
2026年4月11日・12日に横浜BUNTAIで開催された「獅白杯オフライン」は、ホロライブ所属の獅白ぼたんさん個人主催の『ストリートファイター6』の大会です。これまでオンラインで3度、同様の大会を実施してきましたが、4回目となる今回は初のオフライン開催となり、横浜BUNTAIに多くのファンが駆け付けました。
2日開催ということで、1日目は招待選手と公募選手が合計8チームに分かれて火花を散らすトーナメント戦に。2日目は獅白ぼたんさん率いる西軍と、ホロライブ所属ラプラス・ダークネスさん率いる東軍が、罰ゲームをかけて大騒ぎした東西戦を実施。バラエティー強めなお祭り騒ぎで会場を沸かせました。
しかし1日目はネットワークトラブルに見舞われて1時間ほど中断する場面も。機材調整のインターバルを挟みつつ再会した後は大きな騒ぎもなく通常通りに進行しました。それでも主催者の獅白ぼたんさんは挨拶の場や振り返り配信などで度々頭を下げつつ “次回”を企画してリベンジしたいと意気込みを語っていました。
そんな楽しいことを含め色々とあった「獅白杯オフライン」ですが、トラブルがありながらも“成功した”のはなぜだったのでしょうか?
そこで本稿では、大会後に出場者それぞれが実施した感想配信やVlogをもとに、イベントの裏で何があったのか?という視点で振り返りつつ成功したその理由を考えたいと思います。
◆アクシデントで増した「一体感」

出場者の感想配信を覗くと、みなさん口を揃えて語っていたのは「楽しかった」「満足度が高い」「また出たい!」という熱い感想です。
たとえば1日目に出場したチョコブランカさんは、公募枠からのチーム優勝ということで「あの舞台に立たせてもらえただけでも本当に嬉しかったし凄い景色だった!」と興奮したようすで視聴者に報告していましたし、同チームの牙キバルさんも会場インタビューでは感激して声を詰まらせていました。大会後、会場となった横浜BUNTAIへ実際に足を運ぶなど、キバルさんにとってどれだけ大きな出来事だったのか察することができます。
また両日に出場した「ボンちゃん」さんは、「これまでああいったお祭り的な大会にあまり参加してなかったけれど」と前置きしつつ、『スト6』がエンタメ大会として成立したことに驚き、「罰ゲームが雰囲気だけで終わらず、ちゃんと罰ゲームとして機能していた」と感心していました。それだけ獅白ぼたんさんがこだわったということでしょう。
また「ときど」さんも自身のVlogの中で、お客さんが温かかったこと、熱量が高かったことを挙げつつ、ただ楽しいだけではなく出場者が『スト6』に真剣に取り組んでいること、またそれを視聴するファンの熱い想いに感激したようすでした。そして「今日の盛り上がりで、自分も次の試合も頑張ろうと思った」とさらなる意欲をかき立てられていました。
その一方で不完全燃焼だったと語るのは、本イベントの主催者である獅白ぼたんさんです。
会場でネットワークトラブルが起きたことについて、ぼたんさんはDay2の閉会の挨拶で、涙ながらに自身の不甲斐なさを悔いていました。さらに自身が出演した番組内でも、自身はもちろんスタッフも不完全燃焼であるためいずれリベンジの大会を開きたいと意気込みを覗かせつつ、来場者も出演者も優しく、「怒っていないことが反対に心苦しかった」と複雑な胸の内を明かしていました。
その番組とは、本イベントではMCと出場者の両方で燃えたアールさんと、2日目に罰ゲーム執行人として出演したホロスターズ「荒咬オウガ」さんが定期的に実施している「なんかラジオみたいなトーク」の第19回です。

あの日、試合が一時中断した際、MC&実況の平岩康佑さんと解説の「どぐら」さんは、雑談トークで場をつなぎながら、来場者が掲げた応援うちわをネタにするなどしていました。アールさんをはじめ、出場者も会場にコールを飛ばすなどしてサービスしていましたし、配信を見守っていたコメント欄もぼたんさんをねぎらいつつ、「スタッフがんばって!」とエールを送る投稿が続々と寄せられていました。
その中で温かかったのは、再開を待つコメント欄に対し、現地参加者から「いま平岩さんとどぐらさんがMC席についたぞ!」など状況報告をしていたことです。ぼたんさんのファンだけではなく、格ゲーファンや各出演者のファンなど複数のファンがいたにも関わらず、会場はもちろん、コメント欄も荒れることなく進行していたことでした。

ぼたんさんとしては、おそらく自分は楽しませる側という意識を強く持っていたのでしょう。そのため出演者や来場者に「自分たちもがんばって盛り上げないと!」と思わせてしまったことが苦しかったそうです。しかしイベントとは不測の事態が起きるもの。アールさんもオウガさんも「しょうがない」「誰のせいでもない」と語っていましたし、そもそも元から「この状況に怒る」という考えがなかっただけに、「怒っていないことが反対に心苦しかった」というぼたんさんのコメントに若干の戸惑いを見せていたようでした。
もしかしたらぼたんさんは、自身が真剣に『スト6』に打ち込み、悔し涙を流した経験があるからこそ、良い戦いに少しでも水を差したくないという強い気持ちがあったのかもしれません。それは責任感の強さとは別で、「獅白杯」のコンセプトに関わる部分だからこそ大切にしたいという想いがあったのではないでしょうか。
その一方で、ぼたんさんの想いを大切にしたいと思うのは出演者もオーディエンスも一緒です。アールさんも番組内で「こういう状況は一体感が出る」と語っていましたが、「よし!」と張り切ってしまうのは、誰もがこのイベントに成功してほしいと思うからこそ。それはぼたんさんの企画だから、なおさらそう思ったのでしょう。

アールさんも1日目は、実は実況席に行って盛り上げる気持ちもあったそうです。しかしその場をぼたんさんに託された平岩さんやどぐらさんに失礼だとプレイヤーに徹したところがありました。また2日目はぼたんさんから「何かあったら自由に動いてください」と伝えられていたこともあり、トラブルはなかったものの、選手の隣に立って話を聞くなど、状況を見ながら出場者たちのやりやすいようフレキシブルに対応したそうです。それはぼたんさんがアールさんを信じてくれたからこそできたことだとアールさんは配信内で振り返っていました。
ぼたんさんによると、どぐらさんも解説を担当しながら、スタッフに「何かあったら僕は何時間でもしゃべれますよ」「最悪、かずのこを呼んで何かします」と告げたそうです。それは「がんばらないと」と思わせたのではなく、最初からぼたんさんの力になりたくて参加したからではないでしょうか。
たまたまアクシデントで応援のギアがひとつ上がっただけにすぎません。それは今までぼたんさんが真摯に『スト6』や『スト6』プレイヤーと向き合い、楽しい企画を届けてきたからこそ。その甲斐あり、1日目・2日目ともに、大いに盛り上がりました。

◆VTuberだからできた「地獄」企画

それでは実際、どのようなところが出場者の心に残ったのでしょうか? 共通して挙げられるのが2日目の巨大アーケードコントローラー(アケコン)と、罰ゲームの「真・エモーショナルインパクト」です。
アールさんによると、巨大アケコンは出場者が全員、童心に返っていたといいます。また「真・エモーショナルインパクト」については、お互いに褒めあうという地獄のようなシチュエーションが「格ゲープレイヤーからは出てこないVTuberらしい発想」と評価しつつ、電流を流す罰ゲームより上のレベルの“地獄”があったことに驚き、「格ゲープレイヤーの弱点がバレてしまった」と恐れおののいていました。


特にピンクの照明とメローなBGMという「舞台」は決して逃げることができず、トップバッターのSHAKAさんと「こく兄」さんがやり切ったことで後続が戦慄したとのこと。あのレベルでやらないといけないという空気が格ゲーマーたちに衝撃を与えました。
アールさんも「エンタメ系の格ゲーイベントとしては歴代最高クラスのおもしろさ」と語っていましたが、各出演者の感想配信でもそれら罰ゲームの話や、自身の登場シーンの思い出を熱を込めて語っており、いかに楽しかったのか察せられます。
2日目の東西対抗戦で解説を担当したマゴさんはその時のことを振り返り、「ぼたんさんもラプさんも気合が入っていた。演者もひとりひとり意識が高く、2日目はイベントとして難易度が高いのによくやっていたし、楽しませる意識が高くて素晴らしかった。お客さんも、10時間もバルーンを叩いて盛り上げてくれて本当に凄かった」と語りつつ、アールさんに対しては、盛り上げと進行を同時にこなすその能力高さを「凄い」と実感込めて話します。
それから1日目のトラブルに触れ、「ぼたんさんは悪くない。それなのに2日目はちゃんとやるぞという気概を感じた」と話し、VTuberについてはオフイベントに出演するハードルの高さを実感しながら「よくあれだけ盛り上げてくれた」と感心したようすでした。

1日目に解説として登場し、2日目は出場者として盛り上げてくれた「どぐら」さんは、「あそこまでバラエティーに寄せたイベントは、これまであるようでなかった。格ゲーでこういったイベントができるんだ!と思った」と自身の配信で視聴者に語りつつ、出演者に対しても「『スト6』を好きでやってくれるし、ああいったイベントにも全力で取り組んでくれるから肌感が合う」と告げます。
そして視聴者から「どぐらさんは『スト6』の親善大使です」いったコメントが寄せられると、「僕がやるのは当たり前。その恩恵を享受する側でもある」と答えながら、「ぼたんさんは1回目のCRカップをきっかけに最初は仕事としてやってくれていた。それが今は『スト6』と格ゲーマーに愛を持って接してくれているからそれが凄い」と実感を込めて話します。
しかし元々はどぐらさんや、CRカップの出場者、そして格ゲープレイヤーがCRカップで戌神ころねさんやぼたんさんを温かく迎えてくれたからこそ、ぼたんさんも真剣に『スト6』に取り組むようになり、こうして大きなイベントを個人で主催するまでになりました。
そこで思うのは、どぐらさんの、褒められても「自分よりもっと貢献している人がいるから」と答えるその姿勢です。それは「どぐら」さんだけではなく、ぼたんさんも普段、似たような言動をすることが多々あります。まさに似た者同士です。
その温かな人たちが関わっているからこそ「自分も出たい!」と人が集まるようになり、視聴者も応援したいと思うようになり、トラブルがあれば率先して「できることをしたい」と思うのではないでしょうか。その雰囲気を最初に作ったのが「どぐら」さんであり、引き継いだ形となったのが「ぼたん」さんでした。
「獅白杯オフライン」が成功したのは、やはりそれらお互いをリスペクトする気持ちが大きなうねりとなり、これだけの盛り上がりへと繋がったのが理由である……そう思えてなりません。
Day1、Day2ともにアーカイブを配信中ですから、未試聴のかたは、そこで会場を包んだ大きな笑いと、そしてそこで流した“本気の涙”を追いかけてみてはいかがでしょうか。






