皆さんは通勤などで電車に乗りますか? 筆者は基本在宅ワークという働き方ですので、決まったときにしか電車を使いません。そのため、複雑な駅ではよく迷ってしまいます。地下鉄の狭い通路に入ったときには、ちょっと不安な気持ちになります……。
『8番出口』は、そんな駅の通路で迷ってしまうような体験にフォーカスした短編ホラー。本記事では、本作で味わえるその不安体験の一部をご紹介します。なお、一部ネタバレが含まれるので、まっさらな気持ちでプレイしたい方はいますぐSteamで購入しましょう!
ここは……0番出口?

本作のプレイボタンを押すと、タイトル画面もなくいきなり通路に放り出されます。この白い空間に存在するのはいくつかのドアや広告そしてひとりのおじさんだけです。

まずは、歩いて周りを観察してみます。照明の雰囲気や広告の“実在感”が凄まじく、ビジュアルは非常にリアル。外の景色がまったく見えないため、どこか閉塞感を覚えます。

歩いた先には「0番出口」への案内板が。駅の出口に0番なんて打つのかな……?という違和感を抱きつつ、先に進んでみます。

その先に出口があるのかと思いきや、見覚えのある光景が広がっていました。そう、この通路は永遠にループしていて、どこからか抜け出さなければならないのです。

先ほどの案内板に辿り着いてみると、新たな看板が設置されていました。その内容は、「異変」があったら引き返せ、「異変」がなかったらそのまま進めというものです。

再び通路を歩いてみると、なにやら異変が。これは……人型? なにやら悪い予感がするため、歩いてきた通路を後ろに引き返します。

すると、案内板の数字が0から1に増えていることに気づきます。そう、本作では「ご案内」の内容通り、通路に違和感がないかを見極めて進み、「8番出口」までたどり着かなければならないのです。

ぱっと見で異変はなさそうと思って進んでみても……。

見逃してしまうとまた「0番出口」の案内板に戻ってしまいます。何番まで進んでいても一度間違えれば容赦なく0まで突き落とされるため、細心の注意を払って異変を探さなければなりません。異変は思わぬところに隠れていることも多く、広告からおじさんまで隅々チェックすることになります。

異変の種類はさまざまで、背景に溶け込んだ違和感のないものもあれば、明らかな異物感があるもの、そして最悪の場合プレイヤーを襲うものまで多数存在します。同じような通路を歩いているだけなのに、どこか緊張感があるのです。

異変の恐さはもちろんなのですが、閉塞した空間がループする気持ち悪さ、案内板が0に戻った時の絶望感、どこに異変があるかわからない不安感などが相まって独特の味わいがあります。
本作は簡素で不気味な空間を楽しむ「Liminal Space」や「The Backrooms」などから影響を受けているため、これらが好きな人にはぴったり。心霊やゾンビからは味わえない、ただの人工物に囲まれた空間の胸が押しつぶされるような恐さ。この感覚に共感できる人はきっと気にいるはずです。
あ、また0番に戻っちゃったスパ……早く出してくれスパー!!