「〇〇しろ!」という命令口調のお題と画面の状況を見て咄嗟に対処する、瞬間アクションが楽しい『メイド イン ワリオ』シリーズ。ゲームボーイアドバンスで第1作目が発売してから2023年で20年目という節目を迎え、最新作『超おどる メイド イン ワリオ』も発売されたばかりです。
そんな同シリーズの常連キャラとして、「ナインボルト」というゲーマー少年が登場します。彼の作るゲームはどれも実在の任天堂のゲームをモチーフにしており、誰もが知る有名作品から、知っていればかなりマニアな作品まで取り上げられています。
本記事では、そんなナインボルトステージの中からシリーズを横断してマニアックなネタをいくつかピックアップしてご紹介。「あのゲームなんだったんだろう?」という疑問を解消し、より任天堂に詳しくなっちゃいましょう。
◆ファミリーベーシック(『メイド イン ワリオ』)
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ファミリーベーシックは1984年に登場した製品で、ファミコンをパソコン(当時はマイコンという呼び方だったでしょうか)のようにしてゲームや音楽などをプログラミングして制作できるというツールでした。最初からマリオなどのスプライトが登録されており、絵を書かなくともキャラクターを使ったゲームを作ることができます。「データレコーダ」という機器を使えば、カセットテープへの保存も行えました。
最近では、桜井政博氏の動画でも紹介されたため、ご存知の方も多いかも。
起動時にやることを忘れてしまうなど、プログラミングソフトなのにキャラ付けがされているのは任天堂らしいところ。SFC『マリオペイント』や64DD『マリオアーティスト』、DS『メイドイン俺』やスイッチ『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』など任天堂のクリエイティブ系ソフトの原点と言えるかもしれません。
◆シェリフ(『メイド イン ワリオ』)
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『シェリフ』は、1979年に稼働したアーケードゲームです。ゲームタイトルの通り、保安官を操作して、周囲をぐるぐると回るならず者たちが撃ってくる弾を避けながらひとりずつ撃退していきます。
アーケードゲームは左がレバー、右がボタンというのが普通ですが、初代『シェリフ』の筐体は左のレバーでキャラ移動、右のダイヤルで射撃方向切替というやや変わった操作形態をしていました。
筐体デザインやキャラクターデザインにはあの宮本茂氏が関わっていることでも有名で、最近では『大乱闘スマッシュブラザーズ』のアシストフィギュアとしても登場。『メイド イン ワリオ』内でもクリア後に後半のジミーステージで25点以上取ることで本作のオリジナル移植版がプレイできます。
名作アーケードゲームを移植する「アーケードアーカイブス」シリーズには任天堂も参入していましたが、この『シェリフ』は移植されないまま2020年の『VS.テニス』を最後に途絶えてしまっています。いつか、本作がちゃんと移植される日が来てほしい……と思うのは筆者だけでしょうか!?
◆マリオクラッシュ(『メイド イン ワリオ』)
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赤と黒の2色で描かれたゲーム画面……察しの良い人はきっとこの時点でわかるかと思いますが、1995年に発売されたバーチャルボーイ向けソフト『マリオクラッシュ』です。バーチャルボーイは3DSよりもずっと早く3Dゲームに挑戦しており、奥行きのある映像表現を楽しめました。
『マリオクラッシュ』は『マリオブラザーズ』がベースになったようなゲーム内容で、ステージの手前と奥を行き来してコウラを使いながら敵を倒していきます。
なお、バーチャルボーイはゲーム機としてみれば売上台数は低く、その命も長く続かなかったため、よく“任天堂の黒歴史”と呼ばれます。ただ、宮本茂氏は過去のインタビューで同機のことを「おもしろいおもちゃ」として考えており、5万台でも売れただけで大成功だと考えていたそう。しかしながら、ユーザーのみならず任天堂社内でもライセンスビジネスの延長として売り出していたため、ゲーム機のようなものとして売り出してしまい、結果失敗という扱いになった……という裏事情が語られています。
◆スパルタンX?(『さわるメイドインワリオ』)
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下画面に映るファミコンのボタンを押す……というプチゲームに登場するゲームです。架空のシューティングと『パンチアウト!!』風のボクシングゲームが登場しますが、この謎のアクションゲームはやや複雑な元ネタがあります。
その元ネタとは、任天堂がファミコンで発売した『スパルタンX』。ステージを左右に進んでいきながらカンフーアクションで次々に現れる敵を倒していくという内容で、テイストは違いながらもこのプチゲームと一致します。ファミコンにおいて合成音声をかなり早く取り入れた作品で、「アチョー!」「ワッハッハッハ」といった音声が耳に残ります。
元々は同名のジャッキー・チェン主演映画を原作としたアイレムのアーケードゲームの移植でしたが、ファミコン版ディレクターの宮本茂氏が本作をどうしても任天堂で出したいとアイレムに交渉した結果、任天堂が発売することになったそう。原作映画方面にもアイレム方面にも権利がややこしくなっていることは想像に難くなく、ナインボルトステージとしては珍しく完全再現ではないネタとなっていますが、どうしても入れたかったというスタッフの情熱が感じられますね。
◆デビルワールド(『おすそわける メイド イン ワリオ』)
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このプチゲームは1984年にファミリーコンピュータで発売された『デビルワールド』が元ネタ。原作は主人公・タマゴンを操作して魔力の塊を集めたり、4冊のバイブルを集めて画面中央に持ってきたりといった内容の『パックマン』亜種的なドットイートゲームです。
デビルが指を指した方向に画面が動くため、壁に押しつぶされないように立ち回るという内容が特徴的でした。『おすそわける』版もネタが細かく、原作通りちゃんとキャラが潰れるアニメーションが用意されています。
本作の顔といえるデビルは、原作よりも『スマブラ』のアシストフィギュアとしてのほうが馴染み深いかも。同作でも同様の能力を持っていますが、画面外に出たら撃破されてしまう『スマブラ』においてとんでもない状況を生み出すことも……。
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また、変わり果てた任天堂のマイナーキャラを集めたアドベンチャーゲーム『キャプテン★レインボー』にも登場しています。最近ではNintendo Switch Online ファミリーコンピュータでもプレイできるようになったので、やったことない人は一度プレイしてみてはいかがでしょうか。
◆クレーンゲーム?(『おすそわける メイド イン ワリオ』)
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これはクレーンゲーム!?ではなく、ニンテンドー3DS向けに配信されていた無料ソフト『バッジとれ~るセンター』が元ネタです。このソフトはリアルマネーを少額使ってクレーンゲームを遊べるというもので、獲得したバッジは3DSのホーム画面に飾ることができました。
任天堂キャラのものやレトロゲームをモチーフにしたもの、他社キャラとのコラボバッジもあり、3DSのデコレーションがはかどりました。スクリーンショットにも写っているバイトくん(ピンク色のうさぎ)の掛け合いも楽しく、『メイド イン ワリオ』に登場するアシュリーのファンであることも公言していました。
今年ニンテンドーeショップのサービスが終了してしまったことで、正真正銘もうプレイできないソフトに……。今は、『おすそわける メイド イン ワリオ』の中だけで生き続けるタイトルになってしまいました。
◆スーパーマリオボール(『超おどる メイド イン ワリオ』)
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3Dのようなグラフィックやツタンカーメンのようなノコノコの姿にギョッとした人も多いかもしれません。こちらは2004年にゲームボーイアドバンスで発売された『スーパーマリオボール』が元ネタです。
本作は、『スーパーマリオ』シリーズをモチーフとしたピンボールゲームです。「球化マシン」という機械で遊んでいたマリオやキノピオたちでしたが、ピーチ姫がマシンに入った途端クリボーたちに乗っ取られ、大砲でクッパ城に飛ばされてしまいます。ピーチ姫を助けるため、マリオ自らも球体になりクッパ軍団に立ち向かいます。……なんだかツッコミどころの多いストーリーですが、内容としては『マリオ』をしっかりピンボールゲームに落とし込んだ内容となっています。
本作を開発したのは海外のピンボールゲーム開発スタジオFuse Gamesで、後にニンテンドーDSで『メトロイドプライム ピンボール』も手掛けます。現在はBarnstorm Gamesという会社に吸収合併され、TV番組原作ゲームをスマートフォン向けに開発しています。
◆ポーズMiiプラス(『超おどる メイド イン ワリオ』)
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Miiがポーズを取っているこのプチゲームで、Miiを久しぶりに見た!という人も多いかもしれません。これは『はじめてのWii』の続編として開発されたWiiリモコンプラス専用パーティゲーム『Wiiリモコンプラス バラエティ』が元ネタです。
本作は、任天堂を始め、アーゼストやグッド・フィール、スキップやチュンソフト、バンプールやプロペ、ミッチェルといった日本のゲーム開発会社が一同に会し、それぞれの会社が本作に収録されるミニゲームを開発するという制作体制が特徴です。Wiiリモコンプラスのデモンストレーションとしては『はじめてのWii』と肩を並べられるほど良いゲームなのですが、意外と語られることは多くありません。
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『超おどる』で取り上げられた「ポーズMiiプラス」は、『ちびロボ!』で知られるスキップが開発したミニゲーム。内容は『超おどる』の通りWiiリモコンの向きを変えて壁をすり抜けていくというもので、『はじめてのWii』に収録された「ポーズMii」の内容を強化したものでした。
◆スーパーマリオ64?(『超おどる メイド イン ワリオ』)
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画面写真を見て「どこがマイナー?」と感じた人もいるでしょう。厳密には超マイナーなネタというわけではないのですが、このプチゲームはあの大ヒット作『スーパーマリオ64』ではなく、移植されることも顧みられることもない『スーパーマリオ64DS』が元ネタです。
『スーパーマリオ64DS』は、2004年にニンテンドーDSのローンチタイトルとして発売されました。大まかな内容は同じながらも、マリオ以外の操作キャラが出てきたり(開始直後に操作するキャラがヨッシー)、おまけのミニゲームをたっぷり用意していたりと、意欲的な取り組みが見られました。今思えばスティックはおろかスライドパッドもない初代DSで遊んでいたことは驚きですが、本体同梱のタッチストラップという周辺機器を使えば操作しやすかったのです。
一見元祖『64』と同じスライダーステージに見えますが、マリオのキャラモデルが現代的になっていたり、右上のUIがDS準拠になっていたりと、意外と見分けがつくようになっています。こうした細かさは『メイド イン ワリオ』でしか味わえないマニアさですね。
今回紹介したのは一部のみですが、シリーズにはこの他にもマニアックなゲームネタや任天堂がファミコンを出す前に展開していたおもちゃが登場します。一見わからないソフトも、調べてその細かさに感動……という別角度からの面白さがあるのも『メイド イン ワリオ』シリーズの楽しみのひとつ。筆者はナインボルトステージをやるために『メイド イン ワリオ』を買っているといっても過言ではありません。
現在ニンテンドースイッチでは、ミニキャラを動かしてゲームをクリアする異色作『おすそわける メイド イン ワリオ』やJoy-Conを動かして楽しむ『超おどる メイド イン ワリオ』、そしてNintendo Switch Online ゲームボーイアドバンス向けに初代『メイド イン ワリオ』が配信中です。どれもユニークな作品なので、ぜひプレイしてみてください。