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2023年9月21日から24日にかけて開催された「東京ゲームショウ2023」。インディーゲームブースでは、ストロマトソフトによる百合×3DダンジョンRPG『ウィッチ・アンド・リリィズ』がプレイアブル出展されていました。本稿では、ストロマトソフトの代表取締役である藤田峻輔氏にTGS会場で行ったインタビューをお届けします。
時には全滅するような歯ごたえのあるダンジョンRPGに!
――クラウドファンディングで大きな話題となった作品が、ついにプレイアブル出展となりました。
藤田峻輔氏(以下、藤田)期待してくださっている皆さんに、実際に遊べるものをようやくお届けできました。Steamのウィッシュリストに登録してくださった方も大勢いらっしゃって、リリースに向けた滑り出しは上々かなと思います。大変なのはこれからですけどね。
――現在の制作状況はどのような感じでしょうか。
藤田ダンジョンに潜って戦闘を重ねつつ探索を進める基本的な部分は固まりました。今後は演出面のブラッシュアップ、スキルのパラメーター設定などと並行して、本作のキモとなる恋愛周りの仕様も詰めていきます。
――昨年のインタビューでもお尋ねしましたが、装備の強化/拡充などはどのように行うのでしょう。
藤田モンスターがドロップする素材を商店に売却すると、素材に応じて店のラインナップが拡充されていきます。装備の性能や特性などにランダム性はありません。同じ名前の装備品であれば、すべて同じ性能です。
モンスターがランダムな効果が付与された装備品をドロップする…というようなシステムも個人的には好きですが、まずは基本的な部分を丁寧に作りたいと考えて今回は採用しませんでした。
――TGSに合わせて公開された最新PVでは、クラウドファンディングのストレッチゴールとして追加が告知されていた2つのジョブのイラストが公開されました。
藤田当時「森人(仮)」とされていたものはシルヴァン、「獣人(仮)」とされていたものはベスティアという名称で、これはジョブというより種族の名称ですね。
シルヴァンは弓を得意とする遠距離アタッカーで、自分の攻撃にさまざまな属性を付与できるので属性アタッカーとしても活躍します。他のジョブとのシナジーは恋愛面に集中しており、彼女のパートナーがユニゾンを行うと、味方全体にバフが付与されます。(ユニゾンは、特定のパートナーがいるキャラが戦闘中に絆ゲージを最大まで貯めることで実行できるコマンド)
ベスティアは戦闘中にさまざまな「構え」を取り、そこから繰り出される各種スキルでダメージを与えていく守りを捨てた高火力アタッカーとなります。
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――試遊版でも、ユニゾンの強力さがよく分かりました。プレイヤーの脳内設定でカップリングする以外に、攻略の一貫としてカップリングするのもアリでしょうか?
藤田ユニゾンはパートナーのジョブに応じて効果が変わります。どれも強力な効果にしていますので、攻略を考えてカップリングするのもいいと思います! ただ、極端に強いジョブやユニゾンスキルは存在しないようなバランスを目指します。百合妄想ファーストの精神を忘れずに、自分の好きなパーティーやカップルで最後まで遊べるようにしたいなと。
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――パーティー内でカップルが成立し始めるタイミング/カップルを成立させられるまでの時間も気になります。
藤田シナリオが中盤戦にさしかかる頃には、初期から使っているキャラたちの間でカップルができ始める…というペースを想定しています。
カップルは破局する可能性もありますが、破局してしまったからもうダメ(ゲームクリアまでにそのキャラはもうパートナーができない)というバランスにはしません。復縁するにせよ、他の相手を見つけるにせよ、ゲームを進めていくなかでクリアまでにきちんとまた相手ができるようなイメージです。
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――全体的な難度としては、歯ごたえがある方向性にしたいとのお話でした。
藤田そうですね。一度も全滅せずにクリアできるのは、3DダンジョンRPGに相当慣れている方である……という難度を意識しています。
――パーティーが全滅すると、どうなるのでしょうか?
藤田「全滅したらタイトル画面に直行」だとセーブしていなかった時のロスが非常に大きくなってしまいますので、「ダンジョンに入る直前の状態に戻る」感じになると思います。
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――PVを見るかぎりでは、ジョブごとにさまざまなスキルラインがあってスキルポイントを振ることでキャラをビルドしていく感じになると思いますが、スキルの振り直しなどはできるのでしょうか。
藤田スキルビルドで試行錯誤するのも大きな楽しみだと思いますので、振り直しは行えます。その際は多少のデメリットも付ける予定ですが、それを理由に振り直しを躊躇してしまっては本末転倒ですので、リカバリーしやすいものにする予定です。
ボイス(性格)は全20パターン、キャラ同士の相性要素もアリ
――キャラメイクでは性格やボイスを設定できるとのことですが、どの程度のパターンが用意されているのでしょう。
藤田性格とボイスはセットになっており、全20種類用意されています。たとえばツンデレにはツンデレ用のボイスが、のじゃロリにはのじゃロリ用のボイスが紐づけられています。ゲーム中ではツンデレ、のじゃロリという単語は出てきませんが、雰囲気としてはそういうものだとお考えください。
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――ナイトとウォリアーの性格を同じものに設定すればボイスも同じになるし、ウォリアーが2人いても同じ性格でなければボイスも異なるものになる…ということですね。作中ではどのくらいのボイスが付くのでしょう。
藤田基本的には、ダンジョンから帰還した後のデートシーンですね。ギルドマスターであるプレイヤーがパーティメンバーに2人1組で何をさせるか指示することができて、お互いの好感度が高いとデートに発展しやすくなります。あとは、バトルでもかけ声などにはボイスが付きます。
――性格はキャラ同士のカップリングに影響を及ぼしますか?
藤田キャラ同士の相性は存在しますが、性格とは別に設定できる信条などで相性が決まるようになっており、性格が相性に影響することはありません。同じジョブ・同じ性格の2人であっても、相性がいいこともあれば、よくないこともあります。
相性がよくないと当初はあからさまな塩対応をしますので、絆が深まるにつれてそんな子が「この気持ちは一体……?」と変わっていくのを見守るのは最高ですよ!
――もし相性がよくなくても、妄想的にはメリットもあると(笑)。前述の最新PVでは各ジョブのイラストやカラーリングも確認できましたが、藤田氏が個人的に推しているボイスやジョブはありますか?
藤田ボイスの中には王子様系というか“イケメン女子”なものもありまして、それをシュッとしたイメージのナイトやスカウトに当ててもいいですし、見た目とギャップを出すのもおいしくて魅力的ですね。
デザインでは、ディガーがお気に入りです。防毒マスクを着けているタイプは、デートの時にマスクを外してくれるのがポイントです。もう片方のデザインは、触手のようにうねうねした髪がかわいくて気に入っています!
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パーティーキャラの関係性を妄想して楽しんでほしい
――キャラには好感度だけでなく不満度も用意されていますが、がんばれば「5人パーティーで5角関係」というような関係性にもできたりするのでしょうか?
藤田そうする必要はまったくありませんが、やりたければできるようにするつもりです。僕自身、女の子たちがくっついたり離れたりする恋愛模様が大好きですので!もちろん、適切な助言などをしてあげれば一途なカップルを維持することもできますよ。
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――「やり込み要素としてはアリ」という感じですね。試遊を踏まえてお聞きしたかったことがあと1つあります。試遊版ではウォリアーとナイトが最初からカップルになっていましたが、妖精のトリムが「今度、ウィザードとナイトを2人きりにしてあげたら?」と耳打ちしてきました。ちょっと邪悪ではありませんか?
藤田(笑)。トリムは女の子たちの仲を取り持つのが使命のようなものなので、悪意はまったくないんです。それとボイスが付けばよく分かりますが、トリム自身も女の子なんですよ。たとえ人ではなくても、百合の間に男を入れるわけにはいかないですからね……。
――徹底していますね!それでは、最後にメッセージをお願いします。
藤田祁答院慎さんの書くえげつないシナリオ、グロさすら感じられるデザインのモンスター、magodesuさんのデザインによるかわいらしいキャラクターがうまくかみ合うようにして、しっかりと妄想しながら探索やバトルも楽しめる3DダンジョンRPGをお届けします!
「妄想しながら楽しむ」がコンセプトですので、各ジョブのキャラクターデザインを見てあれこれと想像しながら続報をお待ちいただければと思います。
(C) Stromatosoft / (C) Bandai Namco Music Live