■「PSVR2」にキラーソフトはないの?
作品単位で見れば、PSVR2にも素晴らしいゲームがいくつもあります。PSVR2と同時にリリースされた『Horizon Call of the Mountain』は、『Horizon』の世界をVRで表現するという難問に立ち向かい、その課題を見事クリアしました。
ポピュラーなVR体験のひとつである「高所の移動」を取り入れているため、崖登りのシーンが多いものの、その臨場感はやはり刺激に満ちています。また、実際に弓を引くようなアクションで楽しめるバトルも、同一性が感じられて満足度高め。
また、『Synapse』はありがちなFPSかと思いきや、まるで超能力者になったような疑似体験を味わうことができ、これもVRならではのプレイ感で興奮しました。
視線で敵を選び、手を握りしめるだけで拘束できる超常感。空高く放り投げれば、敵は落下でダメージを受けますし、空中で固定したまま銃で狙い撃つことも可能、そして崖下や海に投げ捨てれば敢えなく即死させられます。操作はシンプル、効果は絶大、気分は超能力者と、これほど贅沢なゲーム体験はそうありません。
そして、先日リリースされたばかりの『ソウル・コヴェナント』も、個人的なお気に入りVRソフトのひとつになりました。『ソウル・サクリファイス』のクリエイター陣が中心となって開発しただけあり、ポストアポカリプスな世界観の構築は見事の一言。そうしたクセの強い設定を、VRならではの臨場感とマッチさせた本作は、文字通りの意味で「その世界の登場人物と化す」疑似体験を与えてくれました。
アクションが激し過ぎると「VR酔い」を容易く招きますが、単調な動きだけではゲームとして手応えが薄くなる。この難問に敢然と立ち向かい、剣や鎌といった近接戦闘によるアクションゲームをVRで成立させる手腕と挑戦心、そこに独自性の高い世界観が加わり、VRでしか体験できないゲーム性を確立させた1作です。
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時間が経つのも忘れて没頭してしまう、魅力的なPSVR2ゲームはいくつもあります。ですが、これは「遊べばわかる面白さ」を持ったゲームがほとんどです。PSVR2を支えるにはこうしたゲームの存在も必要不可欠ですが、今もっとも求められているのは、「遊ぶ前から、問答無用で購入意欲をかき立てるパワフルなゲーム」に他なりません。
曖昧かつ無茶な要求なのは百も承知ですが、現状足りないものを忌憚なく考えると、この結論が真っ先に思い浮かびます。現状、PSVR2は活気があるとは言い難く、この空気感と現状を一変させるには、パンチのある展開が急務です。