"ごかい"がないように」とも言っていた。「あれは”誤解”と”5階”をかけていたんだ!」とみんなで5階に行ったら、そこで父がニコニコしながら僕らを待っていて。
巧なるほど!
加藤話で聞くだけだと「そんな程度かぁ」と思ってしまうかもしれませんが、実際に体を動かしながらやってみると、これがすごく楽しい。謎解きに身体性が伴われると、謎そのものに求められるハードルが下がるような気がしています。
巧その体験が原点だというのは、すごく腑に落ちますね。以前、マンションの一室ぐらいの小さな会場で展開する「リアル脱出ゲーム」に参加したことがあるんですけど、謎がひとつひとつ"手作り感"があるのが印象的でしたね。謎への愛情というか。
いい意味でプロっぽくないというか、「楽しませよう」という気迫が感じられて、とても楽しくて、同時に悔しさもあって。「リアル脱出ゲームの本質はこれか!」と(笑)。
◆巧氏と加藤氏の最新ミステリー事情
巧加藤さんは、最近はどんなミステリーを読まれていますか?
加藤実はSCRAPの社内にミステリー研究会というものを作っていて、10人くらいで同じ作品を読んでは月に一度集まり、点数を付けたりしています。最近はミステリー研究会で集まる日が月で一番楽しいかもしれないです(笑)。
巧最高ですね!ぼくの周りは、当然ゲーム好きはたくさんいますが、ミステリー好きとなると貴重です。
加藤探してみると、結構いるものですよ!
巧そうやって周りに人が集まるのが、加藤さんの力だと思いますね。そういえば最近は、ミステリーを原文で読んだりしてます。Kindleを使うと辞書機能があるので暗号解読みたいな楽しさもあって…。英語で読むと、日本語とは違った発見があります。
たとえば、日本語は一人称がたくさんあるけど英語は"I"のみなので、語り手の情報がほとんどない。そういうところから叙述トリックが生まれたのかな…なんて思ったり。そんな気づきがあって、新鮮な気持ちで読めます。
加藤「英文の読解は謎解きに似ている」というのは、僕も聞いたことがあります。しかし、実に知的な趣味ですね!
巧われながら、言いながらややあざといなと思いました(笑)。
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◆自分で解けなくてもいい!? 謎の難度調整の基準
――推理ゲームやリアル脱出ゲームを手がけるうえで、謎の難度の調整はどのように行っているのでしょうか?加藤氏は正答率20%あたりを心がけているとのことですが。
加藤20%を目指すというよりは、僕がギリギリ…解けないくらいかな?
巧"ギリギリ解ける"ではなく"解けない"なんですか(笑)。
加藤制限時間がある中で必死に考えて「もうちょっとで解けそうなんだけど…だめか、だめなのか…!」とせめぎ合うのが楽しいんです(笑)。
それで、時間内に解けずに終わって答えを知った時に「そんなの分かるわけないじゃないか」と思われてしまったら僕の負け(=謎の難度が適切ではなかった)です。
逆に、答えを聞いた時に「なるほど!あと30秒あったら思いつけたかも…!」と思ってもらえたなら僕の勝ちだと思っています。
ミステリーって、種明かしのパート次第でそれまで最高におもしろいと思っていた作品が一気に最悪な作品になっちゃうことがあるじゃないですか。そうなってしまうと「ここまでワクワクした分も損だったな!?」とすら思えてしまう。
巧ほう、ほう(笑)。
加藤僕はトリックに論理性を求めるタイプなので、つじつまが合わないと感じたら作品ごと嫌いになっちゃうんですよ。でも、そうやって他の作品に向けた刃は当然自分の作品にも向くので、自分が謎を作る時は遊んでくれる人が同じ思いを味わわないよう気を付けています。
巧ぼくの場合は、ビデオゲームというメディアの違いもあるので買って遊んでくれたみなさん全員が解けるように作っています。すぐには正解が分からなくても、試行錯誤すれば気付いてもらえるように、あの手この手でヒントを盛り込んだり。
加藤『ゴースト トリック』は、初見だったら正答率20%以下かもしれないと思える謎解きもありますが、謎が解けずに失敗してしまうとキャラが「こういう考え方もあるかもしれないな…」とさりげなくヒントをくれるんですよね。そのバランス感覚がすばらしいなと。
巧ありがとうございます。『ゴースト トリック』の謎は1回で解ける作りにはなっていないので、何回か時間切れが起こると思います。でも、失敗することで「あのタイミングでアクションを起こせばよかったのか」と気づいてもらえる作りになっているので、ゲームオーバーという概念がないんです。運命を変えられなかった結果として「死亡時刻」が来た…と出るだけで。
加藤キャラクターたちも「ああ、ダメだった…」みたいなうしろ向きな発言をしないですよね。「よし、次はこうしてみよう!」と前向きに死を迎える(笑)。
巧そうですね(笑)。あと、謎の難しさの基準としては「プロデューサーが解けたらOK」というものもありました。
加藤そういう「謎解きの難度の基準になる人」っていますよね。SCRAPでもそういう基準になる人がいるのですが、10年以上続けるうちにその人の謎を解く力がどんどん磨かれてきてしまって。
「あの人が解けたから大丈夫!」と世に出したら、遊びに来てくださったみなさんには難しすぎた…などということもありました。この辺は答えがないですよね。
◆『ゴースト トリック』のリアル脱出ゲームを作るとしたら?
――もし『ゴースト トリック』でリアル脱出ゲームを作るとしたら、どのようなゲームにしたいですか?
加藤『ゴースト トリック』はシステムと物語が密接に結びついていて、特に「トリツク」はビデオゲームだからこそ成り立つ遊びだと思っています。おそらくリアル脱出ゲームでこれを再現しようとしても、ごっご遊びのようになってしまい楽しくないでしょう。
しかし、今回は縁あって「ゴースト トリック 謎解きキット トリツキBOX」に同梱されるオリジナル謎解きキットの制作をSCRAPで担当させていただきました。こちらは「トリツク」をアナログで実現する際の最適解にできたと思っていますよ!
巧謎解きキットには、ぼくも監修で関わっています。SCRAPさんはこちらが無茶なお願いをしても見事な形で応えてくれるので、とてもやりがいがありました。おもしろいアイディアを出してきたら「じゃあ、これはどうだ!」と勝負しているような気分で。
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加藤そんな感覚だったんですか(笑)。こちらはこちらで「巧さんがこんな細かいところまでしっかり見てくださっている!」と盛り上がって、そのたびに気を引き締め直していましたよ。
巧そんなやりとりで誕生した謎解きキットは、とても『ゴースト トリック』らしいものにしていただけたと思います。
――そちらも楽しみにしています。それでは最後に『ゴースト トリック』リマスター版の魅力をあらためて教えてください。
加藤久しぶりに巧さんにお会いできるということでニンテンドーDS版を再プレイしてきましたが、発売当時は名言とまでは思っていなかった言葉が今の自分にはすごく響いたり、細かに行き届いた演出を今ならしっかり読み取れたりと、初めて遊ぶゲームのように楽しめました。何度でも楽しめるゲームだと思います。
リアル脱出ゲームのような「物語と謎が絡み合った遊び」がお好きであれば、今の方が初めて遊んでも傑作と感じられると思います。みんなが『ゴースト トリック』を遊んで、共通言語のようになってくれたらいいですね。
巧『ゴースト トリック』は思い入れの深い作品なので、こうしてもう一度、最新のカタチでリリースしていただけることに感謝しています。リマスター版は別のディレクターが制作しているので、ぼくはゴーストアドバイザーという肩書でクレジットされています。言い換えるなら監修ですね。
グラフィックを高解像度にするだけでなく、『大逆転裁判』の音楽を担当した北川保昌さんが全曲のアレンジを担当してくれて、そこはぼくも密に関わっています。最新の画質とサウンドで『ゴースト トリック』を再び遊べると、ぼくもみんなと同じワクワク感で発売を待っています。
物語は、真相を知った上でもう一度遊ぶと、まったく違った風景が見えるように作ってあるので、ニンテンドーDS版を遊んでくれた人は、そういう楽しみ方もできると思いますよ!
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株式会社SCRAPの加藤 隆生氏は、「リアル脱出ゲーム」という現実の町や会場を舞台にした「身体性と物語性を伴う謎解き」という新たなエンターテイメントで多くの人を魅了し続けています。そして、加藤氏とは異なるアプローチで同じ楽しみをビデオゲームで表現しようとしたのが『ゴースト トリック』なのかもしれません。
株式会社カプコンの巧 舟氏が「逆転裁判を逆転させる」をコンセプトに生み出した自信作『ゴースト トリック』のリマスター版は、2023年6月30日(金)にリリース予定です。
通常版のほか、SCRAPによるオリジナル謎解きキットが付属される「謎解きキット トリツキBOX」や、全37曲のBGMアレンジバーションと新曲1曲が収録されたサウンドトラックCDなどが付属する「運命更新セット」も展開されます。詳細は公式サイトをご覧ください。
『ゴースト トリック』公式サイトゴースト トリック
発売日:2023年6月30日(金)予定
プラットフォーム:Nintendo Switch / PlayStation 4 / Xbox One / PC(Steam)
ジャンル:アドベンチャー
プレイ人数:1人
レーティング:CERO B(12才以上対象)
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