■『ステラーブレイド』:2024年4月26日発売
2024年も2/3が過ぎました。ここまででも様々な名作・良作がゲーム業界を賑わせましたが、その中でも異例の完成度を誇った『ステラーブレイド』が忘れられません。
『ステラーブレイド』を開発したのは、韓国のゲーム開発会社「SHIFT UP」です。同社はこれまで、『デスティニーチャイルド』や『勝利の女神:NIKKE』など、スマホアプリを中心に手がけてきました。
この『ステラーブレイド』は、当初「Project EVE」という名前で、2019年に発表されました。当時は対応プラットフォームも異なっていましたが、2022年にPS5独占タイトルに改められ、タイトルも『ステラーブレイド』に変更されます。また、一時期は2023年内に発売する予定でしたが、2024年4月26日に延期された後、ようやくお披露目を迎えたゲームです。
「SHIFT UP」初のコンシューマー向けの作品。プラットフォームの変更と、発売延期。実際に触れるまでは、こうしたポイントが個人的に不安だったのは事実です。同じような展開を迎え、残念な出来に仕上がった作品がいくつもあったため、警戒心が先に立ってしまいました。
しかし、その警戒が浅はかだったことを、即座に思い知らされます。フル3Dのハイテンポなアクションゲームを水準以上のレベルで作り上げるのは、大手のメーカーでも決して簡単ではありません。しかも初コンシューマーという状況で、「SHIFT UP」は卓越したアクションRPGに仕上げてきたのです。
俗に“死にゲー”と呼ばれる高難易度アクションを彷彿とさせるゲームデザインになっていますが、“死にゲー”の中ではかなり遊びやすく調整されている部類です。折々の強敵で絶望感を味わいつつも、アクション上級者でなくともギリギリ超えられる絶妙なバランス感覚が、プレイ意欲を削ぐことなくクリアまで導いてくれます。
そして、“死にゲー”で重要な要素になりやすい「パリィ」も入力しやすく、しかも入力受付の幅を広げる手段を複数用意。装備品の強化やスキルの獲得を通じて、戦いやすさが段階的に上がっていきます。
また、エリアは限られていますが広域を探索する楽しさもあり、見た目から設定まで世界観の作り込みも上質。過去の名作アクションRPGを研究し、独自の要素を加えて磨き上げた……そんな印象を受ける、非常に優れた作品でした。
個人的に特筆したいのは、2周目要素の豊かさ。一般的なケースでは、2周目の特典がもらえる程度で、あとは別エンディングを求めて突き進むだけです。しかし『ステラーブレイド』の2周目に入ると育成限界が突破し、さらなる強化が可能に。また、2周目で手に入る装備品はグレードアップするため、一層の戦力向上が望めます。周回することで獲得できる新衣装も多く、2周目だからこそ楽しい要素がたっぷりと詰め込まれていました。
見ただけで分かる質の高いグラフィック、バランス感覚が絶妙なゲーム性、苦手要素も克服しやすい装備品や育成、そして周回プレイへの配慮と、完成度の高さと隙のなさで舌を巻いた『ステラーブレイド』も、力強くお勧めしたい作品のひとつです。