7月20日に発売されたターン制戦略シミュレーションRPG『クロステイルズ』。新作でありながら、どこか懐かしい雰囲気も漂うこのタイトルをプレイしてみました。
筆者は1984年生まれで、90年代を小中学生として過ごしました。この時代、スーパーファミコンという最新ハードの登場と共に様々なシステムを導入したRPGが花開きました。たとえば『ファイアーエムブレム 紋章の謎』の発売は1994年1月。筆者の通っていた小学校でも大きな話題になっていたことを覚えています。
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『クロステイルズ』は90年代の戦略シミュレーションRPGの基本システムも踏襲しつつ、さらに細やかなシナリオを織り込んだ作品になっているようです。
◆「犬VS猫」の戦い
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『クロステイルズ』の世界には3つの国が存在します。
犬族の国「ランヴェルフルト王国」は、誠実で真面目な獣人が支配しています。彼らは物理攻撃が得意で、その戦法は常に「盤石」かつ「確実」。
そんなランヴェルフルト王国と対立するのは、猫族の支配する「ヒディーク共和国」。こちらの陣営は魔法使いが多く、敵に大ダメージを与える魔法を繰り出すことができます。
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ランヴェルフルト王国とヒディーク共和国は戦争状態ではありますが、現在は小康状態。国境付近で小規模の衝突が時折発生する程度に収まっています。そこへ爬虫類族の国「ドラルボ国」が絡んできて――。
プレイヤーは、ランヴェルフルト王国の士官フェリクスかヒディーク共和国の女の子シャイマーのどちらかを選択します。シミュレーションRPG初心者はフェリクスを選んだほうがいいという情報がありますが、今回筆者はシャイマーを選択。難易度は「ノーマル」にします。
ところが、それが後々とんでもない結果を導くことに……。
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『クロステイルズ』には「高低差」や「背面」という概念があり、それらを生かして戦闘で優位に立つことができます。たとえば弓は、高いところから放てば当然射程が伸びます。低いところから高いところへ放つ行為は戦術的不利を生み出してしまいます。だからこそ、歴史上の偉大な軍師は常に高所へ陣取っていました。
そうした地形的要素を見出しながら……というより、見出していかなければ苦戦する仕様になっています。
ユニットのジョブにも気を配る必要があります。これは言い換えれば「兵科」ですが、それぞれのフェイバリットや弱点を把握して理想的な割合でマップ上に配置する……という戦略シミュレーションの基本はしっかり押さえられています。
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そしてこれはRPGでもありますから、ちゃんと「装備」という概念も。そのため、誰が何を装備しているかを把握せずに適当に買い込んで散財する……というRPGあるあるも。
◆案外辛口!?
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ヒディーク共和国の猫族は、上述の通り魔法が得意。従って、物理攻撃よりも威力のある魔法を撃ち出して一気に蹴散らす戦法も可能です。
ただ、もちろん魔法は無限に使えるものではありません。このあたりを計算に入れつつ、さらに回復アイテムの残量も考慮しなければ後半で手詰まり……ということもありえるのが『クロステイルズ』です。け、結構辛口なんだな……。
筆者は小学生の頃からターン制戦略シミュレーションが大好きでした。それも、『ファイアーエムブレム』シリーズよりもだいぶ硬派なタイトル……たとえば『大戦略』シリーズなどは筆者の琴線に触れる内容です。
スーパーファミコンソフトに第二次世界大戦の独ソ戦を題材にした『バルバロッサ』という作品があり、小学生の頃の筆者はこれにカッツリハマっていました。敵のソ連軍がターンを終えるまでに10分くらいかかるという、容赦ないほどのタカ派戦略シムです。そんなタイトルをプレイしていた筆者ですから、ファンタジー世界が舞台の『クロステイルズ』なぞあっという間にクリアできる! と思っていたのですが……。
これ、愛らしいタッチのイラストとは裏腹に結構大変! あっ、全滅しちまった……。
ただ単に筆者がヘタクソなだけかもしれませんが、まず地形の高低差を考慮しなければならないことと、「ユニットを極力孤立させない」ということが重要になります。てか、これでまだ「ノーマル」なの? そ、それじゃあ上のレベルは地獄じゃないか……?
マップ上にある宝箱に目がくらんで単独行動をさせてしまうと、いつの間にかそのユニットが四面楚歌になってしまうという悲劇も。やっぱり集団行動は大切だ!
◆積み重ねが大事
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今年で39歳になる大人がこうなってしまうのですから、小学生がやればさらに難儀するはず(いやでも、やっぱ筆者の頭が悪いだけ……?)。
ただし、いえ、だからこそこのテのゲームは積み重ねが大事。何回も挑戦すると、敵軍のアルゴリズムが分かってきます。「ああ、ここはこう来るからこうすればいいんだな」というように。
そして、『クロステイルズ』はストーリーテリング作品でもあります。対立する両国がどのような運命をたどるのか、この世界に平和は訪れるのか――。それはぜひ、実際にゲームをプレイして確認することをオススメします。