なぜ東映アニメーションが「ゲゲゲの鬼太郎」の協力型和風ホラー『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』を作るのか―プレイアブル初出展を期にキーパーソンに訊く【TGS2024】

『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』プロデューサーとディレクターへのインタビュー。本作が誕生したきっかけや、驚きの開発経緯などを聞きました。

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なぜ東映アニメーションが「ゲゲゲの鬼太郎」の協力型和風ホラー『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』を作るのか―プレイアブル初出展を期にキーパーソンに訊く【TGS2024】
なぜ東映アニメーションが「ゲゲゲの鬼太郎」の協力型和風ホラー『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』を作るのか―プレイアブル初出展を期にキーパーソンに訊く【TGS2024】 全 7 枚 拡大写真

2024年9月26日(木)~29日(日)にかけて、幕張メッセでは「東京ゲームショウ2024」が開催中。東映アニメーションブース(ブース番号:06-N01)では、「ゲゲゲの鬼太郎」を題材にした協力脱出和風ホラーゲーム『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』がプレイアブル出展されました。

本稿では、『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』プロデューサーの田中耀平氏と、ディレクターの藤田峻輔氏へのインタビューをお届けします。本作が誕生したきっかけや、驚きの開発経緯、さらには東映アニメーションが今後どのようなゲーム事業展開を考えているのかなどを伺いました。

左:藤田氏、右:田中氏

◆アニメ調なビジュアルから一転、ホラー味を強く押し出すビジュアルへ

――よろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

田中 耀平氏(以下、田中):東映アニメーション 営業推進部デジタルプロダクト推進室の田中です。『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』にプロデューサーとして携わっています。

藤田 峻輔氏(以下、藤田):株式会社トイジアムの藤田です。『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』の開発担当として東映アニメーションとタッグを組んで、開発チームのとりまとめなどをしています。

――早速ですが、『ノロイカゴ ゲゲゲの夜』という作品はどのようにして生まれたのでしょうか。

田中:東映アニメーションはライセンス事業が主軸となっている事業のひとつですが、自社事業の推進にも力を入れています。ここ数年でゲーム事業にも参入し、自社IPを活用してどのようなゲームを展開できるか常に模索しています。そのなかでトイジアムさんと出会い、藤田さんから東映アニメーションのIPを用いたいくつかの企画を頂いたんです。その中に「ゲゲゲの鬼太郎」の企画があり、形にすればきっと面白くなるぞと田中が興味を持ちました。ちょうど2年くらい前にこのやりとりがあり、そこからじっくりプロトタイプを作成していきました。

――東映アニメーションとトイジアムの共同事業とのことですが、開発はどのように連携をとっていったのでしょうか。

藤田:受発注という関係ではなく、対等なビジネスパートナー同士の共同事業として制作しています。もちろん我々トイジアムは開発屋なのでこちらが主導にはなりますが、仕様書の段階から共有してブラッシュアップを毎週重ね、二人三脚で進めていきました。

――その企画段階から「協力型ホラーゲーム」というジャンルだったのでしょうか

藤田:はい、最初からこのテイストで開発が進んでいました。

田中:ただ、ビジュアルは大きく変わりましたね。

藤田:そうですね。最初はアニメ調で「ゲゲゲの鬼太郎」を再現しようとしていましたが、海外へ協力型ホラーとしてアピールしていくなかで、「だったらもっとホラー味のあるものにしよう」と、現在のバキッとしたビジュアルになっていきました。

――ビジュアル面では大きな変化があったんですね

藤田:我々としてはキャラクターをお預かりしている立場でもあるので、最初は「本当に良いんですか?」と気を遣っていたんですが、田中さんから「もっとやっちゃってください!」と力強いお言葉も頂き、どんどん尖ったビジュアルになっていきました(笑)

田中:当然「ゲゲゲの鬼太郎」は水木プロさんの作品ですから、東映アニメーションとしてもオリジナルなものではないので、本当は好き勝手やっちゃいけないんです(笑)。ただ、今回の企画がどうやったらより活きるのか、お客様に喜んでいただけるのかを考え、水木プロさんにしっかりと意図をご説明して今回はこのような恐怖にフォーカスした形とすることができました。

――どのような点にこだわって制作しているのでしょうか?

藤田:「ゲゲゲの鬼太郎」を題材としつつも、いわゆる“キャラゲー”にならないように、「ちゃんと怖いゲーム」を作ることにはこだわりました。私自身、「ゲゲゲの鬼太郎」の3期・4期世代で、かつPS1の『ゲゲゲの鬼太郎』(バンダイが発売したPS1向けゲーム。ホラー要素の強い3Dアドベンチャーとなっている)がとても印象に残っています。さらに海外でも受け入れてもらうために気をつけつつ、ビジュアルや演出を練っていきました。

◆東映アニメーションが仕掛ける「IPの創出」

――ちなみに、今回は「インディーゲーム」として銘打っていますが、この理由は…?

田中:インディーゲームの定義はさまざまありますが、そのひとつが「尖ったゲーム」だと思っています。今回の作品もそちらに寄せていることや、少数の開発規模ということもあり、インディーゲームとしました。先ほどお話ししたアニメ調のビジュアルでは、インディーゲームとはしなかったでしょうね。

――東映アニメーションはスマートフォン向けアプリ『金色のガッシュベル!! 永遠の絆の仲間たち』や、台湾で「おジャ魔女どれみ」のゲームをリリースするなど、多方面に展開されています。今回はトイジアムとの共同事業ですが、どのようにパートナーを探していっているのでしょうか。

田中:私たちは良くいえばプロデューサー集団ですが、逆に言ってしまえばしっかりとした開発体制は持っていないんです。ですから、今回のトイジアムさんのように開発およびパブリッシュができるところと組むのが基本的な形です。「こんなIP

がありますので、ゲーム作ってみませんか」といった営業は常にかけていますね。

――TGSへの出展は昨年に続き2度目ですが、ゲーム事業の周知について、手応えはどのように感じていますか?

田中:まだまだですね。僕がゲーム事業全体を統括しているわけではありませんが、まずはヒット作を出さないといけないかなと思っています。

――デジタルプロダクト推進室ではNFTやメタバースなど、ゲーム以外の分野でも多くの展開をしています。どのような展望があるのでしょう。

田中:既存のIPを用いたゲームもありますが、NFTなどを含めIPを作り出すことも狙っています。アニメだけでなく、さまざまな分野からIPを生み出していきたいですね。

――では最後に、本作が気になっている方にメッセージをお願いします。

田中:今までの「ゲゲゲの鬼太郎」とはひと味違った印象のゲームとなっています。本当のホラーゲームとなっているので、ご期待ください!

藤田:妖怪オタクである私の野望としては、リリース後の反響によっては、妖怪などは増やしていきたいと思っています。そのためにも是非、応援よろしくお願いします!

――ありがとうございました!

© 水木プロ・東映アニメーション・Toydium Inc.

《Okano》

「最高の妥協点で会おう」 Okano

東京在住ゲームメディアライター。プレイレポート・レビュー・コラム・イベント取材・インタビューなどを中心に、コンソールゲーム・PCゲーム・eスポーツについて書きます。好きなモノは『MGS2』と『BF3』と「Official髭男dism」。嫌いなものは湿気とマッチングアプリ。

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