全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のゲームに関わる俳優がストライキを実施へ―焦点は俳優の「AIからの保護」

全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のゲームに関わる俳優がAI利用の懸念からストライキを実施へ。

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全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のゲームに関わる俳優がストライキを実施へ―焦点は俳優の「AIからの保護」
全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のゲームに関わる俳優がストライキを実施へ―焦点は俳優の「AIからの保護」 全 1 枚 拡大写真

2024年7月26日、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)はゲームに関わる俳優が日本時間の7月26日午後4時よりストライキを実施することを同団体のWebサイト上で明らかにしました。

AIをめぐるゲーム会社と俳優組合の見解の相違がストライキの原因か

今回のストライキはSAG-AFTRAと大手ゲーム会社の間において約1年半にわたって交渉が行き詰まったことが理由とされています。交渉が上手く行かなかった原因は、俳優に対するAIの利用方法についての見解の相違にあるとみられています。ゲーム会社が生成型AIで俳優の合成音声を作成し、俳優の仕事を奪ってしまう可能性があり、俳優をそういったAIの利用から保護する契約が整っていないとSAG-AFTRA側は主張しています。

今回のストライキをめぐる海外メディアGameLifeの記事によれば、海外のベテラン女優であるVictoria Atkin氏は『アサシンクリード』で同氏が演じた声が『The Elder Scrolls: Skyrim』のMODに加工されて使用されていたのを見て恐怖を感じたといいます。彼女はその恐怖についてこう語っています。

もし私の声がこれらのフランチャイズから取り上げられ、操作され、人々が言いたいことを何でも言わせることができるとしたら、それは私自身にとっても、私の生活にとっても非常に恐ろしいことです。

このような音声合成AIに対する不安から昨年9月に呼び掛けがあった後、今回のストライキの実施に至ったものと思われます。

SAG-AFTRA会長のFran Drescher氏は、今回のストライキについて同団体のWebサイトで以下のように述べています。

企業がAIを悪用して会員に損害を与えることを許す契約には同意しません。もうたくさんだ。これらの企業が、組合員が生活し、働くことができる合意を真剣に提案するようになれば、我々は交渉する準備ができるだろう。

一方、ゲームや映画などの広報やロビイングを行う企業Lot Sixteenの代表であるAudrey Cooling氏は、SAG-AFTRAのストライキに対して、海外メディアGameLifeの取材にメール回答で以下のように述べています。

合意に非常に近づいているのに組合が離脱を選んだことに失望している。我々は交渉を再開する用意がある。

SAG-AFTRAがストライキを行うことは珍しくなく、例えば2016年から2017年にかけてもゲームに関わる俳優が賃金の引上げ及び健康保護を求めてストライキを行っています。果たして今回のAIをめぐるストライキは、いったい将来的にどのような影響を及ぼすのでしょうか。


《ずんこ。》

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