『Fate/Samurai Remnant』庄知彦Pインタビュー! 本格的なSLGになる構想もあった!? 誰もが楽しめる「Fate」を目指した開発の裏側【TGS2023】

略称は『サムライフェイト』...?

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『Fate/Samurai Remnant』庄知彦Pインタビュー! 本格的なSLGになる構想もあった!? 誰もが楽しめる「Fate」を目指した開発の裏側【TGS2023】
『Fate/Samurai Remnant』庄知彦Pインタビュー! 本格的なSLGになる構想もあった!? 誰もが楽しめる「Fate」を目指した開発の裏側【TGS2023】 全 12 枚 拡大写真

コーエーテクモゲームスより、「Fate」シリーズの最新作『Fate/Samurai Remnant』が2023年9月28日に発売されます。「東京ゲームショウ2023(以下、TGS2023)」でも、コーエーテクモゲームスのブースにて登場キャラ「宮本武蔵」の立像が大きく展示されるなど、期待の入り用がうかがえます。

そんなTGS2023にて、本作のプロデューサーである庄知彦氏へのインタビューの機会をいただけたので、本稿ではその内容をお届けします。

◆コーエーテクモのノウハウを総動員し、“聖杯戦争”を作り上げた

――「ω-Force(オメガフォース)」というと『無双』シリーズのイメージが強いと思います。本作はいわゆる“無双”ではないですが、同シリーズから取り入れたノウハウなどはあるのでしょうか?

庄知彦氏(以下、庄):「○○無双」というタイトルになっている作品は、無双シリーズのエンジンをベースに開発をスタートしますが、今回はゼロから作っています。ただ、コーエーテクモのノウハウはいろいろと取り入れています。無双シリーズで培ったものだけではなく、コーエーテクモのシミュレーションゲームのノウハウも取り入れています。ブランドが違いますが「Team NINJA」や「ガスト」などにも協力してもらって、コーエーテクモのノウハウを最大限に活かし、“聖杯戦争というジャンル”を作ろうと挑みました。

その中でも、「シブサワ・コウ」ブランドというか、シブサワ・コウ本人とも本作を一緒にプレイし、フィードバックを多くもらっています。なので、公式サイトやポスターなどには、「ω-Force」と「シブサワ・コウ」のロゴが並んでいるんです。彼は「ω-Force」の作品に関わることは少ないんですが、「Fate」シリーズそのものが好きということもあり、本作は何十時間もプレイしていました。

――本作には「霊地争奪」などのシミュレーションゲーム要素も見受けられます。やはり「シブサワ・コウ」ブランドノウハウが取り入れられた結果なのでしょうか。

庄:そうですね。ただ実は、開発段階ではもっと本格的なシミュレーションゲームにするという構想もありました。『信長の野望』の戦術的、戦略的のゲーム性を聖杯戦争におけるマスターやサーヴァント同士の権謀術数を取り入れるなど、聖杯戦争をもっとおもしろく再現しようとしていたら……やりすぎました。「Fate」シリーズはストーリーの深さが魅力なので、もし本格的なシュミレーションにするなら別でやろうと。なので、本作ではゲームバランスを考えて、シミュレーションゲーム要素はカジュアルに楽しめるようになっています。

「霊地争奪」

――もしかしたら今後、「Fate」のシミュレーションゲームが出る可能性もあるのでしょうか?

庄:もちろん私の一存だけでは決められないのですが、私個人としては出したいと思っています。やはり聖杯戦争は、マスターやサーヴァントとの組み合わせや編成だったり、そこから生まれる戦略性や駆け引きがおもしろいと思っています。

◆「Fate」を知らない人でも楽しめるように

――事前情報だけでも、「Fate」ファンがにニヤリとできる要素などがふんだんに盛り込まれています。そういった要素は意識して作られたのでしょうか?

庄:シブサワ・コウ含め、開発メンバーの中にも「Fate」が好きな人は多く、ファン目線を取り入れています。ファンの方がプレイしたときに「これだよ『Fate』は!」と思ってもらえる要素を自然な形で盛り込んでいます。もし我々のエゴで「入れたい要素」を詰め込んでしまうと、「Fate」を知らないユーザーが置いてけぼりになってしまうので、そこは気を付けました。

――「Fate」シリーズを知らないユーザーも意識して開発されたんですね。

庄:“シリーズを知らないユーザーも楽しめるようにする”というのは開発の段階から強く意識していました。『Fate/stay night』の衛宮士郎や本作の主人公である宮本伊織も、何もわからない状態から聖杯戦争に巻き込まれていきます。つまり「Fateの世界」を何も知らない状態というのは、新規のユーザーと同じなわけです。なので、「Fate」を知らないユーザーでも、本作のプレイしながら主人公・伊織とともに、「Fateの世界」を知っていくことができると思います。

――『Fate』シリーズは、最新作がでされるたび、魅力的なキャラやサーヴァントたちが登場します。本作もその点は期待してもよいのでしょうか?

庄:今回新しく登場するサーヴァントにはとても力を入れています。TYPE-MOONさんとも「こういうサーヴァントを新しく登場させた方が『Fate』の魅力が引き出せるのじゃないか」とサーヴァントについてはじっくり話し合いました。

「ライダー」

過去作に登場したサーヴァントたちも、「このキャラにはこういう楽しみ方やアクションがあるよね」と考えて、登場させています。「逸れのサーヴァント」も、物語にフィットすることを前提に、ファンの方により楽しんでもらえるように選びました。

――ファン間では、すでにさまざなば考察が行われてますよね。

庄:我々も把握しています。本作を盛り上げていただいていて、ありがたいですね。 今回はあえて「キャラクターの名前を出さない」というプロモーションを行っています。実はこういったプロモーションは我々も初めてなので、新鮮な感覚を味わっています。

「アサシン」(左)「ドロテア・ コイエット」(右)
「逸れのランサー」

ただ、考察を見ていると、けっこう核心をついているファンの方もいて、ちょっと情報を出しすぎたかな……と(笑)。ただ、考察の正誤以上に、ロジックを組み立て方や知識量が多いファンがいて、改めて「Fate」ファンの熱量の高さに驚かされました。

縮緬問屋「巴比倫弐屋(ばびろにや)」を営む若旦那

――先ほど試遊したのですが、自分も思わずプレイ中にも「この武器は真名の手掛かりになりそう!」と。

庄:今回はプレイアブルのサーヴァントに関しては、真名が出たときに宝具が解禁されるんですよ。もちろん真名を探るようなゲームではなく物語の流れで明かされていくのですけれど、正体がわかった時に「なるほど!この英霊だからこの宝具ね」と楽しんでいただきたいです。

――今後は、『Fate/Samurai Remnant』と『FGO(Fate/Grand Order)』のコラボはあったりするのでしょうか?

庄:『FGO』では発売記念で概念礼装などやキャンペーンが実施されます。ただ、個人的な希望でいうと、サーヴァントやイベントでも『FGO』とコラボしたいと思っています。私の立場で言えることではないので、あくまで個人的な希望です。特に主人公の宮本伊織とセイバーに出てほしいなぁ……と考えています(笑)。

――最後に、読者にむけて何かメッセージがあればお願いします!

庄:重ねてになりますが、まずは「Fate」を好きな方にはじっくり遊んでいただきたいです。「Fate」が好きな開発メンバーやTYPE-MOONさんと一緒に“ファンに楽しんでいただけるもの”を目指して作りました。

そして「Fate」を知らない方やシリーズで初めてプレイするという方にも、楽しんでいただける内容なので、ぜひプレイして「Fate」の魅力を知っていただきたいです。

――ありがとうございました!


ちなみに余談ですが、「本作の略称」は『Fate/SR』ですが、開発メンバーの中では『サムライフェイト』という略称も出ていたとのこと。語呂が良いので使ってみたくなりますね!

『サムライフェイト』はPS5/PS4/ニンテンドースイッチ/PC(Steam)向けに、2023年9月28日に発売予定。Steam版は9月29日です。

《高村 響》

多義的に面白いことが好きです 高村 響

兵庫県生まれ。子供の頃からゲームを初めとしたサブカル全般にハマっていたものの、なぜか大学にて文学研究で博士課程まで進むことに。本が好きで、でも憎い。純文学を中心とした関係性の中で生きていたが、思うところあってゲームライターに転向。その結果、研究のさなかゲームをしまくっていたことが恩師にバレつつある。 読んでくださっている皆様、どうぞよろしくお願いします。

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