総合エンターテインメント企業エディアは、ニンテンドースイッチ向けソフト『コズミック・ファンタジーCOLLECTION 2』を2023年12月14日にリリースしました。
「コズミック・ファンタジー」は、日本テレネットが1990年から1994年にかけてPCエンジン/メガCD向けに発売したRPGシリーズ作品。豊富なボイスが収録されたビジュアルシーンや、シリーズを通してさまざまなキャラクターが活躍する壮大なストーリーなどが大きな特徴です。
2022年6月に「コズミック・ファンタジー復活プロジェクト」としてクラウドファンディングを開催して成功し、2023年8月に開催された第2弾でも目標額の400%以上を達成。どちらのキャンペーンも初日で目標額を達成するなど、非常に多くのファンからの期待を集めています。

本稿では『コズミック・ファンタジーCOLLECTION 2』のプレイレポートをお届けしていきます。
シリーズ後半作を収録!
本コレクションでは、1992年に発売された『コズミック・ファンタジー3 冒険少年レイ』、1994年に発売された『コズミック・ファンタジー4 突入編 伝説へのプレリュード』『コズミック・ファンタジー4 激闘編 光の宇宙の中で…』の3タイトルを収録。シリーズ完結までの後半作品をプレイ可能です。
この3作品はPCエンジンSUPER CD-ROM2で発売されてから、今回のコレクションまで移植されていませんでした。2022年12月に発売された第1弾『コズミック・ファンタジーCOLLECTION』とあわせてプレイすることで、これまで発売されたシリーズすべてを体感できる集大成のコレクションです。


各タイトルごとにゲーム本編や当時のマニュアルのほか、ゲーム内のBGMやビジュアルシーンなども収録されています。また、メニュー画面では3と4の主題歌「コズミック・ファンタジー」のボーカル版が流れるなど、シリーズファン向けの要素が満載です。
もちろん現代向けの機能として、細やかなキーコンフィグやどこでもセーブ/ロード機能を搭載しています。より快適になったゲームプレイや高いコレクション性など、さまざまな面で嬉しい機能が満載です。



王道RPGをしっかり楽しめる!
「コズミック・ファンタジー」シリーズは、主人公とヒロインの冒険を描くSFストーリーを中心に描かれる作品。ゲームとしてはエンカウント制で町やダンジョンを経由しながらストーリーを進めていく、当時のオーソドックスなRPGです。
また、ストーリーの各所ではハードの性能を活かしたアニメーションや声優によるボイスの熱演が楽しめます。美麗なドット絵や、セリフや移動速度を変更できる設定(移動速度は4のみ)などもあり、さらにニンテンドースイッチ版では読み込みもほぼ無いので非常に快適な動作でゲームを楽しめます。


そして、シリーズ通して敵のエンカウント率が高いのも特徴。序盤から複数の敵との激闘になることも多く、一部作品では全体的に攻撃が当たりづらいので、しっかりと回復を意識しなければ簡単に負けてしまうことも珍しくありません。ある程度町や回復ポイントを拠点にしてレベル上げしていく感じはなんとも懐かしく王道なRPGスタイルです。
特に『3』『4 突入編』では序盤が一人旅なので油断は禁物。こちらを行動不能にしてくるモンスターや、一撃の威力が高いモンスター、通常攻撃が通りにくいモンスターなど、強敵は特殊攻撃や術を駆使して早めに倒さなければなりません。「コズミック・ファンタジー」は雑魚モンスターの種類も多いのでしっかり覚えましょう。



敵が強いだけに、こちらの成長を実感できるのも嬉しいところ。3で最初の仲間と別れた後にまた一人旅になるのですが、最初は苦戦していた相手もボタン連打でも危なげなく倒せるようになっているのに感激しました(これは仲間の数で敵も増えるというゲームの仕様もあるのですが……)。
コレクションで追加された、どこでもセーブ/ロード機能は、戦闘での思わぬ事故を防ぐためにも非常に有用です。特に、ボス戦前などは絶対にセーブしておくことがおすすめです。

システムの進化を感じられるコレクション
本コレクションでは1992年発売の1タイトルと、1994年の2タイトルが収録されています。全体のストーリーとして連続もの(3は過去話)であり、シリーズ通して登場人物もほぼ共通しているので第1弾『コズミック・ファンタジーCOLLECTION』をプレイすればより理解を深められますが、ゲーム序盤である程度ストーリーの説明も入ります。
シリーズとしては新作のたびに新たな要素が加わり、特に3と4では戦闘時に大きな変更が加えられています。こうしたゲームとしての進化や変化を感じられるのもコレクション作品としての大きな楽しみ方と言えるのではないでしょうか。
◆『コズミック・ファンタジー3 冒険少年レイ』

シリーズ作品としては最も過去の時系列から始まる作品で、主人公・レイとヒロイン・マイの活躍が中心に描かれます。戦闘では仲間の行動順を任意で変更できたり、さまざまな特殊攻撃が用意されていることで戦略性の高いバトルも展開できます。
特殊行動が多いので、システムに慣れるまではかなり戦闘で苦労するかもしれません。特に先述の「攻撃が当たりづらい」が顕著な作品で、1ターンで敵味方全員が攻撃を外すということも。マニュアルに付属しているアイテム表の命中率がとても重要だと思います。



後のシリーズにもつながる、過去作品のキャラも多く登場するストーリーを楽しめる本作。テンポの良さや登場キャラクターの魅力はもちろん、ボス戦で主題歌が流れるなど、演出の良さは抜群です。十字キーを斜めに入れると縦横にかくかく移動できる感じもなんとなく懐かしいですね。

◆『コズミック・ファンタジー4 突入編 伝説へのプレリュード』

シリーズ第1作の主人公・ユウとヒロイン・サヤの活躍が描かれる、最終章の前編作品。本作から戦闘に「行動力メーター」がくわわり、ゲージを貯めることで強力な攻撃や魔法が繰り出せるようなシステムが採用されています。
初期の武器でも「二刀流」にすれば連続攻撃ができる、ユウが特殊行動「なだめる」で敵を逃がせば大きな経験値を得られるなど、3とはまた違う戦略を練られるバトルが楽しめます。ただ、行動力ゲージがたまったキャラを指定しなければアクションを選択できないため、ボタン連打での戦闘には向いていません。



4はストーリーの導入をアドベンチャーゲームで進めていくのも大きな特徴。ここでも声優さんのボイスによる会話がたくさん用意されているほか、本作ならではとも言える“お約束”なお色気シーンも満載です。ただ、このアドベンチャーパートが結構長いので、最初は驚いてしまうかもしれません。




◆『コズミック・ファンタジー4 激闘編 光の宇宙の中で…』

シリーズの集大成となる作品では『2』の主人公・バンとヒロイン・リムがメインとなってストーリーが展開していきます。これまでの作品と異なり、最初から4人パーティーの状態でスタートしますが、その分序盤から戦闘は難しめです。
前作の「行動力メーター」のシステムはそのまま、各キャラクターにより個性のある特殊行動が登場しています。また、前作の問題点でもあった仲間がいる時の行動選択についても、3種類のオート行動が指定できるようになっているなど改善されています。


前作まであったレベルアップ時のHP/MP回復がなくなっているため、回復アイテムの存在がかなり重要になっています。ストーリーとしてはシリーズ最終作ということもあり、過去に登場したさまざまなキャラクターが登場します。もちろんお色気シーンも用意されていますよ。




ちなみに『コズミック・ファンタジー3 冒険少年レイ』では、裏技による「とあるシーン」が有名です。本コレクションでもこれはしっかりと採用されていますが、他のお色気シーンを含めどうしても「時代にあわせたもの」になっていることを報告しておきます。


SFファンタジーとしてのストーリーが展開する「コズミック・ファンタジー」で、これまで移植されていなかったシリーズ後半作が楽しめる本コレクション。ある程度時代は感じますが、それでも今でもビジュアルシーンなどの演出は、本作ならではとも言える長所です。PCエンジンユーザーだった筆者としては、当時の雰囲気が楽しめることに、ただただ笑顔になるばかり。
油断すると全滅してしまう戦闘については「拠点周りの雑魚モンスターに苦労しなくなる」くらいまでのしっかりしたレベル上げが重要です。また、各作品ごとに有利なシステムが必ず用意されているので、まずは何度も戦っていろいろ試してみましょう。それでもエンカウント率の高さはどうしても気になってしまう部分ではありますが……。


シリーズすべてを楽しみたい人は前作『コズミック・ファンタジーCOLLECTION』をプレイするのもオススメです!